人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

メンデルスゾーン「Vn協奏曲」(キム・ボムソリ),ドヴォルザーク「Vc協奏曲」(岡本侑也),チャイコフスキー「P協奏曲第1番」(ダニール・ハリトーノフ)を聴く~読響「三大協奏曲」コンサート

2017年08月29日 09時03分46秒 | 日記

29日(火)その2.よい子は「その1」から見てね   モコタロはそちらに出演しています 

昨夕,東京オペラシティコンサートホールで読売日響「三大協奏曲」コンサートを聴きました   プログラムは①メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」,②ドヴォルザーク「チェロ協奏曲ロ短調」,③チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番変ロ短調」です   ①のヴァイオリン独奏=キム・ボムソリ,②のチェロ独奏=岡本侑也,③のピアノ独奏=ダニール・ハリトーノフ,管弦楽=読売日響,指揮=海老原光です

 

     

 

自席は1階30列10番,左ブロック右通路側席(最後列に近い席)です.会場はほぼ満席状態.よく入りました   オケはいつもの読響の編成で,弦は左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという並びです.コンマスは長原幸太です

1曲目のメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」は1844年に作曲され,翌5年3月13日にライプツィヒで初演されました   1989年韓国生まれ,現在28歳のキム・ボムソリが白の華やかな衣装で登場します   2010年の仙台国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門で最年少入賞(第4位)を果たし,13年にはARDミュンヘン国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門で最高位(1位なしの2位)に入賞しています   現在ジュリアード音楽院に在学中です

海老原光のタクトで第1楽章が開始され すぐにヴァイオリンが入ってきます.とても美しいヴァイオリンです   技巧的にも何の問題もありません   しかし,この曲を聴いていつも思うのは,誰の演奏も同じように聴こえ,個性って何だろう,ということです   ひと言で言えば「没個性」ということです.「記録に残るが記憶に残らない」演奏がいかに多いかということです   これは「名曲」と言われる作品ほどそのように思います.いかに他の演奏家との「差別化」を図るのか,説得力を持って耳に聴こえる形で表現することは相当難しいのではないかと思います  

キム・ボムソリはアンコールにソ・イサンの「庭園のソナタ」から第5番「小鳥」を演奏しましたが,こちらの方がお国柄からか個性的な演奏だと思いました

2曲目はドヴォルザーク「チェロ協奏曲ロ短調」です   ドヴォルザークはアメリカのナショナル音楽院の院長として1892年から95年までニューヨークに滞在しましたが,その間にボヘミア出身のチェロ奏者ハヌシュ・ヴィハンからチェロ協奏曲の作曲を依頼され,1895年に完成しました

チェロを弾く岡本侑也が今年6月にブリュッセルで開かれたエリザベート王妃国際音楽コンクールのチェロ部門で第2位に入賞したというニュースに接したのは,このコンサートのチケットを買った数日後のことでした   1994年東京生まれということなので現在23歳.現在,ミュンヘン音楽大学に在学中です

海老原光の指揮で第1楽章が開始されます   岡本のチェロが力強く入ってきます.彼の演奏も技巧的には何の問題もありません.とても美しいチェロです   しかし,彼にしかない個性って何でしょう? 演奏姿を見ていると,汗をかかずクールに演奏しているように思います   言い換えれば,必死の姿勢が見られません.たとえば,アレクサンドル・クニャーゼフの「命を懸けて渾身の演奏する」といったスタイルとは対極にある演奏です   クールがスタイルだと言えばそうなのでしょうが,それでは他の演奏家と差別化が図れません.最近クールな演奏が多いと思われるからです

 

     

 

休憩後はチャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番変ロ短調」です   この曲は1875年に作曲され,同年10月25日にアメリカ・ボストンで初演されました   ステージに現れたダニール・ハリトーノフは相当背が高いスマートなイケメン青年です   1998年サハリン生まれと言いますから,現在19歳です   モスクワ音楽院で学び,ゲルギエフやスピヴァコフに認められロシアやヨーロッパで活躍中とのことです

海老原光のタクトで第1楽章が始まります   ピアノが入ってきたとき,「これはイケるかも知れない」と思いました.弱冠19歳とはとても思えない巨匠風のスケールの大きな演奏を展開します   もちろん技巧は完璧と言っても良いでしょう.速いパッセージも何の苦もなく超高速で弾き切ります   一方,ゆったりしたパッセージでは一音一音に意味が込められています   バックを務めるオケも,フルート,オーボエを中心にソリストを盛り立てます

前半では何となくモヤモヤしていましたが,3人目にしてやっとスッキリしました   19歳のハリトーノフ 恐るべし,です

最後に3人が再登場し,満場の聴衆の拍手を受けましたが,3人ともまだ若い   「今が頂点」と言われないよう頑張って欲しいと思います

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藤田敏八監督「スローなブギにしてくれ」「リボルバー」を観る~ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番」も流れる

