【大切な一食】
こんにちは!
笑顔がなにより楽しさに変わる毎日のごはん。
家族でそろってご飯を食べる、幸せなひと時。
公認レシピライター「沁み沁みごはん塾 昆布料理研究家」の岩佐優です。
『家で食べてんのが一番うまいわ』
と、おっしゃる方がいてはります。
なんの気兼ねなく家族みんなでご飯を食べれるから、と。
私ども料理屋の料理がどうしても家庭料理にかなわないということがそこにあります。
一番目は好みの味というものです。
それは料理を作る人が家族の好みなり体の状態なりがわかっている、という点で
ご主人、家族が今日、何をどんなふうに調理したら喜ぶか、
それを知り抜いているのですから好きなもの、おいしいものが作れます。
それがすごく強いですね。
一方、食べるほうも作り手の腕の限界、つまり手ぐせがわかっているから高望みもしません。
ただし、料理屋に対してはそれは全くの逆になります。
そこで家庭では気のおけない和やかな雰囲気でおいしいとか、まずいとか勝手なことを言いながら食事ができますね。
一方、料理屋に対しては料理の腕を訝しがり、ストレートに『不味い』、なんておかまいなしに言いますとなにかと大変です。
少しも気を使わないで食事ができるのが家庭料理の何よりの強みでしょう。
これだけは料理屋がどう逆立ちしても到底無理なことです。
二番目は食べるもの、つまり材料の大きさの好みでしょうか。
料理では寸法、大きさが大切です。
たとえば鍋屋さんの「河豚ちり」でお話しましょう、決して高級ではない店で葱を十センチ近くに切ってあったりしますが
それでは食べようがありません。
やはり口の中に入れて、食べよい寸法というと二、三センチです。
私ですと「すきやき」なり「すっぽん鍋」などは葱の寸法で、いい店と駄目な店が決まると思っています。
面倒くさい、とばかりにパンパンと一本の葱を四っつくらいに切ると、もうそれで後の葱もだんだんと長くなってゆくものです。
料理は面倒くさがっては出来るものではありません。
家庭でたとえば、おばあちゃんは葱が長いのは食べづらいから二センチくらいでとか、斜めに隠し包丁しておこうかとか。
鍋のなかで煮えた葱の芯がチュッと口に入り、そりゃあ熱うてかなわんやろうから、縦に包丁目を入れておいてあげようか、と
家族の顔をみながら料理できるものです。
二、三センチに切るというのは葱だけではなく青物でもだいたいこの寸法にします。
口の中に入れて食べよい大きさということです。
なんでもない他愛ないようなことですが、この食べやすい寸法ということをちゃんと自然のうちに調理しているのが
家庭の作り手でしょうね。
そこで食べやすい寸法、包丁加減というものですが分厚く切ったらおいしいけれど薄く切ったら不味くなるものもあるし
薄ければおいしいのに厚く切ったため台無しになるのもあります。
いったい「河豚てっさ」などは流行りの「ぶつ切りサラダ」のように厚く切った身がうれしいというのは若い人で
歳を召された方は薄く造った「てっさ」をよろこばれます。
これは食べやすいということもありますが、厚いと薄いでは同じ河豚でも味そのもののふくみがちがう、
うちに秘めた味の相違が年配の方はわかっていらっしゃるのでしょう。
「よこわ」とか「鰹」などは厚づくりでないとおいしくありませんね。
薄造りといってこれを薄く切ってはせっかくの味を堪能することが出来ません。
ならば「さいころ」に切ったほうが洒落ていますよね。
三番目、次のお話は、作りたての料理。
世界中どこの料理でも人の食べるものは作ってから食べるまでの距離が近いほど値打ちがあるというお話です。
私どもの店でもご予約のお客様で満席の時など作り置きをして、召しあがる直前に器に盛ることがあります。
例えばお造りと椀物としましょう、厨房で盛り付けをして椀にだしをはりお客様にお出しするのと
店先のカウンターで器に盛り、椀にだしをはってお出しするのでは不思議なことに味が違うように思われるのです。
もちろん、直前に造りをして、昆布とかつをからだしをとったのを直ぐに椀に注ぐのでは全く別物の料理なのは当たり前ですが
作り置きしたものでも目の前で盛ってお出しする、時間でいったら二、三分も違いません。距離でいえば三、四メートルでしょうか。
それだけのことですが食べてみるとあざやかに違うのです。
そのへんが微妙でわずかな鮮度の違いといったって、それだけでは説明がつきません。
天麩羅屋さんも揚げたてのを直ぐに召し上がれるようにカウンターが多く、又お座敷で揚げるってこともありますね。
寿司屋さんも同様で握りたてがいいのが良いに決まっています。それがカウンターのちょいと後ろでも
二、三秒の間があって食べるのとは、なにかが違うと思うのは私だけではないと思います。
このようにご家庭では、いつ食べるのかがわかっているし、何人で食べるのかもきまっている。
そのようにすべて承知の上で家族のためだけに作る料理が、
『家で食べてんのが一番うまいわ』 の一言になるのでしょうね。
一生の大切な一食
そんな「家庭の食事」にも負けない「料理屋の料理」をこれからも作っていきたいと思います。
今日の料理レシピは【豆腐のカリフォルニアロールサラダ 】 です。
様々な豆腐が氾濫していますが豆乳濃度が濃い木綿豆腐を使うとおいしくなりますよ。
豆腐海苔巻きは作り置きをしないことがおいしく召し上がれます。
アボカドの丁度良い、食べれる具合がよくわからない方が多くいらっしゃいます。
表面が全体に黒くなっているものをおすすめします。
豆腐は木綿以外ですと水分がうまくきれず、海苔巻きをうまく巻くことができません。
【豆腐のカリフォルニアロールサラダ 】
【材料】 (2人分)
木綿豆腐 1/4丁
アボカド 半分
手巻き用海苔 一枚
レタス 1/4玉
胡瓜 1本
サニーレタス 2枚
貝割菜 1/2パック
水菜 1\2束
大葉 2枚
塩 少々
こしょう 少々
ゆかり 少々
胡麻油 少々
米酢 少々
【作り方】
(日)清潔な乾いた布巾の上に豆腐を並べ、上からも乾いた布巾を重ね、手のひらで押さえます。
そうして水気を切った木綿豆腐をすのこにひろげた手巻き用海苔の上に平らにのばします。
(月)このとき上の方、1センチをのりしろとしておいておきます。
(火)アボカド半分をさらに縦四等分に切ります。
大葉は縦に二等分にします。
平らにのばした 豆腐の手前に大葉を横一列にならべ、その上にアボカドを置きます。
塩、こしょう、ゆかりを少々豆腐一面に振る。
手前からやさしく、ゆっくりと巻いていきます。
(水)二分間程度そのままにしておく。
(すぐに切ろうとすると海苔より豆腐のほうが柔かいのでつぶれてしまいます)
そうしてしばらくおいていた豆腐海苔巻きを八等分に切ります。
(木)レタス、サニーレタスは食べやすい大きさに手でちぎり、胡瓜は笹切りにします。
水菜は流水で根元の泥をよく洗い流し、貝割れ菜も同様にして胡瓜にあわせた長さに切ります。
(金)野菜をあわせ、塩、こしょう、米酢、胡麻油、ゆかり少々を振り、
器に盛り付け、その上に豆腐海苔巻きを盛りつけます。
朝ご飯から、家族でそろってご飯を食べる、
幸せなひと時です。
公認レシピライター
人生に捧げる沁み沁みごはん塾 昆布料理研究家
岩佐 優
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