鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

波千鳥図鐔 政随 Masayuki Tsuba

2013-11-15 | 
波千鳥図鐔 政随


波千鳥図鐔 銘政随行年六十七

 奈良三作というと、利壽、安親、乗意の三名人を指す。これに次代の政随を加えて奈良四天王と評価している。政随は前三工に比較して浜野派という人気の高い巨大な流派を構築して江戸金工の幅の広さを世に知らしめた感がある。
 この鐔は、安親が文様化を極めた千鳥図を手本としたもので、松樹に掛かる太陽も、千鳥も文様表現が進んでいる。波も簡潔な片切彫の手法であり、これも文様風。千鳥の表情には、江戸に流行したであろう文様表現というだけでなく、政随独特の厳しさも感じられる。鉄地高彫金銀朧銀象嵌。72.8ミリ。


千鳥図鐔 銘政随行年六十又六

 同じ政随の、赤銅地に千鳥のみを描いた作。72.4ミリ。□