2017年08月29日 08時21分24秒 | 日記

29日(火)その1.今朝6時前後から3回ほど,枕元のケータイがピコピコ鳴りました   この時間帯で鳴るのは「集中豪雨警報」か「北朝鮮のミサイル発射」くらいしかありません   6時17分に開いてみたら Jアラート(全国瞬時警報システム)情報でした.それによると,北朝鮮がミサイルを発射し日本の上空を通過中であるとのことで,警戒地域として北海道,東北各県,新潟,茨城,栃木が挙げられていました.警戒地域が広いのでてっきり複数のミサイルが発射されたのかと思ったのですが,あとでNHKテレビで確認したら1発だけで,北海道の襟裳岬上空を通過し太平洋上に落下したとのことでした   核とミサイルで武装するハリネズミ国家・北朝鮮の金正恩は本当に困ったものです   これでまたアメリカのトランプ大統領が反発して 下手なツイートをして挑発したら大変なことになります.これも困ったものです

ということで,わが家に来てから今日で1063日目を迎え,神戸市の橋本健市議(自民)が,市政報告の印刷費をめぐり政務活動費約700万円を不正請求した疑惑が浮上し,橋本氏は28日,所属会派を通じて「多大なご迷惑,ご心配をおかけし,心よりお詫び申し上げます.印刷費は返金します」として,議員を辞職することを明らかにした というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     

         これは橋本議員一人の問題じゃない  全国的にSPEED上げて調査すべきだろうな

 

                                           

 

昨日,夕食に「豚しゃぶ」「生野菜とサーモンのサラダ」「冷奴」を作りました   「豚しゃぶ」は少量の日本酒で湯がきます

 

     

 

                                             

 

現在,池袋の新文芸坐では藤田敏八監督没後20年特集を上映中です   昨日,同監督映画「スローなブギにしてくれ」と「リボルバー」の2本立てを観ました   なぜ観たいと思ったかと言うと,「リボルバー」の原作者が愛すべき佐藤正午さんだからです   そういう意味では「スローなブギにしてくれ」は”ついで”です

 

     

     

 

「スローなブギにしてくれ」は片岡義男の同名小説と「ひどい雨が降ってきた」「俺を起こして,さよならと言った」を元に,藤田敏八が監督した1981年KADOKAWA映画(130分)です

第三京浜で白いムスタングから放り出されたさち乃(浅野温子)を助けたのはバイクで走っていたゴロー(古尾谷雅人)だった   これをきっかけに2人は同棲生活を始める.一方,ムスタングを運転していた中年男(山崎務)も男2人女1人の奇妙な同棲生活を送っていたが,男の1人(原田芳雄)がジョギング中心臓発作で死んでしまう   さち乃はクリーンエリザベスという名前のスナックで働き始めるが,ゴローは喧嘩をしてバイトを辞めてしまう.ゴローが家を出たため,さち乃は中年男と会って,また奇妙な 男1人女3人赤ん坊1人の同棲生活を始める   しかし,すぐに いたたまれなくなり家を出る.いろいろあって,ゴローとさち乃はよりを戻して再び同棲し さち乃は妊娠する.ある日,海からムスタングが引き上げられ,男は生きていたが 女は死んでいた

 

     

 

この映画は南佳孝によるテーマ・ソング「スローなブギにしてくれ」とともに大ブレイクしました   が,意外にもクラシック音楽が使われていました   1曲は,中年男がムスタングに乗ってスイッチを入れると流れてくるブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調」第3楽章「アレグロ・エネルジコ」です   もう1曲は,中年男の娘が発表会で演奏するテクラ・バダジェススカ「乙女の祈り」です   クラシック音楽と言えば,監督の藤田敏八は鈴木清順監督「ツィゴイネルワイゼン」で青地役として出演していたのを思い出しました.役者としても立派でした

この映画では,当時の時代を反映して「セパレート・ステレオ」「ラジカセ」「カセット・テープ」「ドーナツ盤」といった懐かしい製品が出てきます.当時を思い出しました

ところで,この映画の終盤でテーマ音楽「スローなブギにしてくれ」のレコードがかけられるのですが,南佳孝の歌に合わせて「ウォンチュウ~」と歌い出すおじさんが近くの席にいて閉口しました   閉口四辺形の面積は「底辺✖高さ」.テーヘンだ声の高さが違ってる

 

                                             

 

2本目の「リボルバー」は佐藤正午原作,藤田敏八監督による1988年日活映画(115分)です

巡査部長の清水信彦(沢田研二)は,ある日公園でサラリーマンに殴られ拳銃を奪われてしまう   犯人の男は不倫相手のOLが別の男と結婚するというので逆恨みしていた   しかし,結局二人を殺すことが出来ず,拳銃を動物園のゴミ箱に捨てる   それを高校生が拾う.彼はある男にボコボコにされ恨みを持っており,その男を殺すべく北海道まで赴く   一方,清水は責任を取って警察を退職してヒモのような生活をしていたが,高校生が拳銃を持って北海道に赴くことを知り,後を追う.清水は高校生を殺人者にすることを止めることが出来るのか

 

     

 

何と面白い映画だろう,と思います   それは明らかに佐藤正午の原作が素晴らしいからです   ジュリー(沢田研二)が,真面目だけれど何となく頼りない巡査部長を好演していましたが,脇を固める人たちの個性が溢れています   とくに全国の競輪場を巡り,賭けては負ける男二人(柄本明+1)が可笑しい   いつの間にか主役を食っていたりします   今,これほど面白い映画はどれほどあるのだろうか

 

     

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