人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

アンヌ・フォンテーヌ監督「ボレロ 永遠の旋律」を観る ~ モーリス・ラヴェルの名作誕生の秘話:ピアノ協奏曲ト長調、ピアノ三重奏曲、ラ・ヴァルスなどが流れる

2024年08月15日 00時08分06秒 | 日記

15日(木)。わが家に来てから今日で3502日目を迎え、北朝鮮メディアは10日、金正恩総書記が洪水被害にあった北朝鮮北部の平安北道を訪れ、専用列車で演説したと報じたが、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」が掲載した写真をみると、この列車内にメルセデス・ベンツの多目的スポーツ車(SUV)が積まれていた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     北の御大将はベンツ帯同で洪水被害の視察ですか! 国民は涙を流して喜ぶだろうね

         

昨日、夕食に「ハッシュドビーフ」「生野菜サラダ」を作りました ハッシュドビーフは久しぶりに作りましたが、美味しく出来ました

     

         

昨日、TOHOシネマズシャンテでアンヌ・フォンテーヌ監督による2024年製作フランス映画「ボレロ 永遠の旋律」(121分)を観ました

午前11時の部を観たのですが、館内は満席です お盆休みとはいえ、ラヴェルの「ボレロ」で映画館が満席とは驚きました

物語の舞台は1928年のパリ。スランプに苦しむモーリス・ラヴェル(ラファエル・ペルソナ)は、振付師でダンサーのイダ・ルビンシュタイン(ジャンヌ・バリバール)からバレエの音楽を依頼される 彼は失った閃きを求めるかのように自身の過去(最愛の母の死、叶わない愛など)に思いを馳せながら、試行錯誤の日々を経てついに傑作「ボレロ」を完成させる しかし、自身のすべてを注ぎ込んで作曲したこの曲に、彼の人生は侵食されていく

     

今なぜ「ボレロ」なのか・・・おそらく作曲者のモーリス・ラヴェル(1875-1937)が来年、生誕150周年を迎えるからだと思います

「ボレロ」はラヴェルが1928年に作曲したバレエ曲ですが、スネア・ドラムにより同一のリズムが保たれている中で、2種類の旋律が楽器を変えながら繰り返され、クレッシェンドしていき、最後にどんでん返しで終結するという特徴的な構成を有する演奏時間約17分の作品です

映画の冒頭は、機械音が反復して鳴り響く大きな工場です そこで人気作曲家のラヴェルが、機械が奏でる”音楽”の解釈についてイダ・ルビンシュタインに語ります アンヌ・フォンテーヌ監督は、「ボレロ」こそリズムやメロディーの反復性において機械が奏でる音楽と同質のものであると主張しているように思われます

面白いのは、イダ・ルヴィンシュタインが、完成した曲に合わせて艶めかしく官能的な振り付けで踊ると、ラヴェルは「余計な演出はやめてほしい」と言わんばかりの顔を見せるところです 彼女は「ボレロ」の音楽に官能的な側面を見出して振付したのに、作曲者のラヴェルはそのようには全く意図しておらず、もっと機械的にシンプルに踊ってほしかったのです しかし、公開初演の後、それまでラヴェルを評価していなかった評論家から「官能的な素晴らしい作品」と褒められ、やっとイダの解釈を認めるようになります

しかし、ラヴェルは「ボレロ」が大ヒットしたことから、「ボレロのラヴェル」というレッテルを貼られることになり、それに悩まされることになります 彼はそれを払拭するために「ピアノ協奏曲ト長調」を作曲します

この映画ではラヴェルの負の一面も紹介されます 彼は1900年から05年まで5回にわたりローマ賞(芸術を専攻する学生に対してフランス国家が授与する奨学金付き留学制度)に挑戦しますが、とうとう第1等を受賞できませんでした 映画では、仲間たちから「5回の落選に乾杯しよう」と皮肉られるシーンがあります ちなみにエクトル・ベルリオーズは数回の落選の後に第1等を受賞しています

ところで1928年11月22日の初演時にパリ・オペラ座でイダ・ルヴィンシュタインが「ボレロ」を踊るシーンは、ステージの上に大きな円卓が置かれ、その上でダンスを踊る映像になっていましたが、現実にはどうだったのでしょうか というのは、モーリス・ベジャール演出による「ボレロ」が、まさに円卓上でソリストによって躍られるからです 私の勝手な想像では、初演時には平面舞台で踊られ、ベジャールが初めて円卓上でのダンスを考案したのではないか、と思います

さて、音楽です この作品はラヴェルの”伝記映画”なので、彼の作品を中心に数々の音楽が使用されています 前半ではショパンの音楽がいくつか流れます 「ワルツ第19番 イ短調 遺作」、「ノクターン第13番 ハ短調 作品48-1」、「ワルツ第10番 ロ短調 作品69-2」です ラヴェルの音楽は「ボレロ」を中心に、「亡き王女のためのパヴァーヌ」、「道化師の朝の歌」、「夜のガスパール」、「ヴァイオリン・ソナタ第2番 ト長調」から第2楽章「ブルース」、「ピアノ三重奏曲 イ短調」から第1楽章「モデレ」、「弦楽四重奏曲 ヘ長調」から第2楽章「十分に生き生きと、きわめてリズミカルに」、「ラ・ヴァルス」、「マ・メール・ロワ」から第5曲「妖精の園」、「ピアノ協奏曲 ト長調」から第2楽章「アダージョ・アッサイ」などです ピアノ曲の演奏はアレクサンドル・タロ―、「ボレロ」の管弦楽による演奏はブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団です

観て聴いて楽しい映画です 観た後できっと、ラヴェルの音楽が聴きたくなります クラシックファンに限らず 広くお薦めします

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