明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

福島原発事故とウクライナの戦争のつながりについてお話します(群馬県玉村町14日) 明日に向けて(2201)

2022年05月05日 22時30分00秒 | 明日に向けて(2201~2400)

守田です(20220505 22:30)

5月13、14日と再び群馬県にお邪魔し、玉村町で福島原発事故とウクライナの戦争についてお話します。チラシをご紹介します。



群馬県の被曝とウクライナの繋がり

僕が群馬を最初に訪れたのは、2015年4月。県内の女性から「自分の周りで県内で二人、県外で一人、水頭症の赤ちゃんが生まれました。口蓋裂の赤ちゃんも生まれてのど元まで裂けていました。被曝影響が心配でたまりません」という電話が
かかってきたことがきっかけでした。「だとすると心筋梗塞などが身近で起こる可能性があるので、周りの方に心臓を守るように呼びかけて下さい」と答えると、「実は30代中頃の男性の友人が心筋梗塞で亡くなりました」と答えられました。
ぜひ群馬に危険性を伝えてに来て欲しいと頼まれて以降、僕はほぼ毎年群馬に通い続け、命を守り合うための情報と知恵を交換してきました。それで今回、7年前に「アースデイ群馬inまえばし」用に作った自分のスライドを見て、ビリビリとしました。

僕は「被曝の危険性を伝えよう。政府や国際原子力マフィアの言うことを信用しないでと訴えよう」と思い、2011年に出された『ウクライナ政府報告書』の内容を話したからでした。ウクライナの医師たちが暴きだした被曝の実相を活用したのです。


『ウクライナ政府報告書』 2011年4月刊行

今思うのは、国際原子力マフィアはこれを一番嫌がったのだということです。福島原発事故の影響を『ウクライナ政府報告書』から読み解かれることを恐れたのです。僕は「チェルノブイリ原発事故の後遺症」と題したスライドもお見せしています。
「甚大な被害が認知されず十分な国際的援助を受けれず→ウクライナ社会の分裂→内戦へ!ウクライナ新政府VS親ロシア派 新政府にはアメリカが加担 親ロシア派にはロシアが加担 新政府側にはネオナチも!→単純にどちらが正義とも言えない ウクライナ政府報告書抹殺のため?」と書いていました。


アースデイ群馬inまえばし用守田スライドより 2015年4月19日


マイダン政変と国連科学委員会(UNSCER)による被曝影響隠し

『ウクライナ政府報告書』では例えばこんな指摘がなされていました。「慢性疾患の中でも圧倒的に多いのが循環器系 がん以外の慢性疾患による死因の89% 脳出血、脳梗塞、心不全、心筋梗塞、狭心症」。
僕が電話で「心筋梗塞に気をつけて」という話をしたのもそのためで、この報告書は、福島原発事故で被曝をしてしまった日本の民にとって、命を守る道標の一つでした。原子力マフィアはだからこそ憎悪し、もみ消しに入ったのでした。
まずは国連科学委員会などが報告書を酷評し、さらに2014年2月にマイダン政変=クーデターが起こりました。その中にネオナチがおり、後にウクライナ正規軍に編入されてアゾフ大隊と名乗りました。背後にはアメリカがいました。


2014年2月政変の時のキエフ ムスティスラフ・チェルノフ撮影 WIKIMEDIA COMMONS より

一方、この年の4月に国連科学委員会(UNSCER)から福島に関する報告書が出されました。「福島原発事故の結果として生じた放射線被ばくにより、今後がんや遺伝性疾患の発生率に識別できるような変化はなく、出生時異常の増加もないと予測している。その一方、最も高い被ばく線量を受けた小児の集団においては、甲状腺がんのリスクが増加する可能性が理論的にあり得る」というものでした。http://www.unscear.org/docs/14-04441_Factsheet_Press_J.pdf
国連科学委員会はこの報告書を携えて、2014年9月5,6日に福島市、郡山市、11月10~12日に東京と福島で「現地説明会」を行い、「原発事故による被曝影響などほとんどない」と公表しました。


