Tsuny'sブログ

老人が感じた日常生活を気ままに綴ったあれこれ

松田行雄木版画展とバレン

2013-03-22 22:08:18 | Arts
旭川市の「花みずきギャラリー」で3月30日まで「松田行雄木版画展」が開かれている。

    

    

松田行雄さんは、新ロマン派美術協会の会員で、油性インクで刷り上げる木版画を発表している作家だ。
今回は、りちぎな彫りと自分でつくった本バレンでの巧みな刷り技で、「花」をテーマに黒いマットの額装で小品20数点と、シートのみの作品多数を発表している。

          
          コチョウラン

展示されている作品は、第67回新ロマン派美術協会展に発表した「朽ち行くままに」や全道展出品作の作風とは別種の作品で、気軽に鑑賞できる単純化されたきれいな作品だ。

          
          朽ち行くままに

松田行雄さんの巧みなバレン刷りは、職人的技法の達人だと思う。
自身で本格的なバレンを作る数少ない職人的技の持ち主だ。

今回は、会場にそのバレンつくりの工程を実物資料で公開している。

    
    
和紙を張り合わせて漆塗りの円形基盤をつくり、竹皮を糸のように削いで2本づつないながら繰り返し、16本の竹縄を巻いて竹皮の下に貼付けて本バレンをつくる過程が良く理解できる貴重な資料だ。

バレンつくりは多分独学だと思うが、トウモロコシの皮でも試みていて、バレンつくりに取り組む探究精神は半端ではなく、試行錯誤の結果で見事な本バレンを作り上げている。
貴重な無形文化財といっても過言ではない。

    
    
作り上げるバレンは市販の学童用のバレンとは違う本バレンは、刷りの効果が抜群にいい。

こんなバレン職人の存在を知ってもらいたいと常々思っているが、本人は極めて控え目だから惜しいことだ。
今日、会場で作家本人と久しぶりに木版画の技法談義を交わしたが、彫り・彫り・道具の話の他に、版画の普遍的な絵画性について話を発展させたかった。