人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

大友直人+東京交響楽団で芥川也寸志「トリプティーク」,黛敏郎「饗宴」,團伊玖磨「飛天繚乱」,千住明「滝の白糸」を聴く~東響オペラシティシリーズ第99回公演

2017年08月21日 07時44分19秒 | 日記

21日(月).わが家に来てから今日で1055日目を迎え,米韓両軍は21日に朝鮮半島有事を想定した定例の合同軍事演習を韓国で始めるが,北朝鮮の金正恩委員長は演習を凝視している模様だ というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     米朝は必要以上に北朝鮮を刺激しないで 桂米朝の落語CDでも聴かせた方が良くね?

 

                                           

 

昨日,初台の東京オペラシティコンサートホールで,東京交響楽団のオペラシティシリーズ第99回演奏会を聴きました   プログラムは①芥川也寸志「弦楽のための三楽章”トリプティーク”」,②團伊玖磨「管絃楽幻想曲”飛天繚乱”」,③黛敏郎「饗宴」,④千住明:オペラ「滝の白糸」から第3幕です   ④のソプラノ独唱=中嶋彰子,メゾ・ソプラノ独唱=鳥木弥生,テノール独唱=高柳圭ほか,合唱=東響コーラス,指揮=大友直人です

この日前半のプログラムは,1953年6月に結成された「三人の会」(芥川也寸志,團伊玖磨,黛敏郎)のメンバーによる作品です

 

     

 

弦楽奏者が配置に着きます.いつもの東響の並びで,左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという編成です.コンマスはグレブ・二キティンです

1曲目の「弦楽のための三楽章”トリプティーク”」は,芥川龍之介の三男・芥川也寸志が,1951年からN響の常任指揮者を務めていたクルト・ヴェスのアメリカ・ツアーに際して委嘱され,芥川が愛聴していたアレクサンデル・タンスマンの弦楽四重奏または弦楽合奏のための「トリプティーク(三連画)」に因んで名付けられました   第1楽章「アレグロ」,第2楽章「子守歌」(アンダンテ),第3楽章「プレスト」の3つの楽章から成ります

芥川也寸志の音楽の特徴は,一定の音型やリズムを繰り返す「オスティナート」という手法です   これは東京音楽学校(現・東京藝大)で師事した伊福部昭(ゴジラのテーマ音楽で有名)の影響が大きいと思われます   第1楽章を聴いていると,どこかプロコフィエフを思わせる曲想が現れます   伊福部昭はプロコフィエフの影響を受けています.第2楽章では,チェロやヴィオラが楽器の胴を手で叩く奏法が見られます   第3楽章は,リズムを中心とした激しい音楽が展開します

2曲目は團伊玖磨「管絃楽幻想曲”飛天繚乱”」です   オケに管楽器奏者が加わります.團伊玖磨と言えば「團伊玖磨ポップス・コンサート」を思い出します   大学時代にハガキで公開録画に応募して友人と渋谷公会堂に聴きに行ったものです 

「管絃楽幻想曲”飛天繚乱”」は大阪センチュリー交響楽団(現・日本センチュリー交響楽団)の委嘱作品として1991年に作曲されました   「飛天」とは空中を舞って佛を讃える天女のことです.作品はロンド風の単一楽章の曲です.全体を通して聴く限り「和風ディズニーアニメの付随音楽」といったファンタジックな曲想です   天女が自在に天空を飛び回る有様を表したフルートの独奏がありますが,首席の相澤政宏の演奏は天空を舞う天女の姿を思い浮かべるほど見事な演奏でした

3曲目は黛敏郎「饗宴」ですが,黛敏郎と言えばテレビ番組「題名のない音楽会」を思い出します   放映中,さんざん右翼的だと批判されながらも独自の視点で企画を練り上げ,ジャンルを超えてあらゆる音楽取り上げていました

