鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

桐紋桜花紋唐草図鐔 西垣 Nishigaki Tsuba

2021-01-21 | 鍔の歴史
日本刀専門店 銀座長州屋

桐紋桜花紋唐草図鐔 西垣


桐紋桜花紋唐草図鐔 西垣

 これも同じ腐らかしによって文様を浮かび上がらせた作。文様を表わすにはほんの僅かの腐食で充分だ。しかも腐食した部分は微細な凹凸であるため、時代色が付きやすく、平坦な文様部分を鮮明にする。
さて、このような真鍮地金の下地は、鍛えたものであろうか、溶融した真鍮地を鐔の形に鋳込んだものであろうか、この点は現代の金工に研究してほしいところだ。溶融した金属を冷却固化させると、必ず内部に小さな気泡が生じる。そのような気泡が見当たらないので鍛えていると思うのだが、どうだろう。鍛造しても綺麗に揃ったような金属の組織が生じるのであろうか。この辺りが疑問だ。骨董市などで、江戸時代の作と思われる真鍮地の器物を探し、同様の地模様が出ていないだろうか探してみるが、古そうな作でも皺のないものが多い。実際にどのように製作しているのであろうか、知りたいものである。