ほよほよさんぽみちNEW

いつでも君のこと好きだったよ

結社を存続させるために

2014-06-24 21:03:24 | 日記

 現代短歌7月号に大辻隆弘さんが「結社を存続させるために-「塔」と「未来」を例に-」という文章を書いておられます。

 

 特集「結社の力」の中に書かれたこの文章は、関西の歌人との関わりが深く、「塔」を理解してくださっている大辻さんならではのもので、結社の存続が難しくなってきているいま、運営の成功例として「塔」と「未来」を例にあげておられます。以下少し引用します。

 

 「主宰が結社の運営のすべてを仕切るピラミッド型の組織ではなく、会員全員が自然と自分の役割を与えられ、各人が主体的に集団に参加し、集団全体が機能してゆく。そんな動きのある運動体。松村や、主宰・永田和宏が理想としているのはそんな組織のあり方なのだ。永田は決してトップダウン型の結社主宰者ではない、組織を動かし、活性化することが得意なプロジェクトリーダーである。(中略)カリスマ的な主宰者が全体を管理する組織ではなく、永久機関のように永遠の動性を失わない生き生きとした運動体。永田や松村が志向しているのは、そのような永久の運動性を保証するような「システム」としての結社である。その背後には卓越した組織論の裏づけがあるといってよい。」

 

 確かに、それはそうなのですが、私がなぜ塔の仕事をやっているか、ということを考えると、役割を与えられているからやっているわけではありません。

 

 「塔」の知り合いもまだ少なく、入会2年目で全国大会に参加したとき、受付で私の名札を見た池本一郎さんが、「藤田千鶴さん。城陽のかただったかな」と私に声をかけてくださって、本当に驚きました。あのころは人数もいまほど多くはなかったと思いますが、覚えてくださっていたことに感激したのでした。お手洗いで栗木京子さんにお会いしたとき、「今度、栗木さんの選歌欄評を担当させていただくことになりました」とあいさつすると、「よろしくお願いします」とにっこり笑ってくださったこと。たまたま同じ部屋になった方が宮崎の人で、翌日飛行機の時間まで同室3人で宮崎観光をしたこと。ああ、塔にはすてきなひとがたくさんいるなあと思ったのでした。

 

 それで、自分にもなにかできることがないかと考えて、その冬から再校作業へ参加するようになりました。はじめて書評執筆があたったときも、自信がないことをいうと、先輩が「書けるよ。もしどうしても無理そうだったら私が書くから」と応援してくださったり。3年目からは塔の発送シールを作る担当になりました。河野裕子さんが私の顔をみるたびに、「いつも嫌な顔をせずに大変な仕事をしてくださってありがとうございます」といってくださいました。はじめての高安論を書いたときに、お葉書をくださった先輩。いまもその葉書はパソコン横の壁にピンでとめてあります。それから、いまも作業でお会いすると永田先生が「おーごくろうさん、ありがとう」といってくださること。

 

 そういうたくさんの温かい言葉や記憶が心のなかに炭のようにあって、それが大きく小さく燃え続けているから、私はやれるのです。そして同じ思いを持つ人がいるから、なんとか進んでいくことができるのでしょう。結社は会社に似ていますが、利益をあげて労働をお金に換えて成り立つ組織とは違うところです。仕事のひとつひとつに誰かの時間を使って、それがひとつにまとまって毎月「塔」ができている。どんな仕事にも意味があって、それはお互いにリスペクトされるべきなのですね。

 

 大辻さんの文章を読んで、最近忘れかけていた大切なことを思い出したので書いておきました。

 

 さあ、これからシールデータのチェックです。自分で自分の炭に小さな火をつけてがんばりましょう。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 団扇 | トップ | 水曜日は短歌の日(2)久野... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事