国連科学委員会の郡山市説明会について報道するFNN 2014年9月


ウクライナにも群馬にも必要なのは医療援助だ。でも誰もウクライナの人々を被曝から助けず、同じように東日本の人々も助けていない

ウクライナの被曝は深刻でした。例えばベラルーシとの国境に近いコロステンという町の学校(生徒数485人)で次のような異常が報告されていました。
甲状腺などの内分泌疾患48.2%、背骨の曲がりや異常など肉体発達障害22.1%、目の障害19.2%、呼吸器官の障害6.7%、消化器疾患、神経疾患5.0%。この結果、授業の短縮や、学年末テストの廃止もなされています。


アースデイ群馬inまえばし用守田スライドより 2015年4月19日

こんな状況だからウクライナに必要だったのは医療援助であり、さらなる広域の調査と手当でした。しかし内戦が激化され、東部でロシア系住民への政府軍による迫害が強められました。その末に現在の戦争に至ってしまっています。


戦争は兵士の心も深く傷つける ウクライナ兵500人の自殺を報じるHUFFPOST 2017年6月28日
https://www.huffingtonpost.jp/2017/06/26/ukraine-conflict_n_17302138.html 

背後にあるのは被曝影響なのです。しかしウクライナの人々は、国際原子力マフィアによって被害を無視され、もみ消され、何の助けも与えられきませんでした。そしてそれと同じ被曝影響のもみ消しが東日本で起きているのです。
だから私たちは、今回の戦争の中で、チェルノブイリ原発事故の影響が見えなくなってしまう事態と抗わなくてはいけません。いまこそ『ウクライナ政府報告書』に立ち戻る必要がある。
その視点からウクライナの民衆との連帯を構築し直すとともに、その視点から東日本で起こっている事態を直視しなくてはいけない!今回僕はこの点を軸に、玉村町でのお話を組み立てようと思います。

前夜には高崎駅頭で行われる金曜日の脱原発行動=タカキン行動にも参加します。(13日午後7時より)その後、交流の場も設けてくださるそうです。楽しみです。群馬のみなさん。お近くのみなさん。ぜひお越しください。


タカキン行動にも参加します! 2022年4月22日 508回目のタカキン行動 高崎金曜日行動 | 原発反対!戦争反対! (nonukestakasaki.org)

#群馬の被曝 #ウクライナ政府報告書 #国連科学委員会 #UNSCER #国際原子力マフィア #マイダン政変 #心筋梗塞の増加 #必要なのは医療援助 #玉村町

注目動画

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連載2200回越えに際し、戦争と原発から命を守るための取材・執筆活動のためのカンパを訴えます。どうか支えて下さい。よろしくお願いします。
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被爆二世・三世健康調査アンケートについてーZoom公開講座『被爆二世健診…43年目の真実~データが語る遺伝的影響と「ほしょう」を考える~』へのお誘い その2 明日に向けて(2200)

2022年05月03日 20時00分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20220503 20:00)

6月5日にzoom公開講座を行います。午後1:30から4:00までです。

すでに企画は終了しました。以下から録画をご覧いただけます。


前回もお知らせしましたが、6月5日にzoom公開講座を行います。
一つに、1982年、厚生省が「遺伝的影響は認められない」と公表しようとした「健診結果集計データ」が、むしろ遺伝的影響をしっかり示していた衝撃的な事実を森川聖詩さんから明らかにします。
二つに、京都「被爆二世・三世の会」が2019年から取り組んできた「被爆二世・三世健康アンケート調査」の中間的とりまとめ報告を、守田敏也が行います。

参加費無料ですが、可能な方は以下に投げ銭をお願いします。
ゆうちょ銀行 記号14440 番号35292631 名前 タイラ ノブユキ

神奈川県原爆被災者の会二世・三世支部、京都「被爆二世・三世の会」の共同主催での企画です。
連絡075-811-3203(平)090-3540-1590(森川)morita_sccrc@yahoo.co.jp(守田)


