10日(木).わが家に来てから今日で1044日目を迎え,ワシントン・ポスト紙が8日,北朝鮮が大陸間弾道ミサイルに搭載が可能な水準まで核弾頭の小型化に成功しているという米国防総省の分析結果を報じ,トランプ大統領が「これ以上,米国に対する威嚇行為を行わないことが北朝鮮にとっての最善策だ.世界がまだ経験したことがないような炎と怒りを受けることになる」と強く牽制した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
炎のことならコバケンさんに任せておけば? トランプさんは先が読めないし
昨日,夕食に「鶏のトマト煮」「生野菜とツナのサラダ」「冷奴」を作りました 「鶏の~」は娘の大好物なので時々作ります
昨日,ミューザ川崎で日本フィル「コバケンの幻奏ー夢・情熱」公演を聴きました これはフェスタサマーミューザの一環として開かれたコンサートです.プログラムは①ドビュッシー「小組曲」,②サン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」,③マスネ「タイスの瞑想曲」,④ベルリオーズ「幻想交響曲」です ②③のヴァイオリン独奏は小林美樹,指揮は小林研一郎です
午後3時からの本番に先立って,午前11時半から同じ会場で公開リハーサルが開かれたので見学しました 昨年ミューザで知り合いになったSさんに声をかけられ,一緒に4階センターの席で見学することにしました.ステージからは遠いですが,ステージと客席が一望でき,音が渾然一体となって聴こえてくるので,すごく良い席だと思いました
オケのメンバーが配置に着き,コバケンが登場します 最初にプログラム後半の「幻想交響曲」のリハーサルから始めました.しかも第3楽章「野辺の風景」の冒頭からです ステージ上のコーラングレ(イングリッシュ・ホルン)と3階左側の後方客席に陣取ったオーボエとが会話をするシーンですが,コバケンの指示でオーボエがより遠くの位置に移動しました その後は第4楽章⇒第5楽章に移り,金管楽器がごそっと抜け,第1楽章⇒第2楽章へと進めました.50分位経ったところで,コバケンが客席に向かって「ここで休憩に入ります.皆さんは休憩してください」とアナウンスしましたが,その後「これからアンコール曲のリハーサルに入りますので」と付け加えたので,外に出ていく聴衆はほとんどいませんでした 指揮者の本音としてはアンコール曲のリハーサルまでは見てほしくないのかも知れません.最後まで通して演奏し終わると,係員が「これから10分間の休憩に入ります」と”正式に”告げました
休憩後はドビュッシーの「小組曲」を通して演奏し,ソリストの小林美樹さんを迎え,サン=サーンスとマスネの2曲をさらいました
さて,本番です 会場はほぼ満席と言って良いでしょう.コバケン人気でしょうか オケは左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという編成です
1曲目はドビュッシーの初期の作品「小組曲」です 「小舟にて」「行列」「メヌエット」「バレエ」の4曲から成ります
実は,この曲は私のクラシック音楽入門曲の一つです 今から遡ることン十年前のことです.当時 多くの若者はFM放送から音楽番組を「ラジカセ」(ラジオ付きカセットテープレコーダー)に直接録音する「エアチェック」をするのに夢中になっていました(古っ).私の場合は,いろいろなジャンルの曲を聴いた中で,モーツアルト「フルート協奏曲第2番」,ドビュッシー「小組曲」, C C R(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)「トラベリング・バンド」,トワエモア「空よ」の4曲を録音し 繰り返し聴いていました そして最後に残ったのがモーツアルトで,それ以来クラシックにのめり込んだというわけです ドビュッシーは「マイ・ベスト4」に残ったという意味で特別な曲なのです
この曲ではフルートの音色が美しい1曲目の「小舟にて」が印象的です 4曲の中では最もドビュッシーらしい曲想ですが,とてもいい演奏でした
指揮台脇にソリストのスペースが空けられ,グリーン系の明るい衣装の小林美樹さんを迎えます 小林さんは2011年の第14回ヴィエ二アフスキー国際ヴァイオリンコンクールで第2位に入賞している実力者です 最初に演奏するのはサン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」です この曲は,15歳のサラサーテの依頼により作曲した作品です.フランス人のサン=サーンスは隣国スペインの民族舞曲やロマ(ジプシー)の音楽などからヒントを得て作曲に当たっています 小林美樹さんの演奏は15歳の少年のそれではなく,大人の女性の艶やかさが良く出ているように感じました
次いで演奏されたマスネ「タイスの瞑想曲」は,マスネの歌劇の中で演奏される曲ですが,メロディーが美しいことで知られています 小林美樹さんは,たっぷりヴィブラートをかけ,美しく艶やかな演奏を展開しました ヴァイオリンそのものが名器なのではないかと感じましたが,どうなんでしょうか
演奏後「お気づきの方もいらっしゃると思いますが,演奏中にハエが飛んできました ハエも喜んでくれたと思います(会場・笑)」と語っていましたが,私は音楽に夢中で気が付きませんでした 瞑想曲に誘われてハエが迷走してきたわけですね
アンコールにクライスラーの「レチタティーヴォとスケルツォ」から「スケルツォ」を鮮やかに演奏し,再び大きな拍手を浴びました
休憩後はベルリオーズ「幻想交響曲」です この曲はベルリオーズがパリ音楽院の学生だった24歳の時に,シェイクスピアの演劇に出演していた女優のハリエッタ・スミッソンを見て一目ぼれし熱烈なラブレターを出したものの,まったく相手にされなかったため,その失恋の苦しい想いを作曲を通じて表現したものです ストーリーは「感受性豊かな若い芸術家が,実らぬ恋に苦しんだ末,相手の女性を殺害し,裁きを受ける」というものです.第1楽章「夢,情熱」,第2楽章「舞踏会」,第3楽章「野辺の風景」,第4楽章「断頭台への行進」,第5楽章「魔女の夜宴の夢」の5つの楽章から成ります
リハーサルでも力を入れていた第3楽章「野辺の風景」におけるステージ上のコーラングレと3階客席のオーボエとの対話は素晴らしい演奏でした その後,第4楽章「断頭台への行進」に至る打楽器総動員の迫力はステージの底が抜けるかと思いました また,”行進”に入ってからのファゴットの演奏の素晴らしさは特筆に値します また,全体を通してチェロとコントラバスの力強い演奏はオケ全体に迫力を与えていました
いつものようにコバケンは満場の拍手とブラボーを制し,
「今日はありがとうございました.日本フィルはミューザで演奏する機会があまりありません どうか日本フィルが ミューザに より多く呼んでいただけますように,皆さまのお力添えをお願いいたします」
と しっかりPRしたうえで,
「今日は長崎が・・・そういう日(※長崎に原爆が投下された日)ですので,祈りを捧げたいと思います アンコールにマスネの歌劇『カヴァレリア・ルスティカ―ナ』から『間奏曲』を演奏します」
とアナウンスして演奏に入りました 天下のコバケンさんも間違えることもあります マスネではなくマスカーニの曲です.マスまでは合っていましたが・・・残念賞でした それにしても,この曲は何度聴いても美しく感動的な曲です 私は「死ぬときはこの曲をかけて欲しい」という人を知っていますが,気持ちはよく分かります