この物語は、もちろん宮沢賢治の作品だが、幸いにも私はこれを読書で経験するのでなく、学校の先生のお話として経験したことである。多分、小学生の2年生だった思う、落ち着きのない子で、女の子の頭をたたいて逃げ回っている記憶がある。そんな子がこの話しのときはひと言も聞き逃すまいとして必死で聴いていた。
なんとなく転校生の不思議な少年としての又三郎であったこと、割れた窓ガラスを紙で貼って修理していたような学校の窓ガラス、風が吹いてくると林檎の木に登り、歌を歌うこと・・・等の光景が頭に残っているのである。風が収まりなんとなく又三郎と友達になれそうだなと思っていたら、突然転校してしまった又三郎。謎を残したまま消えた又三郎、耳の中に「どっどど、どどうど、・・・」のうねりが残る。
お話をしてくれた先生は、ほかにも江戸川乱歩の怪人二十面相のはなしもしてくれた。風の又三郎と怪人二十面相とのどちらが先だったか忘れたが、どちらもすばらしく楽しい時間をすごし、話そのものも鮮明に記憶に残ったものだった。その後、宮沢賢治は、授業で「永訣の朝」「よだかの星」等を呼んだが、風の又三郎は大人になるまで詠まなかったし、読む必要もなかった。大人になって読んでみて、お話のようなときめきはよみがえらなかった。
---------------------------2006.5.3---------------------------------------
なんとなく転校生の不思議な少年としての又三郎であったこと、割れた窓ガラスを紙で貼って修理していたような学校の窓ガラス、風が吹いてくると林檎の木に登り、歌を歌うこと・・・等の光景が頭に残っているのである。風が収まりなんとなく又三郎と友達になれそうだなと思っていたら、突然転校してしまった又三郎。謎を残したまま消えた又三郎、耳の中に「どっどど、どどうど、・・・」のうねりが残る。
お話をしてくれた先生は、ほかにも江戸川乱歩の怪人二十面相のはなしもしてくれた。風の又三郎と怪人二十面相とのどちらが先だったか忘れたが、どちらもすばらしく楽しい時間をすごし、話そのものも鮮明に記憶に残ったものだった。その後、宮沢賢治は、授業で「永訣の朝」「よだかの星」等を呼んだが、風の又三郎は大人になるまで詠まなかったし、読む必要もなかった。大人になって読んでみて、お話のようなときめきはよみがえらなかった。
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