人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ジョナサン・ノット ✕ 甲藤さち ✕ 東京交響楽団でヴァレーズ「密度21.5」、同「アメリカ」、R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」を聴く~東響第666回定期演奏会

2018年12月16日 07時23分14秒 | 日記

16日(日)。わが家に来てから今日で1535日目を迎え、トランプ米大統領は14日、大統領首席補佐官代行に行政管理予算局のミック・マルバニー局長を充てると自身のツイッターで明らかにした というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      代行って微妙だ 数か月後にトランプから「使えないヤツ」と言われて辞めるのか

 

         

 

昨夕、サントリーホールで東京交響楽団の第666回定期演奏会を聴きました プログラムは①ヴァレーズ「密度21.5(無伴奏フルートのための)」、②同「アメリカ(1927年改訂版)」、③リヒャルト・シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」です ①のフルート独奏は首席の甲藤さち、指揮はジョナサン・ノットです

 

     

 

事前に「ヴァレーズの2曲は指揮者の意向により続けて演奏するので、曲間に拍手をしないように」というアナウンスが入りました

オケはノット・シフト=左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第1ヴァイオリンという対向配置です。コンマスは今や東響の顔となった水谷晃です

1曲目はヴァレーズ「密度21.5(無伴奏フルートのための)」です この曲はエドガー・ヴァレーズ(1883-1965)が1936年に作曲し、1946年に改訂した作品です タイトルにある「21.5」という数値は初演者のフルーティスト、ジョルジュ・バレールが作らせたプラチナ製フルートの比重を表しているそうです

会場の照明が落とされ、定位置でスタンバイしている甲藤さちだけにスポットライトが当てられます。甲藤さちの独奏フルートの奏でるメロディーが会場を支配します 聴いていると、ドビュッシーのようなところがあり、そうかと思うと、フルートを尺八に持ち替えて演奏しても曲が映えるようにも感じます 無伴奏曲特有のとても深い印象の演奏でした

5分ほどのフルート・ソロの演奏が終わるとステージに照明が灯され、ノットの指揮で「アメリカ(1927年改訂版)」がアルト・フルートにより開始されます この曲は1918年から21年までにかけて作曲され、1927年に改訂された作品です フルートからフルートへ間断なく受け継ぐ仕掛けはノットの周到な計算に基づくものでしょう なかなか良い曲だなと思っていると、打楽器群がフル稼働し始め、そうかと思うと金管楽器群が咆哮を始め、弦楽器群と縦横に絡み合いながら爆発を繰り返します この曲はフランス生まれのヴァレーズがアメリカに渡って初めて書いた管弦楽作品だそうですが、ニューヨークの喧噪を音楽で表したのがガーシュインの「パリのアメリカ人」だとすれば、「アメリカのフランス人」とでも表現すべき音楽です 数年後に控えた大阪万博を機に再評価が進む岡村太郎の言葉を借りれば「芸術は爆発だ」という過激な音楽です。ガーシュインは車の「クラクション」を作品に取り入れましたが、ヴァレーズは「サイレン」を随所に取り入れ、不穏な空気を醸し出しています ノット✕東響はこの喧噪に満ちた複雑怪奇な音楽を整然と表現し聴衆を唖然とさせました


     


プログラム後半はリヒャルト・シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」です この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が1897年から98年にかけて作曲し、99年3月3日にフランクフルトの博物館音楽会で作曲者自身の指揮により初演されました リヒャルト・シュトラウスはこの作品を書くにあたり、おそらくベートーヴェンの「英雄交響曲」を意識していたと思われますが、彼が描いたのは全人類の理想としての英雄ではなく、世間の俗物たちと戦いながら 作品を完成していく一人の芸術家の姿です つまり英雄とはリヒャルト・シュトラウス自身を指しています この作品には、彼の過去の作品「ドン・ファン」「ツァラトゥストラはかく語りき」「死と浄化」「ドン・キホーテ」などのテーマが断片的に出てきて、英雄である自分はこれだけの作品を世に出してきたのだとひけらかしていますが、個人的なことを言えば、こういうところが、リヒャルト・シュトラウスを好きになれず、定期演奏会ででも取り上げられない限り積極的に聴こうとは思わない要因になっているのです 第一、彼がこの曲を書いたのは33~34歳の時です。普通、そんな若さで自分の過去の業績を作品に込めてひけらかす人はいないでしょう 「ばらの騎士」というオペラ史に残る大傑作を書いた作曲家とは思えません

作品は次の6部から構成されています

第1部「英雄」=英雄(つまりリヒャルト・シュトラウス)の登場

第2部「英雄の敵」=批評家、同輩などからの誹謗中傷

第3部「英雄の伴侶」=リヒャルト・シュトラウスの妻パウリ―ネのテーマ

第4部「戦場での英雄」=批評家たちとの戦いと勝利

第5部「英雄の業績」=過去の作品「ドン・ファン」「ツァラトゥストラはかく語りき」「死と浄化」「ドン・キホーテ」などの動機の登場

第6部「英雄の隠遁と完成」=英雄の最期

今回の演奏で一番印象に残ったのは、第3部「英雄の伴侶」で作曲家の妻(つまりパウリ―ネ)のテーマを演奏したコンマス水谷晃のヴァイオリン独奏です 艶やかなヴァイオリンの音色が記憶に残っています

この曲を、標題抜きで 純粋な管弦楽曲として聴いた時、ノットはオケの面々の持てる力を十二分に引き出し、スケールが大きくドラマティックな演奏を展開していました

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