鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

紋散し図鐔 古金工 Kokinko Tsuba

2021-03-03 | 鍔の歴史
紋散し図鐔 古金工


紋散し図鐔 古金工

 素銅地の簡素な仕立ての鐔。鐔表面に放射状の刻みを付けているのは、時代の上がる甲冑師鐔などにもみられる装飾。これに、毛彫で桐紋、梅花紋、菊紋を配している。古拙な作である点が味わい深く鑑賞のポイントでもあろう。彫口は、梅花紋が蹴彫のような点状の彫の連続。菊紋は蹴彫風鏨の痕跡がみられないことから、一枚の花弁の形の鏨を打ち込んでいるように思われる。桐紋の葉の部分は菊紋の花弁と同じ鏨の打ち込みのように見える。上部の花の部分には蹴彫風鏨の痕跡が明瞭である。

菊紋と桐紋に同じ鏨が打ち込まれていると思うがどうだろう