14日(土)。12日午後から13日夕方まで辻堂での葬儀のため家を空けたので新聞が溜りました 最近、新聞に折り込まれるチラシ広告が増えているように感じます。不動産やスーパーが多いようですが、景気回復が進んでいるのでしょうか 折り込み広告は新聞販売店の重要な収入源です。家庭にとっては紙ゴミが増えて困りますが、販売店にとっては多ければ多いほど経済的に助かります
この間、朝日夕刊に連載されたピアニストの中村紘子さんのインタビュー記事を興味深く読みました 12日掲載分は「国際コンクール審査員 裏側も見た」と題する内容です 彼女は芥川賞作家の庄司薫氏と結婚したのですが、出会ったころ、彼の大学時代の仲間と一緒になった時、農学部出身の人に『流派は何ですか?』と尋ねたそうです。『能楽部』かと思ったとのこと 素晴らしい感性ですね 著書「チャイコフスキー・コンクール」に『1位以外は意味がない』と書いていることについて、「あまりにもコンクールの数が増えて、1位をとっても演奏家になれない人が増えてしまった」と語っています
実際、その通りです。本人はもちろんのことですが親が大変です 小さい頃から楽器を習わせ、音大付属高校に通わせ、音大に、そして音大大学院に進学させ、数々のコンクールを受験させ、やっと優勝あるいは入賞しても活躍の場がないのです。その意味では、親の苦労は無限大です
閑話休題
近藤史恵著「ダークルーム」(角川文庫)を読み終わりました 近藤史恵さんは2008年に「サクリファイス」で第10回大藪春彦賞を受賞して話題をさらった作家です。この本は8つの短編小説から成っています
「マリア―ジュ」は、高級フレンチ店に毎日一人で訪れ高額なディナーコースを注文する女性客の秘密の話。サラ金からお金を借りてまで通う女性の事情とは・・・・・
「コワス」は自殺した元恋人が新しい恋人に乗り移ったかのような怖い物語
「SWEET BOYS」は、マンションで暮らす二人の女性の隣室に越してきた二人の男たちとの間に起こる複雑で恐ろしい出来事
「過去の絵」は、芸大の美術学科に在籍する青年が描いた絵の盗作疑惑を巡る物語 この物語の中で鋭いと思った言葉は「芸大や美大は、夢を持った若者が集まるところではなく、若者がそこで夢を失うところだ。何かを手に入れるのは、ほんのひとにぎりだけなのだ」。悲しいかなその通りだと思います
「水仙の季節」は、双子のモデル姉妹に掛けられた殺人疑惑の顛末
「窓の下には」は、今は大人に成った主人公が、十年以上前にもなる子供の頃に突き付けられた敵意を回想する物語
「ダークルーム」は、写真好きな兄を恋い慕う妹の復讐劇。ちなみにダークルームとは写真の「暗室」のこと
「北緯60度の恋」は、3年もの間、ある女性に復習をするために準備をしてきた女性の行く末
こうして短編を読んでみると、近藤史恵という作者は長編だけでなく短編も”読ませるな”と思います