鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

猛虎図目貫 後藤光乗 Kojo-Goto Menuki

2015-07-06 | 鍔の歴史
猛虎図目貫 後藤光乗


猛虎図目貫 後藤光乗

金地、あるいは赤銅地への平象嵌は鮮やか。この目貫では二疋虎の姿がいい。構成が巧みであり、しかも二疋が視線を合わせているところが古典的で深い意味を秘めているといった感がある。作品が持つ印象は、もちろん作者の意図するところが表現されているのか、否か、技量の差異がそこに出るのだが、細部まで緻密に彫り上げる彫刻技術はもちろんのこと、このような構成美まですべてにおいて光乗は優れていた。金地の明るさを突き詰め、赤銅の黒を活かすためにも芋継の手法を採り、要所に金あるいは赤銅の平象嵌を加えている。ただただ唸って、見入ってしまう作品である。