暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

10日ほど帰省することになった前夜に

2012年01月05日 05時49分52秒 | 日常
小さな突風と雨風が吹く日が2,3日続いた。 明日の朝10時にスキポールを発って16日にまたこちらに戻る予定で日本に一時帰省することになっている。 既に夏に日本からオランダに戻ったときにはもう自分の戻る家もないということは自覚していたはずなのだが、実際慌しい整理のどたばたに紛れてじっくり反芻する時間がなかったようだ。

しかし、今回の残務整理のための短期間帰省を準備する段階で自分にはもう戻る家も故郷もなく、日本は単なる訪問地、観光地になったのだという想いが徐々に増してくるに連れて或る感傷が折に触れて表に湧いてくる気配がある。 それは長く続く現在のオランダの日常のなかで自覚していなかったことがこういう機会に過去の日常と心情的に決別する旅になることの鬩ぎ合いの狭間から覗き出る心地悪さ、少々の怖れ、とでも言えるのかもしれない。 それはまだ整理されていない思いだからまだ自分でも分かるようには上手く表現できない。 

今回の旅は、日本に30年、オランダに31年住んだ現時点での日蘭相方の家族、親戚、知人、それらの個人との諸関係を巡っての中間決算業務のための出張といえるものかもしれない。 いくら感傷といっても100年前とは違い、たとえ地球の反対側に住んでいるとしても例えばスカイプでは目の前でいるようにインターネットで向き合って交信できるのだから今生の別れというほど大げさなものではないのだが、それにしても何千キロと離れているという物理的条件は如何ともしがたく、だから折に触れどことも行き来すればいいので、そういうことでは引っ越しながらも故郷を忘れずと言うことにして、親戚、友人には時々会いに行けばいいわけだ。 これからあと20年ほどの生涯として、まだ彼方此方を訪れることもできるわけだからそう感傷的になることもないと自分を少し慰め明日の飛行機の中で見られる映画や音楽のことを思えばいいわけだ。 

風が止み、雨が小降りになった今、明日はゴミの日だから自分の肩ほどもあるコンテナーを角の定位置に引っ張っていくのに暗い表に回れば、この20年間住まいし毎日出たり入ったり幼児から成年になった子供たちが過ごし今は時々しかもどらない静かになった居間がカーテン越しに見え、引越しのときに上にモダンなシャンデリアを付けたいと家人が選んで天井に取り付けた日のことも思い出すような我が家がここにあり、10日経てばまたここに戻ってくる。

今回は日本の山や森を歩く機会はなく3,4年後にはゆっくり四国を回る予定も浮かび上がっているから徐々に認知症が始まっている老母と暫く過ごすのが帰省の主目的なのだ。