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イタリアワインかぶれの料理人

イタリアワインとコーヒーが大好きな料理人が、呆れるほど愉快に溢れるイタリアワインの魅力を伝えていきます。

ウマニ ロンキ社のワイン

2009-05-02 09:19:15 | 食・レシピ

先日、ウマニ ロンキ社の講習会に出席しました。この会社はマルケ州とアブルッツォ州に醸造所を所有しています。モンテプルチアーノとヴェルディッキオを単一品種で造られたワインと、国際品種とコラボしたワイン2種を入れ、合計5種類の説明がありました。モンテプルチアーノからはどちらの州でもワインが造られますが。マルケ州のクマロはオイリーでアブルッツオ州のモンテプルチアーノ ダブルッツオは硬質な感じを受け、同じブドウでも土地の違いを以前より明確にワインに反映しているように思いました。05年というヴィンテージによるところが大きいかもしれないが、ミネラリーな味わいが早くから楽しめます。以前なら5年以上のエイジングをしてから徐々にミネラリーな印象が感じられましたが。しかし、リリースされてからわずかな時間のコンディショニングで抜栓が出来るのは、嬉しいことでもあり。何年か後の、私の密やかな楽しみが以前より大きく増していることでもあります。それと、果実味にも変化があります。コンセレートされた果実味が第一印象に感じられたのが、成熟した果実に、その中に森の黒い果実のニュアンスがあることです。近隣の州のワインと比べても、マルケ州とアブルッツオ州から造られるモンテプルチアーノのワインの個性を十二分に表現が出来ていると思います。もう一本はヴェルディッキオ種から造られるプレーニオです。ほろ苦さが本来の心地よさを探し当てたような境地に至っていることです。このことを担当者に聞くと一連の作業中に酸素に触れないようにする工夫を突き詰めたオペレーションをしている結果ではないかと言っていました。

講習会の後の、フリー テイスティングの時に意外なフレンチのシェフが来ていました。いつものように、ご挨拶程度の会話を済ませ、ついでにワインの印象を聞くと、「濃いねと」言われ、それが色についての印象だということに気づかされました。確かに本質を言い当てていると思いました。それは、緯度の違いです。イタリアは十分に日が当たるためにポリフェノールも多く含まれワインに影響を与えます。その事をマイナス評価ではなく、テロワールの表現と思ってもらえればいいと思います。しかし、このことに関しては偶然に聞こえてくる。理解されていなことがあります。例えてよく聞く話に、関西の人が東京のウドンを見て醤油の濃い色を「コワイ」と表現するここと同じようなことならばよいのだが。イタリアワインがイロモノ扱いにされているときです。そのような時、私は悲しい思いにさせられます。


4月17日、何気に抜栓してしまった、ピーコ。

2009-04-18 09:25:57 | 食・レシピ

 ビアンカーラ社の“ピーコ(Pico)”はガルガネガ100%を木樽で熟成され二酸化硫黄は無添加、ノンフィルターで瓶詰めをされます。入荷した当時は浮遊物が多く沈澱させるのに時間がかかると思っていました。先日、仕事が終わり補充のために自宅のセラーを整理していると、視界の中に透明になっているピーコが飛び込んできました。何も考えずに手に取り、居間に落ち着き抜栓してから気が付く、なぜ抜栓したのだろうと考えるも、後の祭り。グラスに注ぐと濁っているような感じの色合いはとても美しいとは言えませんでしたが。何よりも味わうのが早すぎでした。深い海の底で固く口を閉ざした貝のように酸がすべての表情を覆い隠しているようです。その中でも、ちらりとこぼれるナッツの香りとしっかりした果実味は複雑さはまだありませんが。これから花開くような予感を充分に感じさせてくれます。このワインが産出されるガンベッラーラのエリアはソアーヴェの隣です。自然派生産者が造るワインということもあり、ブドウ品種が同じで、アプローチの仕方が違うにしてはあまりにもワインが違いすぎると感じました。エニシダや桃の香りにナッツの香ばしい香りは、何となく共通した面は感じられますが。同社のイ マシエリ(I Masieri)にしてもそうですが。ソアーヴェとは違った表現をするワインです。


イ マシェーリ

2009-03-03 09:44:36 | 食・レシピ

2月に買い置きした数点のワインの中から、さっそく抜栓したラ ビアンカーラ(La Biancara)社のイ マシエリ(I Masieri)はガンベラーラのエリアにありながら、D.O.C.の規格を名乗らず出荷されるワインです。ソアーヴェの東隣の領域でブドウもガルガネガ種を主体に造られます。二酸化硫黄は基本的に使わないナチュラリストですが、今回の2007は少量の添加がされています。ローストしたアーモンド、コンセレートされた黄桃、エニシダの香りはオブラートに包まれたように間接的に鼻腔を満たします。酸はさらりとしていますが、果実味はボリュウームが大きく、バランスが良くないように思えます。個人的には、もう少し酸にバネがあれば好ましい感じを受けました。アフターテイストも心地よく申し分のない余韻があるのですが。スケールの大きい果実味が一歩間違えると、ブリブリした品のない厚化粧をした果実味に思えます。十分なコンディショニングをしていなことが原因かもしれませんが。私の趣味的に合わず、判断にとても迷います。とはいっても、美味しいワインです。もう1本は“ピーコ”です。解放桶での発酵の後、大樽で12ヶ月間熟成され二酸化硫黄を無添加で瓶詰めされます。当初よりコンディショニングを長く取らなければと考えていたのですが。箱から取り出すと、細かい浮遊物が多数舞っていました。瓶底に溜めるのに2ヶ月くらいは掛かりそうな具合です。しかし、このようなワインは楽しみが先にあるようで嬉しくなります。