人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「真夏のバッハⅡ~冨田一樹パイプオルガン・リサイタル」を聴く~バッハ・コレギウム・ジャパンの主要メンバーも参加~フェスタサマーミューザ

2017年08月06日 07時52分19秒 | 日記

6日(日).わが家に来てから今日で1040日目を迎え,トランプ米大統領が 過去にオバマ前大統領の休暇取得を繰り返し批判していた一方で,自身が所有するニュージャージー州のゴルフ場で2週間あまりの夏休みに入ったというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      「仕事をしながらの休暇」と弁明してるけど 行き先がゴルフ場じゃ  どうだろね?

 

                                           

 

昨夜,ミューザ川崎で「真夏のバッハⅡ~冨田一樹パイプオルガン・リサイタル」を聴きました   これはフェスタサマーミューザの一環として開かれたコンサートです.プログラムは①J.S.バッハ「シュープラー・コラール集」から「目覚めよと呼ぶ声あり」BWV645,②同「2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調」BWV1043,③ヴィヴァルディ/バッハ「オルガン協奏曲ニ短調」BWV596,④バッハ「管弦楽組曲第3番ニ長調」BWV1068より「アリア」(オルガンソロ版),⑤ヴィヴァルディ「四季」より「夏」,⑥バッハ「パッサカリア  ハ短調」BWV582です  

演奏は,パイプオルガン=冨田一樹,バロック・ヴァイオリン=若松夏美,高田あずみ,竹嶋祐子,丸山韶,ヴィオラ=秋葉美佳,チェロ=山本徹,コントラバス=今野京というメンバーで,冨田氏を除き 古楽器のスペシャリスト集団「バッハ・コレギウム・ジャパン」のレギュラーメンバーです

午後6時からの本番に先立って,5時20分からロビーコンサート「オルガン・カフェ」が開かれました   早めに並んだので2列しかない椅子席の2列目ど真ん中に座れました   最初にバッハのコラール「ただ愛する神の摂理にまかせる者」BWV691が冨田氏によりポジティブ・オルガンで演奏されました   そして,冨田氏がマイクを持って挨拶しました

「今日は暑い中,ようこそミューザ川崎にお出でいただきました   私は留学していたドイツのリューベックから つい先週帰国したばかりです   2年間せっかくリューベックにいるのだからということで現地の音楽家の曲を勉強しました   次に演奏するのはいずれもリューベック出身者の曲です.1曲目はジーフェルト『ファンタジア第1番』,2曲目はスヴェーリンク『トッカータSwWV295』です

そして演奏に入りました.ポジティブ・オルガンは小学校にあるオルガンくらいの小さいオルガンですが,「小さなパイプオルガン」で,出てくる音はパイプオルガンの音そのものです

次にバッハ・コレギウム・ジャパンの弦楽奏者(若松夏美,高田あずみ,秋葉美佳,山本徹)を迎え,冨田氏の通奏低音のもとバッハ「管弦楽組曲第3番」BWV1068から第2楽章「アリア」が演奏されました   B.C.Jコンマスの若松夏美さんがメロディー・パートを弾きますが,こんなに近くで若松さんのソロを聴くのは初めてです   古楽器特有のガット弦のくすんだような柔らかい音がロビーを満たします   いつ聴いても若松さんのヴァイオリンは素晴らしいです   理想を言えば,古楽器による演奏は大ホールでなく,この日のように演奏者の近くで聴くのが一番だと思います

 

     

 

さて,本番です.1曲目はJ.S.バッハ「シュープラー・コラール集」から「目覚めよと呼ぶ声あり」BWV645です.この曲はバッハ晩年の1740年代に出版されたオルガン曲集に収録された1曲で,シュープラーとは楽譜出版者の名前です   もともとは1731年の教会カンタータ第140番の第4曲に基づいています   冨田氏が2階正面のパイプオルガンに向かい,演奏に入ります   まずはあいさつ代わりの演奏といったところですが,一時的に敬虔な気持ちになりました   演奏後,冨田氏はP席脇の階段を通り,1階のステージまでストレートに降りました.ここが同じヴィンヤード方式でもサントリーホールとは違うところです

ステージにバッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーを迎え,2曲目の「2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調」BWV1043の演奏に入ります   バッハはヴァイオリン協奏曲を3曲(「2つの~」の他にBWV1041,BWV1042)作曲しています.この曲は第1楽章「ヴィヴァーチェ」,第2楽章「ラルゴ・マ・ノン・タント」,第3楽章「アレグロ」の3つの楽章から成ります

言うまでもなく,主役の「2つのヴァイオリン」は第1ヴァイオリンの若松夏美さんと第2ヴァイオリンの高田あずみさんが担当します   小気味よいテンポ感といい,楽器間の見事なアンサンブルといい,まさにバッハ・コレギウム・ジャパンの縮図です

3曲目はヴィヴァルディ/バッハ「オルガン協奏曲ニ短調」BWV596です   この曲はヴィヴァルディの合奏協奏曲集「調和の霊感」作品3の11番をもとにバッハがオルガン用に編曲した作品です   冨田氏はステージから階段で2階のパイプオルガン席まで上がります.忙しい人です

この曲は3つの楽章から成りますが,第1楽章はオリジナルのヴィヴァルディらしい曲想ですが,第3楽章になると大バッハそのものといった堂々たる曲想です   それにしても,ヴィヴァルディという作曲家はバッハにまで影響を与えた大音楽家だったのだなあ,とあらためて感じました

 

     

 

後半の1曲目はバッハ「管弦楽組曲第3番ニ長調」BWV1068より「アリア」です  プレ・コンサートで同じ曲を管弦楽版で演奏したので,今度はオルガン・ソロでの演奏です    バッハが作曲した4つの管弦楽組曲のうち第3番は,トランペットやティンパニを加えた華麗な編成が取られている曲です.第1曲「序曲」,第2曲「アリア」,第3曲「ガヴォットⅠ/Ⅱ」,第4曲「ブーレ」,第5曲「ジーグ」から構成されています   第2曲「アリア」は,後の音楽家がヴァイオリンの4本の弦のうち一番低い音域を鳴らす弦(G線)だけで演奏できるように編曲して以来,「G線上のアリア」として親しまれるメロディーになりました   冨田氏はゆったりしたテンポで曲を進めます.弦楽器による演奏とは一味違う趣があります

2曲目はヴィヴァルディ「四季」より「夏」です   「四季」はヴァイオリン協奏曲集「和声とインヴェンションへの試み」に収録された4つのヴァイオリン協奏曲集です   それぞれ「急ー緩ー急」の3つの楽章から成っていますが,楽譜にはソネットという14行の詩が書かれています.「夏」のソネットは「灼熱の太陽に動植物は朦朧とする カッコー,鳩,ゴシキヒワが鳴き出す 急に冬のような北風が吹く 羊飼いは嵐を恐れるが雷鳴と蚊と蜂が襲ってくる 雹が降り穀物を荒らしてしまった」という内容になっています

再び冨田氏がパイプオルガン席から1階のステージに降りてきます.本当に忙しい人です   それと同時に,ステージ左サイドからバッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーが入場します   この曲でも若松夏美さんがソロを担当します.ソネットを頭の隅において聴いていると,まさに音楽が表す情景が浮かんでくるようです.自然描写の音楽としてヴィヴァルディの「四季」は超一流と言っても良いでしょう

最後の曲はバッハ「パッサカリア  ハ短調」BWV582です   冒頭に足鍵盤で主題が演奏され,20の変奏曲が繰り広げられます.まさにパイプオルガンによる音の大伽藍が築き上げられます  

冨田氏はこの日のコンサートで,終始 譜めくりを置かず一人でパイプオルガンに向かいました   予算の関係とかいろいろ事情があるのでしょうが,とくに最後のパッサカリアなどは大変そうでした.もちろん冨田氏は何の苦もなさそうに演奏に集中していましたが

白熱の演奏に対する会場いっぱいの拍手に応え,冨田氏はバッハの「来たれ造り主にして聖霊なる神よ」BWV667を演奏,大きな拍手を浴びました

初めてバッハ・コレギウム・ジャパン(B.C. J)のメンバーが「フェスタサマーミューザ」に参加した公演でしたが,これを機会に古楽器の良さが認識され,B.C.Jの定期会員が増えてくれればいいなあと思います

 

     

 

     

コメント (2)
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