人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

菊池洋子のピアノ・リサイタルを聴く~モーツアルト,そしてドン・ジョバンニ

2012年02月17日 06時32分56秒 | 日記

17日(金).昨夕,紀尾井ホールで菊池洋子のピアノ・リサイタル「モーツアルト,そしてドン・ジョバンニ」を聴きました モーツアルト国際コンクール優勝から10年を経た彼女によるリサイタルで,曲目は①モーツアルト「幻想曲ハ短調K.475」,②同「ピアノ・ソナタ ハ短調K.457」,③ショパン「ドン・ジョバンニの”お手をどうぞ”による変奏曲」,④モーツアルト「ピアノ・ソナタ第10番ハ長調K.330」,⑤リスト「ドン・ジョバンニの回想」の5曲です

ロビーに入ると「本日の公演はNHKが放送録画します.ご承知おきください」との掲示がありました.なるほど会場に入ると1階センター後部席に大型カメラが1台,舞台上のピアニストの左後ろと向かい側に小型カメラが各1台,2階席に大型が1台設置されていました.そしてピアノの前には集音マイクが2本立てられています

菊池洋子は深緑のドレスに包まれて颯爽と登場します 背が高く長い髪の毛が彼女のトレードマーク,スレンダーです.彼女の演奏を聴くのは数年前,モーツアルトの後期のピアノ協奏曲を聴いて以来,今回が2度目です

最初のモーツアルト「幻想曲ハ短調K.475」と同「ピアノ・ソナタ第14番ハ短調K.457」は組み合わせて出版されたため,ペアの曲として演奏されることが多いのですが,彼女も連続して演奏しました.急ぐことなく,ゆっくりと丁寧に演奏します

次のショパン「ドン・ジョバンニの”お手をどうぞ”による変奏曲」は,モーツアルトがオペラ「ドン・ジョバンニ」を作曲した1787年から40年後の1827年に若きショパンが作曲した変奏曲ですこのオペラの第1幕でドン・ジョバンニが村娘ツェルリーナを誘惑していっしょに歌う二重唱「お手をどうぞ」を基にしてバリエーションを展開しています まるでリストか,と思わせる華麗で超絶技巧的な展開もありますが,基本はショパンらしい余情的なメロディー溢れる曲です.菊池は,そのバリエーションを楽しんでいるようでした とくに高音部がキラキラ輝いて綺麗でした彼女の演奏のひとつの特徴かもしれません.

休憩後の最初はモーツアルト「ピアノ・ソナタ第10番ハ長調K.330」です.私は軽やかなタッチで始まるこの曲が大好きです 親しみやすいメロディーですが,返って演奏は難しいのではないでしょうか.菊池はアクセントを付け緩急自在に演奏を展開します

最後の曲はリスト「ドン・ジョバンニの回想」です.リストは「リサイタル」を初めて挙行した作曲家・演奏家でした.観客を飽きさせないため,自作や他の作曲家の様々な作品をピアノ独奏用に編曲して演奏したと言われています ショパンの変奏曲と違って,華麗というよりはデモーニッシュ(悪魔的)とでもいうべき超絶技巧曲です リストは聴衆の目の前で誰にも真似の出来ないピアニストとしての腕を披露して喝采を浴びたに違いありません菊池は遅めのテンポの曲も,速いパッセージの曲も,確かな技巧の裏付けによって見事に演奏しました

拍手に応えてアンコールにリスト「愛の夢・第3番」,ショパン「練習曲エオリアン・ハープ」,モーツアルトの主題による変奏曲(多分そうだと思う)の3曲を演奏しました

この日のプログラムは「モーツアルト」をキーワードにすべての曲がつながっていて,選曲と演奏順が考え抜かれており,彼女のセンスの良さを感じました.今後の期待が楽しみなピアニストの一人です

 

        

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