第13回牛豚等疾病小委員会 平成22年5月18日
議題
(1)宮崎県におけるロ蹄疫の現状及び防疫対応について p.3-14
a)5月17日までに126例の発生が確認され、17日には1日で15例と発生が増加している。
b)多くの農場で埋却場所選定中を含めて、封じ込めの最中である。
c)前回(5月6日)の会議までは川南町に発生がほぼ限局していたが、高鍋町と新富町に発生が確認された。
d)ウイルス侵入時期の推定は、抗体陽性でPCR陰性は感染から日数が経過し、PCR陽性で抗体陰性は感染後日が浅いと判断した。
質疑応答 p.8の10行目~p.14の6行目
発言者 発言量(1行=15.5cm)
p.8-10 p.11-12 p.13-14
明石委員 21.9行 34.7% - - - -
寺門委員(座長) 14.4行 22.8% 2.1行 5.0% 5.8行 23.8%
津田委員 - - 13.6行 32.4% - -
今田委員 - - - - 6.0行 24.5%
山本補佐 26.6行 42.1% 11.2行 26.7% 12.6行 51.6%
川田補佐 - - 5.0行 11.9% - -
川島課長 - - 9.6行 22.9% - -
平尾局長 0.3行 0.4% 0.5行 1.2% - -
事務局計 42.5% 62.7% 51.6%
その他出席委員 佐藤委員、岡部委員
欠席者 田原委員長、清水委員
前回(5月6日)の小委員会では牛10例と豚13例の口蹄疫発生が報告されているので、遅くともこの会議でワクチン接種について検討すべきであった。本来はワクチン接種は殺処分を前提にするものではないし、直ちに使用しないのであれば備蓄ワクチンの必要もない。このことを検討するのが小委員会の役割だが、事務局は殺処分を前提にした特別措置法を準備するために時間を費やし、特別措置法を前提にしたワクチン接種の承認を求める小委員会となったと思われる。そのことは、会議終了後に公表された概要が会議に提案された概要案(p.47~48)が異議なく了承されたものてあり、委員の意見を聴く立場の事務局の発言が局長や課長を含めて多く、準備した防疫措置の必要性を説得する場であったことが伺える。津田委員はこの小委員会で認めた疫学調査チーム長であるが、その発言に局長、課長、課長補佐2名が対応している点が注目される。
議題
(2)今後の防疫対応について p.14-47
a)ワクチン接種のシミュレーション
川南町の10例目を中心に半径10km以内のワクチン接種を3、4日で完了する。
b)ワクチンを打った動物はキャリアになる可能性があり、抗体を保有するとか、出荷制限の問題もあり、早期に淘汰するのが適当と考えている。
c)「今後の防疫対応について」の事務局の考え方
1)今回のウイルスは10年前に確認されたウイルスと比べ、臨床症状が強く出ること、伝搬力が強いという特徴があると考えられる。
2)川南町を中心とした多発地帯については、ワクチンの使用を検討すべき時期が来ている。ただし、現行のワクチンは発症を抑えるものの感染を防ぐことができないこと、感染抗体とワクチン抗体の識別が困難であることなどにより防疫上の支障を来すおそれがあることから、その使用は慎重に検討されるべきである。なお、ワクチンを接種した家畜については、早急かつ計画的に淘汰するべきである。
川島課長:今の状況について、先ほど来御議論をいただいた状況を含めて、ワクチンを応用することについて御意見をいただきたい。
質疑応答 p.17の12行目~p.19の23行目
