人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

サカリ・オラモ ✕ アヌ・コムシ ✕ 東京交響楽団でシベリウス:交響詩「ルオンノタル」、ドヴォルザーク「交響曲第8番」、サーリアホ「サーリコスキ歌曲集」他を聴く

2024年04月21日 01時06分21秒 | 日記

21日(日)その2。「その1」で新日本フィル「第655回定期演奏会」について書きました モコタロはそちらに出演しています 是非ご訪問ください

昨日、午後6時から東京交響楽団「第719回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ラウタヴァーラ「カントゥス・アルクティクス」(鳥とオーケストラのための協奏曲)作品61、②サーリアホ「サーリコスキ歌曲集(管弦楽版)」日本初演、③シベリウス:交響詩「ルオンノタル」作品70、④ドヴォルザーク「交響曲第8番 ト長調 作品88」です 演奏は②③のソプラノ独唱=アヌ・コムシ、指揮=サカリ・オラモです

サカリ・オラモはフィンランド出身。BBC交響楽団首席指揮者、ロイヤル・ストックホルム・フィル桂冠指揮者、フィンランド放送響名誉指揮者を務めている かつてフィンランド放送響でコンマスを務めており、ヴァイオリニストでもある

 

     

 

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東響の並び。コンマスは小林壱成です なお、4月1日からコンマスの役職名が変わりました ブレブ・ニキティンと小林壱成が第1コンサートマスターに、田尻順がコンサートマスタ―になりました

1曲目はラウタヴァーラ「カントゥス・アルクティクス(鳥とオーケストラのための協奏曲)作品61」です この曲はフィンランドの作曲家、エイノユハ二・ラウタヴァーラ(1928-2016)が1972年に、オウル大学の博士号授与式のために書いた作品です 第1楽章「湿原」、第2楽章「メランコリー」、第3楽章「渡る白鳥」の3楽章から成ります

サカリ・オラモの指揮で演奏に入りますが、タイトル通り 協奏曲のソリストは「鳥の鳴き声」です フルートのソロから始まりますが、竹山愛の演奏が素晴らしい その後は、録音された様々な鳥の鳴き声が流れ、管弦楽との協奏を展開します もちろん初めて聴きましたが、メロディーもきちんとしていて楽しく聴きました

2曲目はサーリアホ「サーリコスキ歌曲集(管弦楽版)」の日本初演です この曲はフィンランドの作曲家、カイヤ・サーリアホ(1952-2023)が2013年から20年にかけて作曲したソプラノと管弦楽のための作品です テキストとして、ペンッティ・サーリコスキの詩集「地域」(1973年著)から、人生と自然についての個人的な感興が描かれた5つの詩が用いられています 第1番「自然の顔」、第2番「それぞれのこれ」、第3番「すべてこれは」、第4番「私の中の鳥と蛇が」、第5番「霧を抜けて」の5曲です

ソプラノ独唱のアヌ・コムシはフィンランドを代表するソプラノで、意欲的に現代音楽に取り組んでいます

カラフルな衣装で登場したアヌ・コムシがステージ中央でスタンバイし、サカリ・オラモの指揮で演奏に入ります アヌ・コムシは強靭でクリアな歌唱で変幻自在に歌い上げ、聴衆を黙らせました 時に空気を切り裂くような高音の鋭い歌唱によって会場の空気を一変させ、息の長い旋律をものともせず美しく歌い上げます こういうタイプのソプラノは初めて聴きましたが、圧倒されました

 

     

 

プログラム後半の1曲目はシベリウス:交響詩「ルオンノタル」作品70です この曲はジャン・シベリウス(1865-1957)が1913年にフィンランドの花形オペラ歌手アイノ・アクテの委嘱により作曲したソプラノとオーケストラのための交響詩です 「ルオンノタル」とはフィンランドの民族的叙事詩「カレヴァラ」に登場する大気の精の名です

ソプラノのアヌ・コムシがマリン・ブルーの衣装に”お色直し”して登場、サカリ・オラモの指揮で演奏に入ります アヌ・コムシは、この曲でも抜群のブレスコントロールにより、透明感のある美しい声で息の長い旋律を見事に歌い上げました

