7日(水)。昨日の日経夕刊・総合面に「英シネワールド 米英の全映画館閉鎖へ」という見出しの記事が載っていました 超訳すると、
「映画館運営で世界2位の英シネワールドは5日、米国と英国の全映画館を一時閉鎖すると発表した 新型コロナウイルスの感染拡大が続き、映画会社が新作公開に消極的なためとしている 一時閉鎖の対象は同社が英国で運営する『シネワールド』『ピクチャーハウス』の127館と、傘下で米国2位のリーガル・シネマズが運営する536館だ。最大で4万5千人が当面失業する 再開時期は未定だという。全米劇場所有者協会は、新型コロナのパンデミックで米国の中小の映画館のうち約4分の3が経営破たんの危機にさらされていると警鐘を鳴らす 同業界で働く約10万人が失職する可能性があると指摘する 政府による財政支援を求める書簡を米議会に送った。書簡にはマーティン・スコセッシ氏ら著名監督も名を連ねた」
アメリカとイギリスはまだ感染拡大が目に見えて続いているので、こういう状況になっているのでしょう 一方、日本では映画館の「定員の半分以下」という制限が解除されましたが、私が行きつけのミニシアターだけをみると、早稲田松竹のように「定員の3分の1」のままのところもあるし、ギンレイホールのように定員の3分の2まで拡大したところもあるし、新文芸坐のように人数制限を撤廃したところもあります いずれにしても、かつてのように「閉館」するような状況にはなっていません 映画ファンとしては嬉しい限りですが、映画館側も観衆側も感染症対策(換気、検温、手指のアルコール消毒、マスク着用など)をしっかりした上で、暗い過去へ後戻りしないように留意しなければなりません
ということで、わが家に来てから今日で2197日目を迎え、新型コロナウイルスに感染し 入院していたトランプ米大統領が5日に退院したが、病院を出る直前に「すぐに選挙運動に戻る!フェイクニュースはニセの世論調査ばかり出す」とツイートし、ホワイトハウスに着くと マスクを外して敬礼した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
フェイクはトランプの存在そのもの 今や 歩くコロナクラスター発生源 と言われる
昨日、夕食に「サバの塩焼き」と「生野菜とアボカドのサラダ」「ジャガイモと玉ねぎの味噌汁」を作り、「カツオの刺身」と一緒に食べました 魚の塩焼きではサバ塩が一番好きです
昨日、早稲田松竹でテリー・ギリアム監督「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」とジム・ジャームッシュ監督「デッド・ドント・ダイ」の2本立てを観ました
「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」はテリー・ギリアム監督による2018年製作スペイン・ベルギー・フランス・イギリス・ポルトガル合作映画(133分)です
仕事への情熱を失っていた若手CM監督のトビー(アダム・ドライバー)は、スペインの田舎で撮影中、謎めいた男からDVDを渡される それはトビーが10年前の学生時代に監督し,賞にも輝いた「ドン・キホーテを殺した男」だった 映画の舞台となった村が近くにあることを知ったトビーは、現地を訪れるが、ドン・キホーテを演じた靴職人の老人ハビエル(ジョナサン・プライス)が自分を本物の騎士だと信じ込むなど、村の人々はトビーの映画のせいですっかり変わり果てていた トビーをドン・キホーテの忠実な従者サンチョ・パンサと思い込んだハビエルは、トビーを無理やり連れだし、冒険の旅に出る
この映画は、「テリー・ギリアムが幾たびか映画化を試みるも、そのたびに製作中止となるなど なかなか実現しなかった企画で、構想から30年を経てやっと完成に漕ぎつけた」というのが謳い文句です なるほど、撮影はスペインを中心に各国に及び、上映時間も2時間13分を要するなどスケール感が出ています しかし、私から見ると、何でもかんでも盛り込み過ぎのドタバタ喜劇にしか思えませんでした
唯一良かったのは、舞踏会シーンとエンドロールでショスタコーヴィチ「ジャズ組曲第1番」の第1曲「ワルツ」を流していたことです この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975)が1934年に作曲した3つの曲から成る作品(第2曲「ポルカ」、第3曲「フォックストロット」)です 名前は「ジャズ組曲」ですが、曲想としてはダンス音楽に近い作品です この映画ではフルオーケストラで演奏しているのか、スケールの大きな音楽として聴こえました
テリー監督が、リヒャルト・シュトラウスの「ドン・キホーテ」を使わず、ショスタコーヴィチを使ったのは、R.シュトラウスだとズバリそのものになってしまうからでしょうか
「デッド・ドント・ダイ」はジム・ジャームッシュ監督による2019年製作スウェーデン・アメリカ合作映画(104分)です
アメリカの田舎町センターヴィルにある警察署に勤務するロバートソン署長(ビル・マーレイ)とピーターソン巡査(アダム・ドライバー)、モリソン巡査(クロエ・セビニー)は、他愛のない住人のトラブルの対応に日々追われていた しかし、ダイナーで起こった変死事件から事態は一変する 墓場から死者が次々と蘇り、ゾンビが町にあふれかえっていく 3人は日本刀を片手に救世主のごとく現れた葬儀屋のゼルダ(ティルダ・スウィントン)とともにゾンビたちと対峙していく
この映画はゾンビをテーマにしたブラック・コメディです 地球の地軸が傾いたことから世界各地で異変が起こり、死者が復活するという話です テーマが人をおちょくっています。「死人は死なない」ですから この映画ではカントリー&ウエスタン調のテーマ音楽「THE DEAD DON'T DIE」が頻繁に流れますが、ゾンビのイメージとは真逆の明るい曲調で シュールです
パトカーがゾンビたちに囲まれる中で、ロバートソン署長がピーターソン巡査に「一つ聞きたいんだが、君は『何か良くないことが起こりそうだ』といつも落ち着いて言うが、なぜそう冷静になれるんだ?」と訊くと、「台本を読んだからね」と答えます 「台本って、最後まで書いてある台本か? 誰から手に入れたんだ?」と訊くと、「ジムからもらったんだ」と答えます。すると署長は「俺は自分の台詞の台本しかもらってないぜ」と文句を言います。つまり、ピーターソン巡査役のアダム・ドライバーはジム・ジャ―ミッシュ監督から台本の全てを貰っているのに、ロバートソン署長役のビル・マーレイは自分の台詞の部分しか貰っていないというギャグをかましているのです これは過去の作品でコンビを組んできた監督と役者だからこそ生きるギャグです
この映画を観て、ゾンビと闘う時は、首をちょん切らなければならないという教訓を得ました この知識が役に立たないことを祈るばかりです