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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン「フィナーレ・コンサート 2025」を聴く ~ 葵トリオ、シューマン・クァルテット、ヘーデンボルク・トリオなど

2025年06月23日 00時03分50秒 | 日記

23日(月)。昨日は早朝から背中に鋭い痛みを感じ、ヤバいと思いました 明らかに腰痛がらみの痛みです 動作をゆっくりと過ごしたら次第に痛みを感じなくなりました しかし、整骨院のA院長に言わせれば、これは「錯覚」で、朝起床時の痛みこそが本当の姿だということです 今日からまた整骨院通いが始まるので、よく診てもらおうと思います

コンサートに出かける前に、東京都議会議員選挙の投票に行ってきました 豊島区は5人が立候補していますが、私が推す政党の候補者がいないので、消去法で1人を選んで投票してきました 選挙は絶対に棄権しないようにしています

話は変わりますが、昨日の朝日新聞朝刊・文化欄に「ベルリン・フィルと『出たとこ勝負』」山田和樹さん  初共演を終えて」という見出しの、吉田純子編集委員によるインタビュー記事が載っていました

山田氏が選んだ曲目はドイツ系ではなく、イタリア(レスピーギ「ローマの噴水」)、日本(武満徹「ウォーター・ドリーミング」)、フランス(サン=サーンス「交響曲第3番」)でしたが、選曲に当たっては2010年からベルリン・フィルの第1コンサートマスターを務める親友の樫本大進氏のアドヴァイスがあったとのことなどが語られています このインタビューで一番印象に残ったのは、山田氏が、ベルリン・フィルを振った経験のある故・岩城宏之氏から聞いた逸話です 岩城氏は、ベルリン・フィル芸術監督時代のカラヤンが、『ドライブ(運転)じゃなくキャリー(運ぶこと)だ』とよく言っていたと語っていたそうです 山田氏は、それが初めて腹に落ちた 『自分がコントロールするんじゃないんだな、と ある意味、オケって車じゃなく、お馬さんのようなものかもしれない 馬自身に強烈な意思がある。それを尊重しつつ、のっかるわけです。行き先は示すけど、強制するわけじゃない。完全に対等で、100人全員と常に1対1。指揮者の合図なんかなくてもこのオケは大丈夫っていう、この感覚こそが、カラヤンに培われた伝統だったのだと思い知りました』と語る

「言うは易く行うは難し」ですが、実力があるからこそ、こういうことが言えるのだろうと思います さらに言えば、オーケストラも相当優秀な楽団員が揃っていることが不可欠ではないかと思います

ということで、わが家に来てから今日で3814日目を迎え、米国のトランプ大統領は21日夜、ホワイトハウスで演説し、「米軍は、イランの核開発能力の破壊と、世界最大のテロ支援国家がもたらす核の脅威の阻止のため、イランの3つの主要な核施設に対し、大規模な精密な攻撃を行った」と述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

    

    トランプはイラク戦争での失敗に学んでいないようだ  政治は博打ではない

         

昨日、サントリーホール「ブルーローズ」でサントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデン「フィナーレ・コンサート 2025」を聴きました

プログラムは以下の通りです

①シューマン「弦楽四重奏曲第1番 イ短調 作品41-1」より第1楽章「アンダンテ・エスプレッシーヴォ ~ アレグロ」

②バルトーク「ピアノ五重奏曲 ハ長調」より第1楽章「アンダンテ ~ アレグロ」

③ワーグナー(ヴィルへルミ、クライスラー編曲:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第3幕「ヴァルターの歌 ”朝はバラ色に輝いて”」

④クライスラー「ウィーン風小行進曲」

⑤クライスラー「シンコペーション」

⑥アイルランド民謡(クライスラー編曲)「ロンドンデリーの歌」

⑦シューベルト「弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956」より第2楽章「アダージョ」

⑧芥川也寸志「弦楽のための三楽章(トリプティーク)」

⑨アルベニス(キャンバーン編曲):組曲「スペインの歌」作品232より第4楽章「コルドバ」

⑩ラヴェル(ソーニエール編曲):組曲「鏡」より第4曲「道化師の朝の歌」

⑪細川俊夫「レテ(忘却)の水」

⑫シュルホフ「弦楽四重奏のための5つの小品」 より第1曲「ウィンナ・ワルツ風に」、第2曲「セレナーデ風に」

⑬チャイコフスキー「弦楽四重奏曲第1番 ニ長調 作品11」より第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」