最後の曲はドヴォルザーク「交響曲第8番 ト長調 作品88」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が1889年8月から11月にかけて作曲、1890年2月2日にプラハで初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグレット・グラツィオーソ ~ モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

サカリ・オラモの指揮で第1楽章が開始されますが、かなり速いテンポでサクサクと進められます この曲でも竹山愛のフルートが素晴らしい 第2楽章の演奏を聴いているうちに、シベリウスの交響曲を聴いているような錯覚に陥りました この指揮者特有の歌い回しや間の取り方があるのです それと同時に、この楽章と1曲目の「カントゥス・アルクティクス(鳥とオーケストラのための協奏曲)」との親和性を感じました 第3楽章では弦楽合奏のアンサンブルが美しく、オーボエも素晴らしい演奏を繰り広げました 第4楽章ではトランペット、ホルン、トロンボーン、テューバといった金管楽器がよく鳴り響き、弦を中心に推進力に満ちた演奏を繰り広げ、圧倒的なフィナーレを迎えました

サカリ・オラモはメリハリの利いた指揮ぶりでアグレッシブな演奏を東響から引き出しました

会場いっぱいの拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました

 

     

     

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佐渡裕 ✕ 小林紗羅 ✕ 林美智子 ✕ ウエンツ瑛士 ✕ One Voiceちば ✕ 新日本フィルでメンデルスゾーン:劇付随音楽「夏の夜の夢」、ベートーヴェン「交響曲第2番」を聴く

2024年04月21日 00時06分42秒 | 日記

21日(日)その1。わが家に来てから今日で3386日目を迎え、米共和党議員らは、ワシントン近郊の「ワシントン・ダレス国際空港」を「トランプ国際空港」に改める法案を提出したが、一方の民主党はフロリダ州マイアミの刑務所「マイアミ連邦矯正施設」を「トランプ連邦矯正施設」に変更する法案を提出した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプ国際空港は日本語で言えば花札国際空港と同じじゃね? やめた方がいいな

 

         

 

昨日、午後2時からすみだトリフォニーホールで新日本フィル「第655回 定期演奏会」を、午後6時からサントリーホールで東京交響楽団「第719回 定期演奏会」を聴きました 私は新日本フィル「サントリー定期会員」ですが、前夜、東京シティ・フィル定期公演とダブっていたため、この日のトリフォニー定期に振り替えました ここでは新日本フィルのコンサートについて書きます

プログラムは①ベートーヴェン「交響曲第2番 ニ長調 作品36」、②メンデルスゾーン:劇付随音楽「夏の夜の夢」作品61です 演奏は②のソプラノ独唱=小林紗羅、メゾ・ソプラノ独唱=林美智子、妖精パック=ウエンツ瑛士、児童合唱=One Voiceちば、指揮=佐渡裕です

振り替え後のチケットをもらいにホール入口の受付に行ったら、パトロネージュ部にいるはずの登原さんが出迎えてくれたのでビックリしました 今月からチケットボックス部に異動になったとのことでした これまで必ずしも体調が万全ではなかったので、この異動によって少しでも改善すれば良いと思います 振り替え後の席は1階11列20番、センターブロック11列目のど真ん中です。振り替えだと通路側がなかなか確保できないのでしょう しかもこの日はほぼ満席状態だったのでなおさらです。しかし、このど真ん中の席が最後に功を奏しました

 

     

 

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの並び コンマスは崔文洙、隣は伝田正秀というダブルトップ態勢を敷きます

1曲目はベートーヴェン「交響曲第2番ニ長調作品36」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1801年から翌02年にかけて作曲、1803年にアン・デア・ウィーン劇場で初演されました 第1楽章「アダージョ・モルト ~ アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ」、第4楽章「アレグロ・モルト」の4楽章から成ります この曲の大きな特徴は、第3楽章に「メヌエット」でなく「スケルツォ」を置いたところです

