鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

蝶菊小透図鐔

2023-10-27 | 鍔の歴史

蝶菊小透図鐔

 

鎌倉鐔の製作時代は、実は良く判っていない。漠然と桃山頃と推測している。鎌倉鐔に施されている小透には必ず小縁が設けられている。応仁鐔が真鍮の線象嵌で縁取りされているように。その名残であれば、鎌倉鐔は時代が上がるとみていいのだろう。

 

 


梅透に丁子図鐔

2023-10-24 | 鍔の歴史

梅透に丁子図鐔

 

鐔の彫刻の進化という点で捉えれば、鎌倉鐔以前に平坦な毛彫があり、鎌倉鐔の後にいわゆる精巧な高彫表現がくる。その途中だが・・・図柄構成に写実味が採り入れられることなく、むしろそれを飛び越して時代が数歩進んでしまったように思える。

この鐔では丁子のような花、梅紋の透かし、雲の組み合わせ。

 

 


山水風景図鐔

2023-10-21 | 鍔の歴史

山水風景図鐔

 

風景の要素が組み合わされて絵画風に進化している。だいぶ細やかに描き込んだような作だが、鎌倉鐔の基本は守られている。平坦な鐔面を浅く彫り込み、文様を浮彫に表現するのが鎌倉鐔だ。

 

 


塔山水図鐔

2023-10-20 | 鍔の歴史

塔山水図鐔 

 

鎌倉鐔と呼ばれる一類の魅力を紹介している。

地鉄が色合い黒くねっとりとしている。塔の描写は・・・素朴・・・決して上手とは言えない。だが、不思議な味わいがある。例えば、有名な金家の塔山水図鐔と比較して絵画表現として見てはいけない。絵画を超えたところにある、頭の中の風景を覗き見るような、他に類例のない鐔である。

 

 


風景図鐔 鎌倉

2023-10-19 | 鍔の歴史

風景図鐔 

 

鎌倉鐔という呼称はなんだかおかしいよね、ということについては何度も述べているので、もう言わない。特異な意匠について、たいへん魅力的であることを声高に述べたい。特異とは、風景の文様化に尽きるだろう。呼称に採られているような、鋤彫という技法の問題ではない。

この鐔では、木瓜形の四部分、表裏で八カ所に、異なった風景の要素を配している。