被爆二世・三世健康調査アンケートのとりまとめにご注目を

二つ目は健康調査アンケートの中間とりまとめ報告ですが、これまた万感の思いを込めて発表したいと思っています。
この調査は進めるにあたっていろいろな辛さも経験せざるを得ないものでした。何故なのかと言えば、被爆被害があまりに酷いからです。調査の欠かせない前提として、たくさんの被爆証言を読み込みましたが、被爆を体験することそのものでした。
また被爆二世・三世からの聴き取りでもさまざまな身体に起こったことだけでなく、それと密接に絡まりつつ、家庭内で起こったことなど、本当に多様な被害・苦しみを知ることとなりました。

しかし調査の中で、被爆二世・三世や核実験や原発事故などのヒバクシャの多くが、孤立しながら苦しんでいること、調査はそこに光を当てることでもあることが力強く見えて来ました。
多くの方が、自分の苦しみを被曝に結びつけることができず、自分だけに起因する、孤立した苦しみとしてもがいています。しかし被爆影響が見えた時、「自分のせいではなかった」「孤立してない。仲間がいる」と見えてきて、光が差し始めます。
もちろん私たちはそこで止まってしまうつもりはありません。被爆被害を抱えながら、どうしたらよりよく生きれるのか、さまざまな知恵を共有して被爆二世・三世の生活の質を上げていきたいのです。
同時に、この苦しみは、核被害者へのほしょう、補償・保障・保証を国から引き出すことによってこそ、軽減されなくてはいけない。いや、それでこそ命を守ることもできるのです。だから実情を集め、国にしっかり提示していく必要性があります。

それは日本被団協を中心に、原爆被爆者の先達の方々が、さまざまに勝ち取ってきた権利をさらに拡充することですが、こうして被爆二世・三世への「ほしょう」を広げることは、他のすべての核被害者救済の道の拡充にもつながります。
核実験、そして福島原発事故などのヒバクシャ、世界のヒバクシャの権利の拡大にもつながるのであり、だからこれはすべての人の権利、あなたの権利を拡大させることにしっかりと連なっていくのです。
これらの点を、明らかにするために、守田から中間報告を行なわせていただきます。ちなみにアンケートは以下のようなものです。いまも募集を継続しています。

被爆二世・三世、そして未来世代の健康を守るためあなたのことを聞かせてください
http://aogiri2-3.jp/chousa/2020chosa.pdf

6月5日の企画へのみなさんのご参加をお待ちしています!

#被爆二世健診 #被曝の遺伝的影響 #森川聖詩 #神奈川県原爆被災者の会二世・三世支部 #京都「被爆二世・三世の会」 #核被害者への「ほしょう」 #被爆二世三世健康調査アンケート

参考動画
被爆二世問題・運動の歴史と今後の展望 2021年9月12日

福島の今、復興の今、被爆問題の今、2021年の原発・放射線防護問題を振り返る 2021年12月19日

*****

戦争と原発から命を守るとともに、民主主義を育てるための取材・執筆活動のためのカンパを訴えます。どうか支えて下さい。よろしくお願いします。
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Zoom公開講座『被爆二世健診…43年目の真実~データが語る遺伝的影響と「ほしょう」を考える~』へのお誘い(6月5日(日)午後1時半から)その1 明日に向けて(2199)

2022年05月02日 15時00分00秒 | 明日に向けて(2101~2200)

守田です(20220502 15:00)

原発と核兵器、核のゴミに反対するすべてのみなさん。聴いてください。

すでに企画は終わりました!
以下をご覧下さい。

6月5日にzoom公開講座を行います。午後1:30から4:00までです。
一つに、1982年、厚生省が「遺伝的影響は認められない」と公表しようとした「健診結果集計データ」が、むしろ遺伝的影響をしっかり示していた衝撃的な事実を森川聖詩さんから明らかにします。本邦初公開の重要な内容です。
二つに、森川さんの発表に応える形で、京都「被爆二世・三世の会」が2019年から取り組んできた「被爆二世・三世健康アンケート調査」の中間的とりまとめ報告を、守田敏也が行います。遺伝的影響の具体的現れについて述べます。

