自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

国民主権ではなく、国民支配の政治を始めた自民党

2015-06-12 15:50:55 | 憲法を考える
「独裁国家の発想」:学者の批判高まる(毎日新聞,2015年6月10日)
  安保法制 私はこう考える 谷山博史「9条で米国に歯止めを」
安保「違憲」評価真っ二つ:(毎日新聞,2015年6月12日)
  与党決めるのは政治家 野党論理性、政治と別

 日本だけでなく英国も米国も島国だと見る視点がある。その分野の専門家を知らないし、これから研究する時間はもう残されていないが、勉強課題としてこの視点で考えてみるのも面白いと思う。ただ今でも、「明治維新」を文明開化として自画自賛している「島国の日本の国民性」は気になっている。尊皇攘夷から鬼畜米英、足尾銅山鉱毒、女工哀史は戦前の話にしても、尊米反共、水俣病、ブラック企業を生む背景には、「広い世界と他者を愛することを知らず、ひたすら勝者を目指し、真実より勝者につく国民性」があるのではなかろうか。

 政権を取り戻した自民党は国民主権ではなく、かつて政権を追われた恨みの倍返しの国民支配の政治を始めている。憲法を改正するのではなく、「集団的自衛権」は憲法が認めていると、これまでの解釈を変更して安保法制を強硬に実現しようとすること自体が、政治家や官僚などは憲法を守らねばならないとする第99条に違反している。憲法は当然のことながら文字で書かれているが、学者は状況が変わったのに字面で憲法を解釈していると批判している。文字で書かれている憲法を変えるのではなく、憲法の解釈を状況の変化で変えられるのであれば、憲法が存在する意味がない。憲法はそのような権力の暴走を縛るためにあり、そのような横暴な政治家の被選挙権は剥奪し、官僚等の公務員は追放の罪を問わなければ、世界からの信用も国民の幸福も奪われてしまうであろう。

 2015年6月12日の毎日新聞朝刊の1面トップ記事は「安保『違憲』評価真っ二つ」と報じている。6月11日に開催された衆議院憲法調査会で高村自民党副総裁と北川公明党副代表は「9条のもとで自衛の措置がどこまで許されるかが、昨年7月の閣議決定に至るまで与党協議の最大の論点だった」と述べ、高村自民党副総裁は「自衛のために必要な措置が何かを考え抜くのは、憲法学者ではなく政治家だ」と発言したそうだ。

 本来、憲法に違反した法律は無効である。しかし、司法、立法、行政が癒着している国は潜在的独裁国なので、司法に「違憲」の判断を委ねるのは危険だ。与党が提案している「安保法制」が「違憲」かどうかの判断は国民がするしかない。この場合に2015年4月27日に18年ぶりに改定された日米防衛指針が憲法違反であることにも注意しておく必要がある。日本が日本として存在する根拠は「憲法」にあるが、アメリカにとってはそのことに触れることは内政干渉とされる。また、自衛隊の装備と体制はアメリカの意に反して外国を侵略できるようにはなっていない。アメリカにとっては日本にお金や基地を提供させ、中国をあまり強くは刺激して欲しくはないが牽制はしておいて欲しいというところであろう。

 ここに日米の関係を明快に説明している動画がある。また、同じ提供者が引用したと思われる動画から右翼系の動画だと思える。なお、その次に引用している矢部宏治氏の違憲論も、違憲にならないように憲法を変えろということのようで注意が必要だ。 
 笹川平和財団の「第2回日米安全保障研究会」の開催に認められるように、戦後の右翼は何故か天皇よりも米国を大切にしているようだ。

 自民党と公明党が提案している「安保法制は合権」だとこじつける背景には日米防衛指針がある。戦後70年、日本と米国との関係は隅々まで根を張り、米国の意向に逆らうことは至難の技となっていよう。しかし、自民党が数の力で国会を通過させようとしても、日本は独立国であることを主張するために、今、国会に提案されている「安保法制」は合権か違憲かの判断は国民投票に委ねなければならない。日本の自衛のことは現在の憲法で充分守れるし、日本の現行憲法は今後ますます世界の平和に貢献していける未来志向型の憲法でもある。

 私は日本を愛するからこそ憲法を守りたい。今上天皇は戦前の戦争に対する痛烈な反省と懺悔(2015年4月10日毎日新聞朝刊一面)のもとに生きておられる。そういう意味では私は米国よりは人間天皇を大切にしたい右翼だとも言える。

参考:
その存在は日本国憲法を超える!? 知られざる「日米合同委員会」の実態に迫る!
米軍幹部と日本の官僚が進路決める「日米合同委員会」の存在
日米両国は新たなガイドラインで軍事的な影響力を強め、世界支配を目論むが、経済は崩壊寸前
日本はなぜここまでアメリカに従属したか?  Youtube

初稿 2015.6.12 2015.6.14 更新(毎日新聞2015年4月10日添付)