自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

立憲主義と平和主義が危ない~寄らば大樹と知らしむべからず

2015-06-26 18:14:25 | 憲法を考える
「このままでは日本の憲法は死んでしまう。
 安倍内閣は立憲主義も平和主義も否定している。
 これは民主主義の危機だ。」 
 
集団的自衛権を認める安保法制の廃案を要求  ビデオニュース 
賛同者名簿 安全保障関連法案に反対する学者の会


 私もそう思う。しかし、日本は昔から「寄らば大樹の陰」の国民性と「由(よ)らしむべし、知らしむべからず。」の支配者層によって成立してきた国なのだろう。今日でも自民党は支配者になりたい者の政党であり、支配者に依存したがる国民を組織している。自民党を含めた政権与党は今、「憲法が国の権力を束縛するもの」ではあっても、状況によっては「国民の生命、自由及び幸福追求を守る」ために「政権が憲法の解釈を変える責任」があり、国民に丁寧に「なぜ解釈変更なのか」を説明すべきだという程度に考えているのだろう。

 憲法改正の手続きを経ずして解釈で憲法を変えることを国会で認めれば、憲法は死んでしまう。国民主権は消滅し、支配者にとって「何でもあり」の権力の暴走を許してしまう。「生命、自由及び幸福追求」は憲法13条に示された国民の権利であり、憲法9条とともにアメリカに隷属する『集団的自衛権』のために首相が判断して決められることではない。

 支配者層は誰も責任を問われない日本古来からの中空構造、現在は司法、立法、行政の癒着の上に、都合の悪いことは秘密にする権力を持つので、彼らは東京電力の旧支配者のように責任を問われることは全くない安全地帯にいる。権力にはどこの国でも汚職がつきものだが、汚職さえしなければ、悪い奴ほどよく眠る。否、悪意がない凡庸な個人でも組織が国民の主権を無視する悪に走りやすい日本も国なのであろう。しかも中空構造の上に米国に隷属することでさらに支配者の安心を生む。日本は悲しいけれど暴力以外は、個人と国のいずれも主体性のない国なのだろう。ここで国が暴力で主体性を発揮するよりは、暴力はアメリカに隷属させた方が安心だという考え方もあるが、国が暴力に関わることは絶対悪だし、その歯止めが憲法9条だということを多くの方に知って欲しい。

 私も凡庸な人間であるが、農業に対する学者や官僚の不誠実な態度に黙っていられなくなった。彼らは農業の現場を知ろうとはしないで現場の仕事を軽蔑し、現場の農業の問題から離れたことに予算をつぎ込んで農業を破壊してきた。口蹄疫対策に認められるように、何故か国民が知るべき口蹄疫対策の世界の情報を隠蔽し、委員会の議事録等の情報公開請求に対しても黒塗りの資料しか公開していない。東大の獣医学に進み、「真理の探求」よりも、「支配者への道」を歩む学者の実態を知り、研究者になることを諦めた人もいる。私が学者になって知ったことは、学者も凡庸な人間であり、感性によって「真理の探究」に没頭する人と、「支配者への道」を歩む人がいるということである。しかも「専門分野」の狭い領域以外には視点を向けないことを常識とし、ことに理系では人間なのに人間社会の真理に触れることはタブーとして、せっかく与えられた理性の自由な飛躍を閉じているようである。

参考:
秘密保護法が露わにした日本の未熟な民主主義とアメリカへの隷属 2013年11月30日 ビデオニュース
日本国憲法 第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
集団的自衛権合憲論の妥当性を問う ビデオニュース
安倍総理と憲法13条〜解釈改憲の本質〜 参議院議員 小西洋之
2015/05/21「集団的自衛権行使容認の閣議決定」が覆る決定的根拠! 「昭和47年政府見解」の知られざる真実を小西洋之議員が暴露!!

初稿 2015.6.26 2015.7.3 更新