人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイングでヴェルディ「運命の力」を観る ~ リーゼ・ダーヴィドセン、ブライアン・ジェイド、イーゴル・ゴロヴァテンコにブラボー! / 朝日・吉田純子さんの新聞記者の文章術4

2024年04月24日 02時09分24秒 | 日記

24日(水)。3回で終わりかと思っていたら第4回がありました 朝日新聞社編集委員・吉田純子さんによる朝刊のコラム「新聞記者の文章術 『音楽』を書くこと」が昨日4回目を迎えました 吉田さんはその中で、「吹奏楽や合唱のコンクールの全国大会で毎秋、当日の総評を書いている。翌日の朝刊に載せるのはかなりしんどい仕事だが、子供たちの中にほんの少しでも『真摯に磨き上げた表現は、知らない人の心にもちゃんと届く』という自信の種を贈ることができたらと、一言一言を真剣に選んでいる」「舞台に立つ人にプロもアマもない 誰もが等しく音楽家として敬意を払われるべきだ」と書いています

そして、4回目の文章術として「賞などの権威ではなく、自分の心を常に価値判断の礎とする」を挙げています 人はどうしても「〇〇コンクールで優勝」とか「〇〇コンクールで審査員特別賞を受賞」とか、権威の象徴としての”賞”に引っ張られて演奏を判断しがちです 確かにそうした演奏は素晴らしいかもしれないが、受賞を逃した演奏の中にも印象に残るものが少なからずあるはずだ、ということだと思います

しかし、吉田さんの「賞などの権威ではなく、自分の心を常に価値判断の礎とする」という言葉は、「言うは易く行うは難し」です 心構えとしては全くその通りにすべきだと思いますが、そうすることが出来るためにはそれなりの知識・能力がなければなりません 好き嫌いだけを判断基準の礎とするのなら簡単です。しかし、それでは説得力がありません 個人的には、1つでも多くの演奏を聴いて感性を磨き、”耳を鍛える”ことによって自分の心(自分自身の判断基準)を確立する以外に方法はないのではないか、と思います

ということで、わが家に来てから今日で3389日目を迎え、「頂き女子りりちゃん」の名前でSNSで活動し、男性3人から計約1億5千万円をだまし取ったとして詐欺などの罪に問われた渡辺真衣被告(25)の判決公判が22日、名古屋地裁であり、大村陽一裁判長は「意中のホストらの売り上げに貢献するために犯行に及び、刑事責任は相当重い」などとして、懲役9年・罰金800万円の判決を言い渡した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     裏金がっぽり「頂き議員あべはちゃん」には  懲役も罰金も科せられないわけね?

 

         

 

昨日、夕食に「シャケのアクアパッツァ」を作りました 本当はタラにしたかったのですが、品切れだったのでシャケで手を打ちました シャケは小ぶりだったので2切れで1人前です ヘルシーで美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ヴェルディ「運命の力」を観ました これは今年3月7日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演はレオノーラ=リーゼ・ダーヴィドセン、ドン・アルヴァ―ロ=ブライアン・ジェイド、ドン・カルロ=イーゴル・ゴロヴァテンコ、プレツィオジッラ=ユディット・クタージ、メリトーネ修道士=パトリック・カルフィッツィ、カラトラーヴァ伯爵/修道院長(2役)=ソロマン・ハワード。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、合唱=メトロポリタン歌劇場合唱団、指揮=ヤニック・ネゼ=セガン、演出=マリウシュ・トレリンスキです

 

     

     

「運命の力」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)がリヴァス公爵サーヴェドラによる戯曲「ドン・アルヴァ―ロ、あるいは運命の力」を基に書いたフランチェスコ・マリア・ピアーヴェの台本により、1861年から翌62年にかけて作曲、1862年11月10日にサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で初演された全4幕から成るオペラです

18世記半ば(本演出では戦時下の現代)。ヴァルガス家の令嬢レオノーラは敵方のドン・アルヴァ―ロと恋に落ち、駆け落ちを計画するが、レオノーラの父親に見つかってしまう もみ合ううちにアルヴァ―ロの拳銃が暴発し、父親は絶命する 恋人たちは逃避行の途中で離ればなれになり、レオノーラは修道院の奥の洞窟に身を隠し、アルヴァ―ロは軍隊に入る レオノーラの兄ドン・カルロは、父の仇として2人を追う。カルロとの決闘を逃れたアルヴァ―ロは修道院に入るが、そこはなんとレオノーラが隠れ住む場所だった カルロに追い詰められた2人はついに再会を果たすが、レオノーラは兄カルロの手によって殺される 一人残されたアルヴァ―ロは悲嘆にくれる