筒井オブザーバー(動衛研疫学調査チーム長)による説明と寺門委員のコメントであるが、この部分がなぜ非開示なのか。ワクチン接種という重要事項の審議にもかかわらず田原委員長は欠席し、寺門委員が座長を務めている。寺門委員は岡部委員、明石委員とともに、国際ルールであるOIEコードが「ワクチンを接種してもNSP抗体検査で陽性のものだけを殺処分すれば清浄国回復ができる」ように変更されていることを無視した今回の防疫指針の作成に係わっている。ただし、防疫指針には寺門委員の指摘した「ワクチン接種と殺処分」の関係は明示されていなかったので、そのことを特別措置法により実施することになるが、何時殺処分を前提にしたワクチン接種についての論議がなされたのか。本来は5月6日に開催された第12回牛豚等疾病小委員会で「国内備蓄ワクチンは今回の発生に使うことは可能と考える」と津田委員が発言(NHK報道)しているので、この時にワクチン接種後に殺処分すべきかどうかの審議をしているはずであるが、その論議を隠ぺいするために『議事録』ではなく『議事メモ』を黒塗りで開示したのではないか。今回はワクチン接種に関する説明を事務局として筒井オブザーバー(動衛研疫学調査チーム長)がしているように、第10回牛豚等疾病小委員会で設置を決めた疫学調査チームの事務局を実質的に担当したのは動衛研疫学調査チームであると思われる。
質疑応答 19の24行目~p.47の2行目
発言者 発言量(1行=15.5cm)
p.19の24-23の15 p.23の16-34の16 p.34の17-36の30 p.37の1-47の2
明石委員 11.9行 12.9% 60.2行 26.8% 6.1行 13.2% 31.0行 12.9%
寺門座長 12.7行 13.7% 28.0行 9.7% 6.0行 13.0% 57.4行 23.8%
岡部委員 - - 50.8行 17.6% 8.4行 18.1% 7.3行 3.0%
津田委員 18.1行 19.6% - - 21.2行 45.8% 5.2行 2.2%
今田委員 5.1行 5.5% - - 0.3行 0.6% 4.6行 1.9%
筒井オブザーバー - - 32.2行 11.1% 4.3行 9.3% 7.3行 3.0%
伏見調整官 2.7行 2.9% 7.9行 2.7% - - 2.0行 0.8%
小倉専門官 - - 22.5行 7.8% - - - -
山本補佐 - - - - - - 8.1行 3.4%
川田補佐 - - - - - - 39.4行 16.4%
嶋崎補佐 3.7行 4.0% - - - - - -
川島課長 30.9行 33.4% 64.3行 22.3% - - 35.2行 14.6%
平尾局長 7.3行 7.9% 22.9行 7.9% - - 43.4行 18.0%
事務局計 48.2% 51.8% 9.3% 56.2%
その他出席委員 佐藤委員
欠席者 田原委員長、清水委員
半径10km以内の家畜にワクチン接種をし、健康な家畜まで含めて殺処分するという科学技術の発達を無視した防疫措置に委員はどのような反応をしたのであろうか。寺門委員、岡部委員、明石委員は変更された国際ルール(OIEコード)を無視した防疫指針の作成に係わっているので、事務局案に反対はしないであろう。p.23の16~p.34の16ではこの3委員と事務局、p.34の17~p.36の30ではこの3委員と津田委員が議論しているところが注目されるが、何が語られたのであろうか。ワクチン接種後にNSP抗体検査によって感染が確認されたものを殺処分するのであれば特別措置法も埋却地も必要はなく、速やかにワクチン接種して被害を最小にできたはずだが、なぜ小委員会ではそのことを検討しなかったのか。「ワクチンを打った動物はキャリアになる可能性があり、抗体を保有するとか、出荷制限の問題もあり、早期に淘汰するのが適当」と事務局が考えていたとしても、そのことを小委員会の結論としたのでは、委員は科学的に専門に関する事項を何も論議しなかったことになる。津田委員と今田委員は何を語り、佐藤委員は何故一言も発言しなかったのであろうか。いずれにしても、「ワクチンを接種して殺処分するなんておかしい」と小学生でも疑問に思う防疫措置は、この小委員会で決定された。しかもこの決定は新しい防疫指針(2011.10.1)に引き継がれている。委員の責任は重い。なお、新しい防疫指針の審議は家畜衛生部会も牛豚等疾病小委員会も新しい委員で実施され、田原委員長、寺門委員、今田委員は牛豚等疾病小委員会の委員を退任している。
初稿 2013.4.15 更新中 2013.4.17