⑭シュルホフ「弦楽四重奏のための5つの小品」より第3曲「チェコ風に」、第4曲「タンゴ・ミロンガ風に」、第5曲「タランテラ風に」

自席はC8列12番、センターブロック最後列右通路側です。会場は満席です

1曲目はシューマン「弦楽四重奏曲第1番 イ短調 作品41-1」より第1楽章「アンダンテ・エスプレッシーヴォ ~ アレグロ」です この曲はロベルト・シューマン(1810-1856)が1841年に作曲、1843年にライプツィヒで初演されました

演奏はカルテット風雅ですが、この曲の第3楽章と第4楽章を14日の「フェロー演奏会Ⅰ」で演奏しています 第1楽章の冒頭は第1ヴァイオリン ⇒ 第2ヴァイオリン ⇒ ヴィオラ ⇒ チェロへとテーマがフーガで展開します カルテット風雅はフーガにこだわってこの曲を選曲したのではないかと想像します 第3楽章、第4楽章ともどもロマン溢れる演奏でした

2曲目はバルトーク「ピアノ五重奏曲 ハ長調」より第1楽章「アンダンテ ~ アレグロ」です この曲はベーラ・バルトーク(1881-1945)が1903年から04年にかけて作曲しました 演奏はヴァイオリン=渡辺玲子、高麗愛子(クァルテット・イーリス)、ヴィオラ=鈴木双葉(同)、チェロ=宮之原陽太(同)、ピアノ=秋元孝介(葵トリオ)です

冒頭から渡辺の濃厚なヴァイオリンが演奏を支配します 秋元のピアノも雄弁です どちらかと言うと、バルトークというよりも後期ロマン派のフランスの作曲家の作品のような印象を受けました

3曲目はワーグナー(ヴィルへルミ、クライスラー編曲):楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第3幕「ヴァルターの歌 ”朝はバラ色に輝いて”」です この曲はリヒャルト・ワーグナー(1813-1883)が1862年から67年にかけて作曲、1868年にミュンヘンで初演されました

演奏はこの曲から「ロンドンデリーの歌」までヘーデンボルク・トリオ(日系の3兄弟)です

新国立オペラの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のヴァルターの歌を思い出しながら聴きました とくにチェロがいい音色で良く歌っているのが印象的でした

4曲目からの3曲はフリッツ・クライスラー(1875-1962)の作曲、編曲による作品です 「ウィーン風小行進曲」、「シンコペーション」、「アイルランド民謡(クライスラー編曲)『ロンドンデリーの歌』」が続けて演奏されました ヴァイオリンとチェロがウィーン・フィルのメンバーであることからか、独特のアクセントにより楽しい演奏が繰り広げられました

プログラム前半最後の曲はシューベルト「弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956」より第2楽章「アダージョ」です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1828年に完成したものの、初演はシューベルトの死後の1850年でした 弦楽四重奏曲にチェロが追加された珍しい編成の作品です 演奏はヴァイオリン=原田幸一郎、池田菊衛、ヴィオラ=磯村和英、チェロ=毛利伯郎、堤剛です アカデミーの講師陣の演奏です。原田、池田、磯村の3人は一世を風靡した名門「東京クァルテット」のメンバーです これはひと言「円熟の極み」です 冒頭の第1ヴァイオリンとチェロのピッツィカートとの対話が印象的でした

プログラム後半の1曲目は芥川也寸志「弦楽のための三楽章(トリプティーク)」です この曲は芥川也寸志(1925-1989)がN響の常任指揮者だったクルト・ヴェスの依頼により1953年に作曲した作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「子守歌:アンダンテ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります 「トリプティーク」は、もともとキリスト教の祭壇を飾る3面から成る宗教画を意味しますが、それを「アレグロ ~ 子守歌 ~ プレスト」の3つの楽章に置き換えたものです