午後1時30分から4時という設定にしたのは、ぎりぎりでアメリカの方もヨーロッパの方も参加可能な時間帯・・・ではと考えたから。
その他の入りにくい時間帯になってしまう地域の方には、申し訳ないのですが、核の被害に晒されてきた世界の様々な地域の方に、よりたくさん参加して頂きたくてこう設定しました。どうぞ各国からご参加ください。

参加費無料ですが、可能な方は以下に投げ銭をお願いします。
ゆうちょ銀行 記号14440 番号35292631 名前 タイラ ノブユキ

神奈川県原爆被災者の会二世・三世支部、京都「被爆二世・三世の会」の共同主催での企画です。
連絡先 075-811-3203(平)090-3540-1590(森川)morita_sccrc@yahoo.co.jp(守田)

被爆二世健診とは・・・何がどう示されていたのか

一つ目の内容について、森川聖詩さんがFacebookに投稿されたこの企画の紹介文章をそのまま転載します。

「1979年度、当時の厚生省は「(放射線の)遺伝的影響がないことを明らかにし、不安を解消するため」と称して「原爆被爆者二世の健康に関する調査・研究」(通称:「被爆二世健診」)を被爆二世団体の反対を押し切って強行しました。さらに1982年には、この「健診調査結果」を集計し、「遺伝的影響は認められない(一般の日本人と比べて大差はない)」とする「結果報告書」を公表しようとしていました。
ところが、その報告書に示されている血球数や血圧などの検査データ(数値)などを精査すると、日本人の平均値と比べて被爆二世の平均値には明らかな差がみられるなど、少なくとも「遺伝的影響は見受けられない」として片づけられるようなものではないことが明らかであったため、私が代表者をしていた被爆二世団体は、この報告書の公表の中止を求め、結果的に厚生省は公表を断念することとなりました。

それ以前から現在に至るまで、戦後アメリカが設立した原爆傷害調査委員会(ABCC)や1975年、日米共同出資運営方式に改組された放射線影響研究所(通称:放影研)を中心にいくつかの「放射線の遺伝的影響に関する調査・研究」が行なわれてきました。それらの結果について、国や放影研は、ことごとく「遺伝的影響は認められなかった」と主張してきました。その調査内容や検査項目についてある程度述べてはいるものの「遺伝的影響はない」との根拠とすべき具体的なデータ(数値)が示された例は一つもありませんでしたが、この1982年に公表されそうになっていた報告書案には血球数や血圧などの数値が記載されています。

今なお、国が核被害、とくに核(当該・直接の)被ばく者の次世代以降に及んでいる影響や被害を隠蔽し続けている現実を踏まえ、この真実を知る生き証人として、これを皆さまと共有する使命を感じ、公表する決断をしました。
放射線の遺伝的影響を示唆する具体的数値の公開は、まさに本邦初公開となりますので、ぜひ万障お繰り合わせの上、ご参加いただければ幸いに存じます。」(森川聖詩)

続く

次回は6.5企画のもう一つのコアである、京都「被爆二世・三世の会」による、健康調査アンケートについて、そしてまた国に核被害者への「ほしょう」、保障・補償・保証を実現させなければならない点について述べます。

#被爆二世健診 #被曝の遺伝的影響 #森川聖詩 #神奈川県原爆被災者の会二世・三世支部 #京都「被爆二世・三世の会」 #核被害者への「ほしょう」 #被爆二世三世健康調査アンケート

参考動画
被爆二世問題・運動の歴史と今後の展望 2021年9月12日

福島の今、復興の今、被爆問題の今、2021年の原発・放射線防護問題を振り返る 2021年12月19日

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戦争と原発から命を守るとともに、民主主義を育てるための取材・執筆活動のためのカンパを訴えます。どうか支えて下さい。よろしくお願いします。
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