佐渡の指揮で第1楽章の演奏に入ります 予想通り、冒頭の序奏はガツンと入りました ベートーヴェンはこうでなくてはいけません アレグロに移ると推進力に満ちた演奏が展開します フルートが素晴らしい 第2楽章では弦楽セクションの美しいアンサンブルが際立ちました 第3楽章ではオーボエ、ファゴットが冴えています 第4楽章に入ると、切れ味鋭い弦楽合奏と、タイミングよく打ち込まれるティンパニが心地よいリズムを刻みました

私は、ベートーヴェンの交響曲の演奏に関しては、音が多少ずれようが、濁ろうが、元気すぎるほどの演奏がちょうど良いと思っています 常に革新的な音楽を書いてきたベートーヴェンのことを考えれば、ベートーヴェン自身が振ったとしたらこんな演奏になるのではないか、と思うような演奏が望ましいと思います この日の佐渡 ✕ 新日本フィルの演奏はそんな演奏でした

 

     

 

プログラム後半はメンデルスゾーン:劇付随音楽「夏の夜の夢」作品61です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)が1842年に作曲、1843年にポツダムで初演されました この日演奏されたのは①序曲、②第1曲「スケルツォ」、③第3曲「合唱付きの歌」、④第5曲「間奏曲」、⑤第7曲「夜想曲」、⑥第9曲「結婚行進曲」、⑦第11曲「ベルガモ風道化の踊り」、⑧フィナーレです なお、「序曲」はメンデルスゾーンが17歳時の1826年に作曲したものです

ソプラノ独唱の小林沙羅は東京藝大・大学院修了、ウィーンとローマで研鑽を積む 2012年ブルガリア国立歌劇場「ジャン二・スキッキ」ラウレッタ、「愛の妙薬」アディーナで欧州デビュー メゾ・ソプラノ独唱の林美智子は東京音大卒、新国立オペラ研修所第1期修了。文化庁派遣芸術家在外研修員としてミュンヘンに留学。2003年国際ミトロプーロス声楽コンクール最高位入賞

児童合唱「One Voiceちば」のメンバー約50人がオケの後方左右にスタンバイします その真ん中にソリストの小林紗羅と林美智子が並んで控えます

佐渡裕が指揮台に上がると、ステージの照明が落とされ、正面のパイプオルガンに青と緑の照明が当たり、森の雰囲気を醸し出します 楽員は譜面台の手元灯で楽譜を見て演奏します すると、パック役のウエンツ瑛士が登場、前口上を述べ、妖精王オーベロンになった佐渡に王冠を被せます パックが”事の次第”をオーベロンに尋ねると、王冠を被った佐渡オーベロンは「キンシチョウ」とひと言(分かりますね。このホールは錦糸町にあります)。するとウエンツ・パックが”通訳”して物語を長々と語り、さらに訊くとオーベロンは「キンシチョウチョウ」とひと言 するとパックは再び長々と通訳して物語を語ります このやり取りは聴衆にバカ受けです このあと、ウエンツ・パックは曲と曲の間に会場のそこかしこから神出鬼没に表れてはスポットライトを浴び、ストーリーを語っては消えていきます 越後屋、おぬしも悪よのう って、間違えた ウエンツ、おぬしもなかなか役者やのう って、本物の役者だし訳者だった

出番は圧倒的に少なかったけれど、小林紗羅と林美智子のソロは素晴らしかった 小林紗羅の歌声は独特なので目を瞑っても彼女の声だと分かります 「One Voiceちば」の合唱もとても良かった 肝心のオーケストラも、ワクワクドキドキのストーリーに沿った素晴らしい演奏を展開しました

新シーズン第1回目の定期演奏会は、歌とオーケストラ演奏と芝居の総合力を結集したパフォーマンスにより大成功に終わったと言っても良いでしょう

ど真ん中の席だったので、正面から写メすることが出来ました 登原さん、ありがとう

 

     

     

 

満場の拍手とブラボーが飛び交い カーテンコールが終わったのは4時10分を過ぎていました この後、地下鉄を乗り継いでサントリーホールに向かいました 6時からの東京交響楽団「第719回 定期演奏会」の模様は「その2」に書きますので、是非ご訪問くださいましまし

 

     

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