いま、会社のデスクの引き出しに入れているハンドクリームは、去年の夏にチェコへ行ったとき、プラハ中央駅に入っているコスメのお店で「おまけ」でもらったもの。
おまけにしては大き目で80gくらいあると思う。
ちょっとへこんだりしたときに引き出しからこのハンドクリームをだしてきて手の甲とかにちょっとだけ塗る。
はじめはなんだか懐かしい匂いだなと思っていた。
何度か塗っているうちに、これは子供のころに買ってもらったケーキの匂いだということを思い出した。白いクリームの塗られたケーキの真ん中に淡いオレンジ色の薔薇が載っていて、あの薔薇をスプーンですくって口に入れたときのあの匂いだ。甘くて、ちょっと胸やけしそうなバタークリーム。
そんなに食べられないし、感動的においしいとは思わなかったけど、「おめでとうの味」だった。
一年に一度の誕生日の味。大きくなってくると、生クリームのほうが食べやすいとか、アイスクリームケーキがいいとか親に言えるようになったけれど、まだそんなことが言えないくらい子供だったときに食べたあのバタークリームの薔薇の匂い。
そう気がついてからは、そのハンドクリームは親に守られていた時代をおもいださせるアイテムになった。
だいじょうぶ。
そんなふうな気持ちになる。私はもう大人になった。ミスしてもなんとか自分でカバーできる。引き返すことも選び直せることも知っている。どうにもならなかったら辞めるという選択肢もある。大人になるということは、自分を最終的に自分で守る術を覚えていくこと、のような気がする。
その甘い匂いをかぐと、守られていたけれど、窮屈だった子供時代を思い出す。
そして、私はもう自由なんだ、ということを確認するのだ。
おまけにしては大き目で80gくらいあると思う。
ちょっとへこんだりしたときに引き出しからこのハンドクリームをだしてきて手の甲とかにちょっとだけ塗る。
はじめはなんだか懐かしい匂いだなと思っていた。
何度か塗っているうちに、これは子供のころに買ってもらったケーキの匂いだということを思い出した。白いクリームの塗られたケーキの真ん中に淡いオレンジ色の薔薇が載っていて、あの薔薇をスプーンですくって口に入れたときのあの匂いだ。甘くて、ちょっと胸やけしそうなバタークリーム。
そんなに食べられないし、感動的においしいとは思わなかったけど、「おめでとうの味」だった。
一年に一度の誕生日の味。大きくなってくると、生クリームのほうが食べやすいとか、アイスクリームケーキがいいとか親に言えるようになったけれど、まだそんなことが言えないくらい子供だったときに食べたあのバタークリームの薔薇の匂い。
そう気がついてからは、そのハンドクリームは親に守られていた時代をおもいださせるアイテムになった。
だいじょうぶ。
そんなふうな気持ちになる。私はもう大人になった。ミスしてもなんとか自分でカバーできる。引き返すことも選び直せることも知っている。どうにもならなかったら辞めるという選択肢もある。大人になるということは、自分を最終的に自分で守る術を覚えていくこと、のような気がする。
その甘い匂いをかぐと、守られていたけれど、窮屈だった子供時代を思い出す。
そして、私はもう自由なんだ、ということを確認するのだ。