 

     

 

本作はMETで30年ぶりとなる新演出による「運命の力」の上演です 演出のマリウシュ・トレリンスキは1962年ポーランド・ワルシャワ生まれ。映画監督の出身で、1996年以降はオペラの演出も手掛け、2008年からポーランド国立歌劇場芸術監督を務めています 新国立劇場22ー23シーズン開幕公演「ボリス・ゴドゥノフ」の演出も手掛け、演劇的な解釈で話題を呼んだことは記憶に新しいところです

ヤニック・ネゼ=セガンの指揮で「序曲」がドラマティックに演奏されますが、その間、トレリンスキは回り舞台を有効に使い、歌手陣を動かします 父親を裏切ってまで恋人と駆け落ちしようとするレオノーラの苦悩を、リーゼ・ダーヴィドセンが本人に成り切った演技力で表現します そしてそのまま第1幕に移行します この辺の流れのつくり方は見事です

トレリンスキは映画監督出身の演出らしく、各幕の冒頭では、車窓を雨が流れ落ちるシーン、ヘリコプターが飛び交うシーン、銃を肩にかけた兵士が歩くシーン、森の中で鳥たちが鳴くシーン、廃墟のシーンなどが映像で流れるのが印象的です これらの映像は「戦争」、具体的には「ウクライナ戦争」を意識していることが窺えます

レオノーラ役のリーゼ・ダーヴィドセンは1987年ノルウェー生まれのソプラノです デンマーク王立音楽院等で学び、2015年にプラシド・ドミンゴ主宰「オペラリア」など国際コンクールで優勝を重ねました 最近ではMETライブ「ばらの騎士」の元帥夫人を歌い好評を博しました ドラマティックな歌唱とともに、繊細な表現も兼ね備えた表現力は魅力的で、演技力も抜群です

ドン・アルヴァ―ロ役のブライアン・ジェイドはニューヨーク出身のテノールです ドミンゴ主宰「オペラリア」で第2位入賞を果たしています 声量がありムリなく高音が伸びる歌唱が魅力的です

ドン・カルロ役のイーゴル・ゴロヴァテンコは1980年ロシア生まれのバリトンです モスクワ合唱芸術アカデミーで学び、数々のコンクールで上位入賞しています 特に弱音でも美しく聴かせることのできる歌唱が印象的です

プレツィオジッラ役のユディット・クタージはルーマニア系ハンガリー人のメゾ・ソプラノです チューリヒ歌劇場で研鑽を積みました 力強い歌唱で低音の魅力を発揮しました 

メリトーネ修道士役のパトリック・カルフィッツィは1974年ニューヨーク州生まれのバスバリトンです 米カトリック大学とイェール大学で学び、METには1999年以来400回以上出演しています 本作ではどちらかと言えば”悪役”を歌いましたが、魅力のある声質で、演技力が並外れていました

特筆すべきは、メトロポリタン歌劇場合唱団のコーラスです 特に、第2幕第3場(修道院の礼拝堂)で、レオノーラが修道院の裏山へ向かう時に、僧たちがレオノーラのために祈る合唱は心に迫ってきました 幕間のインタビューでMET合唱指揮のD.パルンボが合唱団を指導するシーンが映し出されましたが、作品に応じてイタリア語、ドイツ語、フランス語・・・と歌い分けなければならない宿命を抱えながら、いかにその曲の神髄をコーラスで表現するかを語っていて、この人は凄い人だなとあらためて思いました

最後に、ヤニック・ネゼ=セガン指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団による素晴らしい演奏を取り上げないわけにはいきません 終始、歌手に寄り添いつつ、レオノーラの苦悩を、ドン・アルヴァ―ロの愛を、ドン・カルロの復讐心を見事に表現していました

どうでもいいことですが、最後のカーテンコールで指揮者のヤニック・ネゼ=セガンがステージに上がり、歌手たちと共に拍手に応えましたが、両脇のリーゼ・ダーヴィドセンとブライアン・ジェイドに挟まれた彼は、まるで大人に挟まれた子どものように背が低く小柄だったので驚きました この小柄な男からあの力強い演奏が導かれるのかと思い、再び 驚きました

METライブビューイング:ヴェルディ「運命の力」の上映は、2回の休憩、歌手へのインタビュー等を含めて4時間15分です この作品に限って「腰痛の敵=ヴェルディ」です


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新日本フィル「室内楽シリー... | トップ | 「芸劇ブランチコンサート ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事