追悼 山内一弘(3)

野村克也は山内一弘の死去の際のコメントで、山内一弘の打撃を手本にした為、自身の打撃が、どこか似ている筈と話しています。確かにコンパクトなスイングと内角球の打ち方は、非常に似ていました。山内一弘は2回、野村克也は9回と本塁打王に輝いていますが、そのスイングの為か、二人共凄い飛距離の本塁打を放つタイプではなく、巧くレフトスタンドの前列に叩き込んでいた記憶が強いものです。本塁打を放つ力は野村克也の方が上でしたが、全方向に打球が放てる点等、打撃の柔軟性は山内一弘が遥かに上回っていたと思います。山内一弘の守備に関してですが、平均点以上はあったかと思います。しかし脚力、肩、守備範囲、それぞれに格別優れているものはありませんでした。但し守備勘がいいのでしょうか、巧く打球を処理していました。彼の意外な記録としては、通算補殺数175で外野手として史上1位を保持しています。特に強い肩ではない彼でしたが、捕球から送球までが非常に早く、またコントロールの良さもあったのでしょうが、相手チームの彼の肩への警戒が、もう一つ少なかった点もあるかと思います。