「饗宴」は2部から成る作品です.オケにサクソフォン5人が加わり,文字通りフル・オーケストラ編成に成ります   第1部の導入部から芥川とも團とも異なる荒々しい曲想が展開します   第2部ではサクソフォン群がダイナミックな演奏を展開しますが,まるでビッグバンド・ジャズの如しです   9月にサントリーホールで「サマーフェスティバル」が開かれ,黛敏郎の作品も取り上げられますが,企画プロデューサーの片山杜秀氏によると「あらぶる黛」となっています   まさに,現状を打破してやろうという荒ぶる音楽を聴いているようです

 

     

 

休憩後は千住明:オペラ「滝の白糸」から第3幕です   この作品は泉鏡花の「義血侠血」が原作で,黛まどかの台本による日本語オペラです.公益財団法人金沢芸術創造財団などの委嘱により作曲され,2014年に高岡市,金沢市,東京で初演され,2015年11月に改訂版が金沢市で初演されました

歌手陣は滝の白糸(水島友)=中嶋彰子(ソプラノ),欣弥の母=鳥木弥生(メゾ・ソプラノ),村越欣弥=高柳圭,その他のソリスト:ソプラノ=北原瑠美,テノール=加藤太朗,寺田宗永,北嶋信也,バリトン=大川博,小林啓倫,バス=清水那由太,金子宏.合唱=東響コーラスです

オケの後方に東響コーラスが入り,指揮者の近くに中嶋,高柳,鳥木の3人が,管楽器の左右に他のソリストたちがスタンバイします

演奏されるのは,「序曲」(当日追加された)とオペラ全3幕のうち「第3幕」です   プログラム冊子に「オペラのあらすじ」と「第3幕の歌詞」が紹介されていますが,このオペラを聴くに当たって,これらをあらかじめ読んでおかないと理解は不十分に終わると思います   幸い私は事前に3回ほど読めたので,オペラ全体のストーリーと歌手たちによって歌われる歌詞を頭に入れて聴くことが出来たので,オペラへの理解が深まり,容易に感情移入することができました

歌手陣は主役級の3人はもちろんのこと,他のソリストたちも絶好調と言ってもよい出来でした   特に滝の白糸(水島友)を歌った中嶋彰子は,さすがは1999年からウィーン・フォルクスオパーで活躍した実績をもつソプラノで,抒情的でしかも力強い歌声を披露してくれました   村越欣弥を歌った高柳圭は「滝の白糸」の初演時にも同役を歌っていますが,良く通る明るいテノールです   鳥木弥生は,かつて見た彼女とはまったく別人のように見えました   歌手としての年輪を重ねたということでしょうか.役に成り切っていたということで言えば,鳥木は歌っている時はもちろんのこと,歌っていない時も終始悲痛な表情で,命の恩人の滝の白糸が裁判にかけられ死刑になっていくことに対する悲しみを湛えていました

終演後,拍手の中,客席に居た作曲者の千住明氏がステージ上に呼ばれ,大友,中嶋,高柳,鳥木とハグして讃え合いました   大友直人が同時代の歌劇をコンサートで取り上げていることはもっと賞賛されて良いと思います

 

                                            

 

8月3日のブログで,東京オペラシティコンサートホールで開かれるコンサートにおけるアナウンスについて,概要次のような要望を手紙に書いて財団法人東京オペラシティ文化財団あて郵送した旨 書きました

「東京オペラシティコンサートホールで開かれるコンサートの休憩時間に流されるアナウンスは,『開演中にケータイ電話が鳴り出しますと 他のお客様のご迷惑になることがございます.電源をお切りください』としているが,いかに演奏中のケータイ着信音が迷惑かを考えれば『ご迷惑となることがございます』ではなく『ご迷惑になります.電源をお切りください』と断言すべきである

私の住所・氏名,メルアド明記のうえ財団あて郵送しましたが,昨日まで何の反応もありませんでした   そこで,昨日のコンサートでは休憩時間のアナウンスに耳を傾けていたのですが,残念ながら相変わらず「他のお客様のご迷惑になることがございます」とアナウンスしていました   まだ1か月も経っていないので,しばらく様子を見ることとし,9月以降に東京オペラシティコンサートホールで開かれる公演を待って今後の対応を考えたいと思います

コメント (8)
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