鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

一ノ谷嫩軍記図小柄 Kozuka

2011-04-01 | 小柄
一ノ谷嫩軍記図小柄


一ノ谷嫩軍記図小柄 無銘

 熊谷直実と平敦盛の一騎打ちの伝説は、江戸時代の歌舞伎では大きく創作の手が加わり、『一ノ谷嫩軍記』と題されて人気を博した。
 一ノ谷合戦は、熊谷直実とその子直家、そして平山季重の三者の早駆けによって始まった。転戦している中で敦盛を見つけた直実が、その命を助けようとするのだが、季重に見咎められる。まさに背信行為だが、直実は義経から敦盛を助け出すよう命じられていた。
 平経盛の子とされていた敦盛だが、実は法皇の寵愛を受けた藤の局が宿した子であり、法皇の血をひく敦盛を死なせることはできなかったのである。禁じられている早駆けをしたのも敦盛をいち早く助け出すため。実は、既に敦盛に接触し、わが子直家とすり替え、負傷したとして陣に戻らせていた。後は敦盛になり代わっている我が子を助け出すのみ。ところが、ここを季重にみつかってしまったのである。そしてついに我が子に手を掛けることになるのである。
 この場面は、義経から敦盛を救出するよう命を受けた直実が金札を授かっている場面。歌舞伎から取材したもので、江戸時代も下った作。


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