鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

水辺風景図鐔 京正阿弥 Kyou-Shoami Tsuba

2021-07-17 | 鍔の歴史
水辺風景図鐔 京正阿弥


水辺風景図鐔 京正阿弥

 蛇籠は古墳時代にすでに我が国に伝えられたと言われるが、活用されたのは戦国時代。各地の大名が領地を水害から守るために、河川工事を盛んに行ったという背景がある。だからと言って文様化されるのだろうか。今に遺されている装剣小道具の蛇籠図で、最も古い例は江戸時代前期のものになろう。
 写真は屏風絵を想わせる、湖水の様々な表情を散し配した構成。蛇籠の他には、河骨や沢瀉などの水草、小岩、鷺、鴛鴦と多彩。いずれも写実的高彫で、精密な彫刻で主題が見いだせない、全体で描写される文様表現のようだ。