今回も、デザートワインです。ピコリット種から造られます。このブドウは、雌雄異体で結実が悪く一時期忘れかけた品種です。効率が悪いワインではありますが。その魅力を記憶から消し去ることができなかったワインであると思っています。事実味わうと、静かに楽しい愉快な気の置けない人達とゆったりと時間を費やす場面を想定してしまいます。何もこのワインに限ったことではなく。まったりした空間を共有できる趣味志向を共感した時に登場するワインが甘口ワインであると思っています。香りは蜂蜜でコンポートをしたいくつかの果物を連想しました。リストのコメントにはフルーツとしか書いてありませんが。思い浮かんでは消え、浮かんでは消えして果物を特定ができず。蜂蜜でコンポートをした果物という印象だけが空回りして、それ以上のことを書けなかったのが事実です。今まで、蜂蜜で果物をコンポートした経験はありませんし、香りを嗅いだ経験もありません。想像の中で浮かんだ言葉が“蜂蜜でコンポートした”。このことだけが転げて出てきたようなものです。もうひとつはナッツの芳ばしい香りです。複雑で特定ができず、苦し紛れに一言で片づけました。しかし、適切なエイジングの後に、受ける印象は今の時点であまり深読みする必要がないと思いました。味わいは立体的な美しい酸とほろ苦さは、美しいと思う彫像を鑑賞しているような気分にさせてくれます。絶妙な展開を繰り広げる味わいは長い余韻へと続きます。