鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

瓢箪透図鍔 古正阿弥 Ko-Shoami Tsuba

2015-09-07 | 鍔の歴史
瓢箪透図鍔 古正阿弥


瓢箪透図鍔 古正阿弥

 耳を意識した鍔。正阿弥派は、鉄地肉彫に金布目象嵌で装飾を加える手法を得意とした。もちろん布目象嵌のない作もある。優れた意匠、優れた鉄地に鍛え上げた例もあり、金山や尾張に比較して人気が低いというのは解せない。先人の評価を鵜呑みにして、なんとなく出来が悪いと思い込んでいる方も多いのではないだろうか。この鐔は、特に意匠が優れている。透かしは天地を対称にしたものだが、耳の金布目象嵌には対称性がない。このように、耳に布目象嵌を施した例が多々あり、拵に掛けた際の美観を考えていたようだ。この作例では、確かに耳の布目象嵌が活きている。肥後に枯木象嵌と呼ばれる意匠があるのは、古正阿弥からの変化とみて良いだろう。