鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

水月図縁頭 後藤光邦 Mitsukuni Fuchigashira

2021-06-07 | 鍔の歴史
水月図縁頭 後藤光邦


水月図縁頭 後藤光邦

 光邦は悦乗と同人。水月は尾張柳生厳包が意匠した鐔にも存在する意匠。柳生流剣術の意味を秘めている。赤銅魚子地高彫に金銀色絵。デザインが優れている。波間に見え隠れする三日月。もちろんこのような風景など存在するわけがない。心象風景に他ならない。寛永十九年‐宝永五年。江戸時代中期の活躍。
 いわゆる京後藤は、後藤宗家から分家した後藤の流れを指す。宗家に比較して一段低く評価されているところもあるが、そもそも無銘物が多い状況下で、宗家と極められた作品の数の多さに比較して、京後藤と極められた作が少ないのはどうした事だろう。


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