totoroの小道

「挑戦することで、きっといいことがある」  http://www.geocities.jp/totoroguide/ 

白いぼうし 2の場面

2009-06-04 22:26:42 | 4年 国語

白いぼうし 2の場面

T先生が悩んでいます。明日の初任研の国語の授業の構想について......

そこで、2の場面の教材研究を、T先生としました。
めあては
「もんしろちょうの代わりに夏みかんを入れた松井さんの気持ちを考えよう」です。

まず、どんなまとめをノートに書かせたいのか、T先生の構想を聞きました。
まとめは
「男の子の大切なもんしろちょうをにがしてしまったので、松井さんは悪いなあと思って、夏みかんを代わりに入れました。」
と考えるということでした。

もう一言、ほしいんじゃないの?
と言ってみました。
T先生はしばらく考えて
「男の子の大切なもんしろちょうをにがしてしまったので、悪いなあと思って、松井さんは自分が大事に思っている、お母さんの愛情のこもった、見事な色の夏みかんを代わりに入れました。」
でどうでしょうと答えました。

どうして、その一言を入れた方がいいと思う?
と聞いてみました。

だって、においまで届けるように、ちょうどいい時期に収穫し、速達で送ってくれたことが、松井さんには何よりも嬉しくて、この夏みかんをとても大切にしていたからです。と答えました。
その通りだよね。

さらに聞いてみました。
夏みかんの代わりに、100円じゃだめ?
だめ。
心を込めてごめんなさいと謝るのはだめ?
だめ!
どうして。だって、男の子にとっても、とっても大事なものだから、心のこもったものじゃないと納得してくれない...........

そうだよね。

じゃあ、そういうまとめになるためには、何を話し合ったらいいの?
と聞きます。

国語の45分間は、長いようであっという間です。
国語だから、まずしっかり読まないといけません。
前時を上手に振り返ることも、大事です。物語にはつながりがあり、起承転結になるからです。
ノートに書かせたい。
さらに、活発に話し合いたい......
こう考えると、国語の授業は最初からかなり欲張った授業が一般的になっているのです。

あっちも、こっちも大事ですが、ポイントを絞った話し合いをしないと、結論が出ずに不完全燃焼で終わります。ここがポイントという場所があるはずです。そこを学べば、他の大事なところも子どもたちの発言に関連して出てくる急所。指圧で言えば、このツボを押さえれば全身の病気が治ってしまうような言葉や文があるはずです。

このまとめに持って行くために、その前に何を話し合ったいいの?何を話し合ったら、相手の大事なものを逃がした償いに、自分の大事な夏みかんを贈ろうと思ったと子どもたちは気付くの?とT先生に聞きました。

男の子にとって「もんしろちょう」がとても大事だったことに気付かせたいとT先生は答えます。

それは、どこを学べば出てくるの?と聞いてみます。
...................
...................
「おや、あんな車道のすぐそばに、小さな白いぼうしが、ちょこんとおいてあります。」
T先生は答えます。

びっくりです。

そして納得です。
その通りだと思います。

T先生は熱く語ります。
だって、多分もっとちがう広場かどっかでちょうをみつけたでしょ。それをずっと帽子をもって追いかけたんですよ。なかなか捕まらなくて、こんな車道の危ないところまででてきても、それに気付かなくて必死に手を伸ばしたんです。そして、やっとの事で「つ・か・ま・え・た!! やった~っ」って思ったんです。
それで、あまりに嬉しくて、後先考えずにそこにそのまま帽子を残して走っていったんです...........と。

その通りだと思います。

で、それをどうやって子どもから出させるかだけど.......T先生は、どうしたらいいと思う?

それが、さっきから分からないのです。だから悩んでいるのです。


一緒にしばらく考えました。
ただ、「たけのたけおくん」のその一連の行動や、考えは、あくまで予想であって、どこにも載っていないのです。これを話し合うとすると、想像力のある子は大胆に想像して楽しく話すでしょう。メインの話し合いが、想像の話し合いになるのも、メルヘンの世界のお話ですからいいのですが、それは「女の子の正体」とか、「よかったねがどうして聞こえたか」とかに、とっておきたいと思います。今は、そこにいたるために、事実の発見を積み重ねる時じゃあないのかなあ.........


そこで、こう切り替えしました。
まとめに「男の子の大切なもんしろちょうをにがしてしまったので、悪いなあと思って、松井さんは自分が大事に思っている、お母さんの愛情のこもった、見事な色の夏みかんを代わりに入れました。」を入れるとすると、男の子の大切なもんしろちょうをにがしてしまったので、悪いなあと思ったのはだれ??
松井さん.....

