21日(日)その2。「その1」で新日本フィル「第655回定期演奏会」について書きました モコタロはそちらに出演しています 是非ご訪問ください
昨日、午後6時から東京交響楽団「第719回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ラウタヴァーラ「カントゥス・アルクティクス」(鳥とオーケストラのための協奏曲)作品61、②サーリアホ「サーリコスキ歌曲集(管弦楽版)」日本初演、③シベリウス:交響詩「ルオンノタル」作品70、④ドヴォルザーク「交響曲第8番 ト長調 作品88」です 演奏は②③のソプラノ独唱=アヌ・コムシ、指揮=サカリ・オラモです
サカリ・オラモはフィンランド出身。BBC交響楽団首席指揮者、ロイヤル・ストックホルム・フィル桂冠指揮者、フィンランド放送響名誉指揮者を務めている かつてフィンランド放送響でコンマスを務めており、ヴァイオリニストでもある
オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東響の並び。コンマスは小林壱成です なお、4月1日からコンマスの役職名が変わりました ブレブ・ニキティンと小林壱成が第1コンサートマスターに、田尻順がコンサートマスタ―になりました
1曲目はラウタヴァーラ「カントゥス・アルクティクス(鳥とオーケストラのための協奏曲)作品61」です この曲はフィンランドの作曲家、エイノユハ二・ラウタヴァーラ(1928-2016)が1972年に、オウル大学の博士号授与式のために書いた作品です 第1楽章「湿原」、第2楽章「メランコリー」、第3楽章「渡る白鳥」の3楽章から成ります
サカリ・オラモの指揮で演奏に入りますが、タイトル通り 協奏曲のソリストは「鳥の鳴き声」です フルートのソロから始まりますが、竹山愛の演奏が素晴らしい その後は、録音された様々な鳥の鳴き声が流れ、管弦楽との協奏を展開します もちろん初めて聴きましたが、メロディーもきちんとしていて楽しく聴きました
2曲目はサーリアホ「サーリコスキ歌曲集(管弦楽版)」の日本初演です この曲はフィンランドの作曲家、カイヤ・サーリアホ(1952-2023)が2013年から20年にかけて作曲したソプラノと管弦楽のための作品です テキストとして、ペンッティ・サーリコスキの詩集「地域」(1973年著)から、人生と自然についての個人的な感興が描かれた5つの詩が用いられています 第1番「自然の顔」、第2番「それぞれのこれ」、第3番「すべてこれは」、第4番「私の中の鳥と蛇が」、第5番「霧を抜けて」の5曲です
ソプラノ独唱のアヌ・コムシはフィンランドを代表するソプラノで、意欲的に現代音楽に取り組んでいます
カラフルな衣装で登場したアヌ・コムシがステージ中央でスタンバイし、サカリ・オラモの指揮で演奏に入ります アヌ・コムシは強靭でクリアな歌唱で変幻自在に歌い上げ、聴衆を黙らせました 時に空気を切り裂くような高音の鋭い歌唱によって会場の空気を一変させ、息の長い旋律をものともせず美しく歌い上げます こういうタイプのソプラノは初めて聴きましたが、圧倒されました
プログラム後半の1曲目はシベリウス:交響詩「ルオンノタル」作品70です この曲はジャン・シベリウス(1865-1957)が1913年にフィンランドの花形オペラ歌手アイノ・アクテの委嘱により作曲したソプラノとオーケストラのための交響詩です 「ルオンノタル」とはフィンランドの民族的叙事詩「カレヴァラ」に登場する大気の精の名です
ソプラノのアヌ・コムシがマリン・ブルーの衣装に”お色直し”して登場、サカリ・オラモの指揮で演奏に入ります アヌ・コムシは、この曲でも抜群のブレスコントロールにより、透明感のある美しい声で息の長い旋律を見事に歌い上げました
最後の曲はドヴォルザーク「交響曲第8番 ト長調 作品88」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が1889年8月から11月にかけて作曲、1890年2月2日にプラハで初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグレット・グラツィオーソ ~ モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります
サカリ・オラモの指揮で第1楽章が開始されますが、かなり速いテンポでサクサクと進められます この曲でも竹山愛のフルートが素晴らしい 第2楽章の演奏を聴いているうちに、シベリウスの交響曲を聴いているような錯覚に陥りました この指揮者特有の歌い回しや間の取り方があるのです それと同時に、この楽章と1曲目の「カントゥス・アルクティクス(鳥とオーケストラのための協奏曲)」との親和性を感じました 第3楽章では弦楽合奏のアンサンブルが美しく、オーボエも素晴らしい演奏を繰り広げました 第4楽章ではトランペット、ホルン、トロンボーン、テューバといった金管楽器がよく鳴り響き、弦を中心に推進力に満ちた演奏を繰り広げ、圧倒的なフィナーレを迎えました
サカリ・オラモはメリハリの利いた指揮ぶりでアグレッシブな演奏を東響から引き出しました
会場いっぱいの拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました
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