人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

藤岡幸夫 ✕ 務川慧悟 ✕ 東京シティ・フィルでラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」、ホルスト:組曲「惑星」を聴く~フェスタサマーミューザ

2024年08月12日 00時16分46秒 | 日記

12日(月)。わが家に来てから今日で3499日目を迎え、カナダ出身の歌手、セリーヌ・ディオンさんが、アメリカ・モンタナ州のトランプ前米大統領の選挙集会で「楽曲や映像などが無断で使用された」として抗議した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     有名歌手の楽曲を無断使用するのは ”非常識が常識”の トランプ陣営の常套手段だ 

         

昨日午前、息子がお盆休暇で帰省しました さっそく昼食に「ざるラーメン」を作ってくれました

     

私が午後、コンサートがあるので、息子が夕食に「キーマカレー」「コーンスープ」「野菜と豆のサラダ」を作ってくれました どれもが美味しく プロ級の味で大満足です 普段はお酒は飲みませんが、3人揃ったので久しぶりに白ワインをいただきました

     

         

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ 東京シティ・フィル」演奏会を聴きました プログラムは①ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 作品30」、ホルスト:組曲「惑星」作品32です    演奏は①のピアノ独奏=務川慧悟、②の女声合唱=東京シティ・フィル・コーア、指揮=藤岡幸夫です

藤岡幸夫は英国王立ノーザン音楽大学指揮科卒業。1994年ロンドン「プロムス」にBBCフィルを指揮してデビュー 関西フィル首席指揮者は今年25年目を迎える。2019年から東京シティ・フィル首席指揮者を務める

開演前の14時20分から藤岡氏によるプレトークがありました この日演奏される2曲についてたっぷり20分解説しましたが、これまで私は何人ものプレトークを聞いてきましたが、藤岡氏ほど優れた語り手はいません ユーモアたっぷりに、ありきたりでない意外なエピソードを交えて分かりやすく解説します この日は、次のように解説しました

「ラフマニノフのピアノ協奏曲は第2番と第3番が人気曲ですが、自分は第3番の方が好きです 第2番に比べると3倍くらい難しい、つまり音符が多い曲ですが、務川君もこの曲が好きみたいです 彼は演奏家としても人間としても素晴らしい人です また、我々の世代にとって『惑星』といえば冨田勲のシンセサイザーによる『惑星』でした(うん、わかる)。てっきり作曲者は富田氏だと思ったほどで、世界中にセンセーションを巻き起こしました 『惑星』というと『土星』と『木星』が有名ですが、この2曲は黙っていても盛り上がる曲なので、リハーサルしてません(えっ、マジか)。最後の『海王星』は舞台裏で女声コーラスが歌われますが、コーラス陣はカーテンコールに出てこないので普段着で歌っています(えっ、マジか)。若い頃、舞台裏で女声コーラスを指揮してほしいと頼まれた時、緊張して上がってしまい頭が真っ白になって、冒頭部分が指揮できなかった苦い経験があります 次の出だしのところからやっと指揮をしましたが、終演後、指揮者に平謝りしました この曲は英国内で流行りましたが、その後すっかり忘れ去られてしまいました それが、60年代にカラヤンがウィーン・フィルを振って演奏し、さらにLPレコードに録音してから世界的に有名になりました カラヤンが録音しなかったら、この曲は今でも忘れ去られたままだったかもしれません

私はいつも藤岡氏のトークを楽しみにしています

     

さて、本番です 務川慧悟人気か、会場は満席です

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものシティ・フィルの並び コンマスは大阪フィルのコンマス・須山暢大です

1曲目はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番ニ短調作品30」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1909年に作曲、同年11月にニューヨークのカーネギーホールでラフマニノフ自身のピアノ独奏により初演されました 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・タント」、第2楽章「間奏曲:アダージョ」、第3楽章「フィナーレ:アラ・ブレ―べ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の務川慧悟(むかわ けいご)は2019年にロン=ティボー=クレスパン国際コンクールで第2位、2021年にはエリザベート王妃国際コンクールで第3位入賞の実力者です

この曲は数あるピアノ協奏曲の中で最高の難曲と言われていますが、務川はそれを楽しんでいるかのように超絶技巧を駆使して溌溂とピアノに対峙します 特に第3楽章におけるコーダは、オーケストラとの丁々発止のやり取りによりアグレッシブな演奏を展開、圧倒的なフィナーレを飾りました

満場の拍手とブラボーの嵐のなか、カーテンコールが繰り返されますが、自席の前列の女性陣が一斉に立ち上がりステンディング・オベーションを始めたので、メキシコ国境の壁でステージが見えなくなってしまいました これがスタオベの宿命なので、務川の姿を見るのは諦めて ひたすら拍手を送りました

鳴り止まない拍手に務川は、ラフマニノフ「楽興の時 第3番」を静かに演奏、聴衆のクールダウンを図りました

     

プログラム後半はホルスト:組曲「惑星」作品32です この曲はグスタ―ヴ・ホルスト(1874-1934)が占星術に惹かれたことをきっかけに1914年から16年にかけて作曲、1919年に公開初演されました 第1曲「火星:戦争をもたらす者」、第2曲「金星:平和をもたらす者」、第3曲「水星:翼のある使者」、第4曲「木星:歓喜をもたらす者」、第5曲「土星:老年をもたらす者」、第6曲「天王星:魔術師」、第7曲「海王星:神秘主義者」の7曲から成ります なお、作曲者は「この曲は標題音楽ではない」と語っています

藤岡の指揮で第1曲「火星:戦争をもたらす者」の演奏に入りますが、5拍子のオスティナート・リズムが力強く繰り返されます 藤岡は興奮したのか、タクトを飛ばしてしまい、第2ヴァイオリン奏者の前に落ちました 藤岡は演奏途中に拾うわけにはいかず、両手で指揮をしましたが、彼にはタクトはなくてもアイ・コン・タクトという武器があるので問題ありません アグレッシブな演奏で”一気火星”に攻めました この曲は、明らかに後の「スターウォーズ」に影響を与えています

第2曲「金星:平和をもたらす者」では須山のヴァイオリン・ソロが素晴らしい ハープとフルートが美しい演奏を繰り広げます 第3曲「水星:翼のある使者」ではハープの演奏が印象的です 第4曲「木星:歓喜をもたらす者」は平原綾香の歌う「ジュピター」で有名になりましたね 金管楽器の咆哮が素晴らしく、弦楽セクションの渾身の演奏が光ります 第5曲「土星:老年をもたらす者」ではコントラバスの重低音が印象的です 終盤におけるチューブラーベルの音は、プレトークで藤岡氏が指摘していたように、時代への警鐘かもしれないと思いました 第6曲「天王星:魔術師」ではデュカス「魔法使いの弟子」を彷彿とされる音楽が楽しく展開しました 最後の第7曲「海王星:神秘主義者」では後半に女声コーラスがステージ下手の上方から聴こえてきますが、「いったいどこで歌っているんだろう? 私服で」とあたりを見回しましたが、分かりませんでした

最後に女声コーラスが消え、静かに藤岡のタクトが下ろされると 満場の拍手とブラボーの嵐が巻き起こりました 文句なしの素晴らしい演奏でした

定期演奏会ではカーテンコールにおける撮影が禁止されているシティ・フィルですが、この公演では他のオケと揃って許可が出ていたので、貴重な写真を撮っておきました

     

     

     

     

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