鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

砂潜り龍図鐔 三宅友英 Tomohide Tsuba

2020-06-27 | 鍔の歴史
砂潜り龍図鐔 三宅友英


砂潜り龍図鐔 三宅友英

 三宅友英は肥前長崎の金工。このような作品を見ると南蛮物には影響されなかったようだ。この図は、砂原から姿を現したように見えることから砂潜り龍と呼ばれている。本来は雲間から現れた場面と考えてよいだろう。龍の背後が石目地に仕立てられているところが要点で、砂と言われれば砂であろうし、雲と言われれば雲に見える。砂潜り龍の呼称が広まって以降は、作者も砂原として意識したものであろう。そもそも雲を描写する場合、ふんわりとした、実体のないものとして感じさせる必要がある。風が必要であれば雲に流れを加えて風を表現する。