鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

虎の子渡し図小柄 利壽 Toshinaga Kozuka

2020-05-21 | 鍔の歴史
虎の子渡し図小柄 利壽



虎の子渡し図小柄 利壽

 利壽は奈良派の名工。江戸に栄えた町彫金工を代表する一人。虎の顔つきが後藤家のそれらとは全く異なる。町彫金工は、もちろん後藤家を強く意識していたと思われる。独創を凝らしたと思われ、それが作品に現れている。同じく後藤家を遠祖としながらも町彫の代表格とされている横谷宗珉には虎の図を見たことがないのだが、その獅子図に例を採るまでもなく宗珉が後藤とは全く異なる図を描いているように、町彫金工は後藤家を強く意識しているのだ。利壽の虎はころっとした丸みのある身体。顔つきも特に鼻が大きく張っている。