鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

人麻呂図鐔 金家 Tsuba

2011-09-01 | 鍔の歴史
人麻呂図鐔 (鐔の歴史)


人麻呂図鐔 山城國伏見住金家

 先に紹介した人麻呂図鐔とは同図で別の作例。前作と比較してご覧いただきたい。
 以前にも述べたが、同図が間々みられるのは、金家も猿猴捕月図など古図を手本としているように、図の定型化が始まっていることにあると思う。同様に同図を手本とした後代作、あるいは全くの偽物も考えられる。この両作例を比較し、精査しても、どちらかがひどく劣るというものではない。造り込みが拳形と木瓜形で異なり、同図でありながら人物の表情などが異なることにも視点がおかれよう。なんて面白いのであろうか、どちらが真作であると探り論ずるのもよろしいが、作品の比較を楽しみたい。
 もう一つ、裏面の釣り人図。正阿弥一光も手本としている風景で、金家らしい構成。遠く山陰に塔が窺え、なんとなく夕暮れ時の空気感が感じられる。表と裏の図柄の連続性はない。一光の場合には、表に塔を描き、裏に釣り人を布置して表裏の連続を目論んでいる。金家とは大きな違いである。


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