自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

地方をどう創生するか~アベノミクスと日本経済の未来②

2014-10-13 17:37:01 | NHK

日本の高齢化社会への人口推移予測と地域経済のあり方

  『日本経済“未来型モデル”を求めて』 第2部(動画)

司会「第2部です。今日は、『日本経済“未来型モデル”を求めて』と題して議論をしています。 第1部ではアベノミクスの1年を振り返り、今年、2014年、日本の経済は順調に成長していくことができるのか議論をしてきました。第2部は長期的に日本の経済を見据えた場合に持続可能な未来型の経済モデルとはどんなものなのか考えていきます。」

司会「長期的な視点から日本を取り巻く状況を見たときに、考慮に入れて置かねばならないことが2つあります。グローバル化と高齢化の二つです。まず、加速するグローバル化、これは成長のチャンスでもある反面、1握りのグローバル企業に富が集中してしまって傘が拡大してしまうのではないかという懸念もあります。そして私達、日本の社会に今、深刻な影響を及ぼすのが少子高齢化ですね。こちらのデータをご覧頂きましょう。日本の将来の人口を予測したものです。

         

2010年に1億2800万人程だった人口は減少を続けていきます。2048年には1億人を下回り2060年にはおよそ8600万人にまで減少してしまう。15歳から64歳までの働く人口、所謂、生産年齢人口ですけれど、赤で示した所、ご覧のように減少を続けていきます。2010年に8000万人を上回っていたのですが、2060年にはおよそ4400万人にまで減少する。一方、65歳以上の老齢人口が、青い部分ですが、2030年まで増加し、2060年には総人口に占める割合が4割にまで達すると予測されています。こうした状況では目覚しい経済成長を遂げるというのは難しいという指摘もあります。」

--- 高齢化社会における経済のあり方を議論した後に ---

司会「本当に、年を取って私達が安心して暮らしていくことができるかどうか、それは足元の生活、地域社会や地域の経済をどうやって維持をしていくかが非常に大事になってくるということだと思います。このヒントになる取り組みをご覧いただきたいと思います。」

VTR①:ギュッシング(オーストリア東部、人口4000人余りの町)
         

オーストリア東部、人口4000人余りの町、ギュッシング。有力な産業もなく財政難に苦しんでいたこの町は、地域で見過ごされてきた豊かな森林に着目しました。まず、木材を燃料とするバイオマス発電で、町で使われるすべての電力をまかなうことを実現。さらに、発電に伴う熱で作った熱湯を住宅や事業所に供給。給湯や暖房に利用し、今や町で必要なエネルギーの7割以上を自給しています。

     

ギュッシング町長「利用されない木材が何千トンも森で朽ちていくのに、なぜ、数千キロも離れた所から石油やガスを運ばなくてはならないのでしょうか。私達は疑問に思ったのです。」

年間6億円もの燃料費が不要になった上、余ったエネルギーを売ることで町の財政を再建することが出来たのです。   

オーストリアは木材を燃料として利用する技術開発を積極的に進めています。

ボイラー会社研究員「30年前、薪を使っていた頃の燃焼効率は60%でした。これに対し最新のボイラーは90%以上にまで達しています。」

燃焼効率は劇的に向上し、エネルギーコストは石油の半分にまで抑えられています。この安いエネルギーを求めて、ギュッシングにはドイツなどから50社程の企業が進出、多くの雇用が生まれています。

VTR②:べリングハム(アメリカ、ワシントン州、人口8万)
     

アメリカでも地域に根ざした経済モデルの試みが始まっています。
ワシントン州、ベリングハム市の人気レストラン。名物メニューの材料は全て地元産。フルサークルバーガー、地域循環バーガーと銘打っています。地元の人の店で地元の商品を買い、地元にお金を落とすという意識を根付かせることで、地域経済を活性化させる試みです。

      

市民「大型チェーン店でお金を使っても、この地域には残りません。株主への配当になってしまうだけです。」

こちらのスーパー、人気の秘密は新鮮で安心な地元産の品々。売り上げが伸びたことで、毎年のように地元の従業員を増やしています。こうした企業が多いこの地域の失業率(7.1%)は全米平均(7.7%)を下回っています。

市民「ここで買い物をすれば、私が支払った代金から多くのお金が地元に還元されるのです。」

地元の商品の購入を12年前から呼びかけてきたNPO代表デレク・ロングさんは、地元の企業を結びつけることで、より多くの富が地域にもたらされると言います。
「これまでの経済のあり方が変わり始めています。環境を重視し、地域に密着したものへと姿を変えつつあります。地元での取引を増やしていけば、地域の経済は一層強化されるでしょう。」

自治体も後押しをしています。地元企業のソーラーパネルを使用すれば発電量に応じた報奨金(1キロワット/時当たり0.54ドル [1年間で最大5000ドル] )が州から支払われます。その為、価格面で中国製にかなわなくても普及は進むと言います。

ソーラーパネル製造会社部長「低コストで製品を作ることが出来ればもっと多く売れるという経済性の理論はできるでしょう。しかし、私達にとって重要なことは、このように小さな会社でも地域に根ざしていることで、地元の業者、地元の自治体、そして地元の人々から、実に様々なサポートを得られるということなのです。」

この会社はNPOと協力し、収入の少ない人が家を購入した際、電気料金が安く済むようソーラーパネルを寄付することにしています。企業の利益が地元に還元され、それが人々の地元商品を購入する動機になっているのです。こうした試みが続くベリングハム市は10年で経済規模が2倍になる成長を見せています。

初稿 2014.10.13 更新 2017.12.21 

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