8月1日(金)。昨夕、サントリーホールでKissポート・クラシックコンサートを聴きました プログラムは①ドヴォルザーク「チェロ協奏曲ロ短調」、②カール・オルフ「世俗カンタータ”カルミナ・ブラ―ナ”」で、指揮は大友直人、②のチェロ独奏は上野通明、③のソプラノ独唱=幸田浩子、テノール=高橋淳、バリトン=須藤慎吾、合唱=ミナトシティコーラス、東京少年少女合唱隊、オケは東京交響楽団です
自席は1階13列15番、左ブロック右通路側です。会場はほぼ満席 オケのメンバーが登場します。コンマスはグレヴ・ニキティン。内外のチェロ・コンクールで入賞している上野通明が、大友とともに登場します
1曲目のドヴォルザーク「チェロ協奏曲ロ短調」は7月20日に同じ東響でゲリンガスのチェロ独奏で聴いたばかりです 上野のチェロはスマートと言えばスマートですが、ゲリンガスのような”この曲に命を懸ける”ようなダイナミックな迫力には欠けます
概しておとなしい演奏と言えるでしょう。とは言うものの技術的には何の申し分もない演奏です。フルートの甲藤さちが要所要所でソリストをしっかりとサポートしていたのが印象に残ります
休憩後はオルフの世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」です。まず約200人の合唱団がステージ後方のP席にスタンバイします 左右の女声陣が、中央の男声陣を挟み込む形をとり、さらにステージの右手後方に児童合唱が配置されます。そしてステージいっぱい所狭しとオケが広がります
「カルミナ・ブラーナ」というのは、オルフが古書カタログの中に見つけた修道院の写本に基づいて編纂された13世紀の詩歌集のことです 全編で250編から成る詩集からオルフは24編を選び出し、オーケストラと独唱と合唱のための世俗賛歌としてまとめました
全体は「春」「酒場にて」「睦言」の3部から成りますが、最初と最後は女神の歌「おお、フォルトゥナ」を配置しています
映画音楽の劇的な場面などで時々この音楽が使われているのを聴いたことがあります。ハリソン・フォード主演の「インディージョーンズ」でもこの音楽をパクっていました
長い曲なので、最後まで聞き続けるのは至難の技ですが、私は2つのポイントを置いて聴きました。一つは「酒場にて」におけるテノールの高橋淳の演技を伴った歌唱です。ほとんど酔っぱらいのへべれけの歌を高橋は名人芸とでも言うべき歌唱力で聴衆を圧倒します この人の当たり役と言っても良いでしょう。高橋淳が”演技”しているのを、「この人、本当にいっちゃってるのかしら・・・」と見上げる幸田浩子の心配顔が印象的です。もう一つは、その幸田浩子が歌う「睦言」の中の第21曲「揺れ動く心の秤の上で」です。短い曲ですが、リサイタル等では単独で取り上げられるほど美しい曲です。あれかこれかと恋に揺れ動く心を見事に歌い上げます
ミナトシティコーラスと東京少年少女合唱隊は迫力ある歌で聴衆を圧倒しました 日々の練習は大変だったことでしょう。きっと打ち上げは盛り上がったでしょうね。お疲れ様でした。また来年も聴かせてください
いつも思うのですが、こういう大合唱付きフル・オーケストラ曲は、家や電車の中でイヤホンで聴いていたのでは本当の良さは伝わりません 「書を捨てて旅に出よう!」ではないですが、「CDを捨ててコンサートに行こう!」と言いたい音楽です
お忙しい中、ご来場いただきありがとうございます。
toraさまにお楽しみいただけたのでしたら、うれしいです。
ソリストのみなさんは本当にすばらしかったですね。
来年は、7月30日(予定)に千住明作曲「万葉集」を演奏します。
お聴きいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。