7日(土)。昨夕、虎ノ門のJTアートホール”アフィニス”で、JTアートホールが育てるアンサンブル・シリーズ第70回「ほとばしる情熱、メンデルスゾーンの世界」を聴きました ヴァイオリン奏者・岡山潔のプロデュースによる公演で、出演はヴァイオリン=小川響子、北野紫帆、ヴィオラ=飯野和英、木下雄介、チェロ=伊東裕というメンバーです
プログラムは①モーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第2番変ロ長調K.424」、②ベートーヴェン「弦楽三重奏曲第4番ハ短調」、③メンデルスゾーン「弦楽五重奏曲第2番変ロ長調」です。これはメンデルスゾーンの室内楽をナマで聴きたい一心でチケットを買いました
JTアートホールは久しぶりです。自席は3列13番、右ブロック左通路側です。会場は半分くらいの入りでしょうか。寂しいです
最初の曲、モーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第2番」は2曲あるこのジャンルの1曲です第1番の方が比較的演奏される機会が多く、第2番は珍しいケースです。ヴァイオリンの北野紫帆は淡いグリーンのドレス、ヴィオラの木下雄介は黒の上下で登場します
この曲は友人であったミヒャエル・ハイドンが急病を患ったため、大司教の命令で作曲しなければならなかった6曲のうち2曲を急きょモーツアルトが作曲しなければならなかったものなので、むしろM.ハイドン的な曲想が垣間見られます。二人の演奏者は丁寧に曲に対峙していました
2曲目のベートーヴェン「弦楽三重奏曲第4番ハ短調」は、彼が28歳の1798年に作曲されました。ハ短調は第5交響曲”運命”と同じ調性で、彼にとっては特別な意味を持っています ヴァイオリンの小川響子は淡いブルーのドレスで、ヴィオラの飯野和夫とチェロの伊東裕は黒の上下で登場です 飯野はどこかで見たことがあると思ったら、今年夏のサントリーホール”ブルーローズ”で開かれた「チェンバーミュージックガーデン」に出演した若者でした
登場した3人、特に小川は緊張の面持ちでしたが、ひとたび演奏に入るとすごい集中力を発揮します 明らかに小川が演奏のヘゲモニーを握っています
休憩後はいよいよメンデルスゾーンの「弦楽五重奏曲第2番」です。左から第1ヴァイオリン・小川、第2ヴァイオリン・北野、第1ヴィオラ・木下、第2ヴィオラ・飯野、チェロ・伊東という態勢を採ります
メンデルスゾーンは1809年、ドイツのハンブルクで裕福な銀行家の家庭に生まれ、モーツアルトと並ぶ早熟の天才と言われました 残念なことに1847年、病に倒れ38歳の若さで急逝しました
この作品は彼がフランクフルトに滞在した短い期間の中で集中的に書かれました
第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」を聴くと、まさに「ほとばしる情熱」という表現がぴったりだと感じます この曲でも、第1ヴァイオリンの小川響子がぐんぐん他のメンバーをひっぱります。この人の表現力・集中力には凄いものがあります もちろん、他のメンバーも負けず劣らず溌剌とした気持ちの良い演奏を展開してくれました
アンコールにモーツアルトの弦楽四重奏曲第3番から第3楽章「メヌエット」が演奏されました
プロの一歩手前のこういう人たちの演奏を聴くのは良いものです しかも、今回は大好きな作曲家が3人も取り上げられていて申し分ありません これで指定席2,000円ですから安いものです。会場の半分しか埋まらないのはもったいない話です。配られたアンケート用紙の「非常に良かった」に〇を付けておきました