先日、ウマニ ロンキ社の講習会に出席しました。この会社はマルケ州とアブルッツォ州に醸造所を所有しています。モンテプルチアーノとヴェルディッキオを単一品種で造られたワインと、国際品種とコラボしたワイン2種を入れ、合計5種類の説明がありました。モンテプルチアーノからはどちらの州でもワインが造られますが。マルケ州のクマロはオイリーでアブルッツオ州のモンテプルチアーノ ダブルッツオは硬質な感じを受け、同じブドウでも土地の違いを以前より明確にワインに反映しているように思いました。05年というヴィンテージによるところが大きいかもしれないが、ミネラリーな味わいが早くから楽しめます。以前なら5年以上のエイジングをしてから徐々にミネラリーな印象が感じられましたが。しかし、リリースされてからわずかな時間のコンディショニングで抜栓が出来るのは、嬉しいことでもあり。何年か後の、私の密やかな楽しみが以前より大きく増していることでもあります。それと、果実味にも変化があります。コンセレートされた果実味が第一印象に感じられたのが、成熟した果実に、その中に森の黒い果実のニュアンスがあることです。近隣の州のワインと比べても、マルケ州とアブルッツオ州から造られるモンテプルチアーノのワインの個性を十二分に表現が出来ていると思います。もう一本はヴェルディッキオ種から造られるプレーニオです。ほろ苦さが本来の心地よさを探し当てたような境地に至っていることです。このことを担当者に聞くと一連の作業中に酸素に触れないようにする工夫を突き詰めたオペレーションをしている結果ではないかと言っていました。
講習会の後の、フリー テイスティングの時に意外なフレンチのシェフが来ていました。いつものように、ご挨拶程度の会話を済ませ、ついでにワインの印象を聞くと、「濃いねと」言われ、それが色についての印象だということに気づかされました。確かに本質を言い当てていると思いました。それは、緯度の違いです。イタリアは十分に日が当たるためにポリフェノールも多く含まれワインに影響を与えます。その事をマイナス評価ではなく、テロワールの表現と思ってもらえればいいと思います。しかし、このことに関しては偶然に聞こえてくる。理解されていなことがあります。例えてよく聞く話に、関西の人が東京のウドンを見て醤油の濃い色を「コワイ」と表現するここと同じようなことならばよいのだが。イタリアワインがイロモノ扱いにされているときです。そのような時、私は悲しい思いにさせられます。