とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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センセイの鞄

2004年09月12日 19時47分30秒 | 書評
とりがら書評 その2

ここのところノンフィクションばかり読んでいて小説というジャンルの
読み物はとんとご無沙汰でした。
本書の作者である川上弘美さんについの知識は恥ずかしながらまったく
ありませんでした。かなりの人気作家のようですね。
では、なぜこの小説を書店で買い求め読むことになったのか。
それはこの小説を原作とした映画(テレビに近い)があったためです。
そこでは二人の主人公のう、センセイを柄本明が、ツキコさんを小泉今
日子が演じており、キョン2ファンの私としては映画を観る前に是非原
作を読んでおきたいと思ったのでした。

かつて自分の高校の国語の先生であったセンセイと三十才を過ぎても未
だ独り身のツキコさんの居酒屋での遭遇は、ある意味においてとても幻
想的でもあります。
この物語では場所や時間が特定されておらず、読者個々が持つ自身のバ
ックグランドをもとに、小説の背景を想像し、のめり込んで行くことが
出来ます。
そして読むものをして魅了する根底にあるものは大人の恋物語であるこ
とでしょう。
センセイとツキコさんの間で交わされる何気ない会話が時として胸にキ
ューンと迫って来るものがあるのです。
しかもその瞬間は言葉ではなく「間」という文字で表す分学ではとても
難しい表現によっていることにも驚きを感じるのです。

読了して、もしかしてイメージを壊さないためにも映画を観ないほうが
いいのでは、と思えるような一冊でした。

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