そうだよね。
男の子が、もんしろちょうがとっても大切に思っていることを話し合うことは大切なんだけど、あくまで主人公は松井さんだから、松井さんが「男の子の気持ちをどう想像しているか」を押さえなければ、このまとめにはならないと思うんだ。と話しました。

ところで、松井さんが、だいじなちょうを逃がして本当に申し訳ないと思うのはどこ?と聞いてみました。

二人で、その可能性のある場所を探します。
①ぼうしをつまみ上げたとたん、何かがとびだした。
②あわててぼうしを振り回した。
③「わざとここに置いたんだな。」と言った。
④ぼうしをつかんでため息をついた。
⑤「せっかくのえものが、...どんなにがっかりするだろう。」と言った。
⑥ちょっとのあいだ、方をすぼめた。
このあたりが、候補として上がります。

①②はまだ、申し訳ないと言うより、予想外の展開にあわてています。
③ですこし、悪いなあと思います。

④では、ため息をつくのですから全てを悟って、しまったと思います。
ということは、③と④のあいだの、赤い刺繍を見ることが転機になります。こんなに小さいこの楽しみを奪っちゃったんだと.......

ですから、本時はおそらく
・「小さな帽子をつかんで、ため息をつく」
 をあつかうか
・「せっかくのえものがいなくなったっていたら、どんなにがっかりするだろう。」
  を扱うといいのだろうと思います。

「小さな帽子をつかんで、ため息をつく」
では、ため息は大きな手がかりです。辞書で調べると
【〈溜(め)息】心配(失望)したり、自分の力ではとうていかなわないと思ったりする時などに大きくつく息。
と載っています。つまり、たけおくんをげんきにさせることは自分の力ではできないのだとわかり、心配でたまらなくなるのです。
小さな帽子をつかむの「つかむ」も気になります。大きなものならつかめばいいですが、小さな帽子はぐちゃぐちゃになっちゃう....
余裕がなかったのでしょう。

しかし、ここでは、まだ、
「男の子の大切なもんしろちょうをにがしてしまったので、悪いなあと思う。」は直接的には出しにくいです。

簡単にそれが出るのは、
「せっかくの/えものが/いなくなったっていたら、/どんなに/がっかりする/だろう。」が分かりやすいように思います。
せっかくは例文を作るとその意味がよく分かります。
せっかく取っておいたおやつを食べられた。
せっかくおいつめたのに、逃げられた。
せっかく作ったコーヒーをこぼしてしまった
.........
こう並べてみると、目的達成を目前にしてぽろりとのがしてしまう、悔しさが見えてきます。

さらに、「えもの」もキーワードです。たかがもんしろちょうを「えもの」と言うのです。よっぽと執念深く追い、追い詰め、ねらいを定めて捕まえたのです。

どんなにを学んでも良いと思います。
どんなに=どれほど= 数量・程度などをはっきり限定出来ないことを表わす。
だから、予想できないぐらいがっかりすることが予想できるのです。

そう考えると、
「せっかくの/えものが/いなくなったっていたら、/どんなに/がっかりする/だろう。」を子どもたちが調べざるを得なくなるような発問を用意し、ここをもとにみんなが話し合うとたくさん発言できるのではないかと思います。


整理するとこうなります。
①前時を振り返り、夏みかんに込められた思いを振り替えさせる。
②本時の教材を読む。
③目当てを確認する。
④なぜモンシロチョウの代わりに夏みかんを入れたのか予想する。
⑤どこを調べるかを相談する。
 ・例えば、松井さんの気持ちの分かるところに線を引き、その中でも一番分かるところ  をみんなで選び、それを黒板に大きく貼りだして、みんなで学ぶ。
  ・例えば、松井さんの気持ちが男の子に悪いことをしたと本当に思った地点を探す。
 ・どの段落に入っているか聞き、その段落のどの文に入っているかを聞き、次第に注目  する範囲を絞っていく。
   ○どの方法にしても、最初は網を大きく張って色々な意見を出すが最終的に、「せっか  くの/えものが/いなくなったっていたら、/どんなに/がっかりする/だろう。」を選ば  ざるを得ないように発問を考えておく。
⑥「せっかくの/えものが/いなくなったっていたら、/どんなに/がっかりする/だろう。」 を調べ、目的達成を目前にしてぽろりとのがしてしまう、たけのたけお君の悔しさが分 かり、予想できないぐらい落ち込ませてしまうんだろうなあと言う松井さんのため息を つきたい気持ちを詳しく知る。
⑦目当てに対する、まとめを考える。
⑧「男の子の大切なもんしろちょうをにがしてしまったので、松井さんは悪いなあと思って、夏みかんを代わりに入れました。」というまとめを書く。


できれば理想だけれど........

にほんブログ村 教育ブログ 小学校教育へ 藍色と空色と緑のページ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