演奏はチェンバーミュージック・アカデミー・アンサンブル(指揮者なし)です    メンバーは、リーダー=岸本萌乃香(読響次席・ほのカルテット)、サブ=吉江美桜(トリオ・フィデーリス)で、左から第1ヴァイオリン(5)、第2ヴァイオリン(4)、チェロ(3)、ヴィオラ(3)、その奥にコントラバス(1)という並びです

第1楽章の冒頭から集中力に満ちたアグレッシブな演奏が展開します 第2楽章は低弦のピッツィカートに乗せてヴァイオリンがメロディーを奏でますが、とても美しいアンサンブルが会場に響き渡ります 第3楽章は再び情熱的な演奏が繰り広げられ、圧巻のフィナーレを飾りました 個人的には本公演で一番良かったと思います

2曲目はアルベニス(キャンバーン編曲):組曲「スペインの歌」作品232より第4楽章「コルドバ」です この曲はイサーク・アルベニス(1860-1909)が1896年に作曲しました 演奏はハープ=吉野直子、マリー=ピエール・ラングルメです

前半の緩やかなテンポの演奏と、後半の快速テンポの演奏との対比が鮮やかで、2台のハープの美しい音色が会場に響き渡りました

3曲目はラヴェル(ソーニエール編曲):組曲「鏡」より第4曲「道化師の朝の歌」です この曲はモーリス・ラヴェル(1875-1937)が1905年に作曲した作品です

吉野直子とマリー=ピエール・ラングルメによるハープ・デュオは目くるめく曲想の変化を鮮やかな演奏でクリアし、名人芸が光りました

4曲目は細川俊夫「レテ(忘却)の水」です この曲は細川俊夫(1955~)が2015年に作曲、2016年にフォーレ四重奏団によって世界初演されました 演奏は葵トリオ(Vn:小川響子、Vc:伊東裕、P:秋本孝介)、ヴィオラ=森智明(カルテット・ルーチェ)です

弦楽の最弱音の演奏から始まり、徐々に音が大きくなっていき、ピアノも加わります ”静”と”動”でいえば”静”を基本とする繊細な作品です 3人は緻密なアンサンブルによりニュアンス豊かな演奏を展開しました

実はフォーレ四重奏団によるこの曲の演奏は一度聴いています 会場はみなとみらいホール(小)でした。なぜ覚えているかというと、終演後、細川夫妻とエレベーターで乗り合わせたからです

5曲目はシュルホフ「弦楽四重奏のための5つの小品」 より第1曲「ウィンナ・ワルツ風に」、第2曲「セレナーデ風に」です この曲はチェコの作曲家エルヴィン・シュルホフ(1894-1942)が1923年に作曲した作品です 演奏は真ん中にチャイコフスキーを挟んでシュルホフの第3曲 ~ 第5曲までシューマン・クァルテットが演奏します

一般的にイメージする「ウィンナ・ワルツ」や「セレナーデ」とは異なり、どちらかといえば鋭角的なメリハリの利いた演奏が展開します 第1ヴァイオリンが中心となってリードしていくというスタイルではなく、4人が対等に主役を張って演奏を繰り広げている印象です

シュルホフに挟まれた形の作品は、チャイコフスキー「弦楽四重奏曲第1番 ニ長調 作品11」より第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1871年に作曲、同年モスクワで初演されました

シュルホフの鋭角的な演奏から一転し、美しいメロディーが紡がれていきます こういう曲を聴くと、やはりチャイコフスキーは屈指のメロディーメイカーだと思います

続いてシュルホフ「弦楽四重奏のための5つの小品」より第3曲「チェコ風に」、第4曲「タンゴ・ミロンガ風に」、第5曲「タランテラ風に」が演奏されます

第3曲「チェコ風に」は まるで「バルトーク風(ハンガリー)に」のように聴こえました    第4曲は思ったほど「タンゴ」が前面に出ていないように思いました   第5曲は、流石に高速テンポによるアグレッシブな演奏はタランテラ風だと納得しました

これをもって今年のサントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデンも閉幕です 今年も若い演奏家たちの活躍が目立ちました 来年も楽しみにしたいと思います

         

今日はサントリーホールに東京フィル「第1019回 サントリー定期シリーズ」を聴きに行きます 18時半から「プレコンサート」があるので、早めに会場入りしたいと思います


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