明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1432)「国難」は戦争をあおっている安倍政権の危うい政治姿勢にこそある!

2017年10月14日 18時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20171014 18:00)

京都府北部、宮津駅前の喫茶店からです。
これから与謝野町にいって日本共産党山内健衆議院候補の個人演説会に参加して応援演説をしてきます。野田川ワークパルにて午後7時からです。
明日も西舞鶴駅交流センターで同じく応援演説します。これまた午後7時からです。


さて、その選挙のことを論じたいと思いますが、今回の選挙の前提になる衆議院の解散にあたって安倍首相が掲げたのは「国難突破解散」でした。
朝鮮民主主義人民共和国がミサイル発射を繰り返しており、国難が迫っているので、憲法違反の安保法制を再度肯定し、アメリカともに朝鮮に圧力をかけることへの賛同を得たいと言うのです。

本当は、安倍首相の狙いは森友・加計疑獄追及の手を逃れることです。そのために野党の国会開催要請を無視し続け、冒頭の所信表明もなしに解散を行ったのであって、憲法も国会も侮辱したあまりにもひどい解散です。
「国難」などまったくのとってつけた理由にすぎません。いやそれどころか明らかに安倍政権は、朝鮮のミサイル発射を追い風にしているのです。これまたあまりにひどい。
まさにそのために、安倍首相は国連に出かけていって、「北朝鮮との対話はまったく無駄だ。圧力こそが必要だ」と強調してきました。これまた朝鮮半島の緊張状態が高まれば高まるだけ、自らに有利と判断してのことです。
安倍政権はなんと選挙に勝つために戦争をすら煽っているのです。あまりにひどすぎる。

私たちが見ておかなければならないのは、対話を無視するどころか、そもそも他者との対話ができない安倍首相のこうした強権的な政治姿勢にこそ本当の危険性があること、こんな方が首相であることにこそ「国難」があることです。
安倍首相の危険性は、アメリカ・トランプ大統領の、軍事を弄ぶ姿勢への迎合ともくっついています。日米の指導者が安易に軍事的恫喝を繰り返しているこのあり方にこそ大きな危険性があるのです。

このことは僕だけが強調しているのではありません。
中国は安倍政権のこうした姿勢を「まるで米国に戦争をさせたがっているようだ」と懸念していることを韓国に伝えたことが報道されています。朝日新聞の記事から引用します。

「日本の北朝鮮政策について、中国の外交当局者が今月、韓国との協議の席で「まるで米国に戦争をさせたがっているようだ」などと批判した。中韓関係筋が明らかにした。」

中国「日本は米国に戦争させたがっている」 韓国に伝達
朝日新聞 ソウル=牧野愛博 2017年9月25日07時00分
http://www.asahi.com/articles/ASK9R3W3WK9RUHBI00G.html

それだけでなく、ほかならぬアメリカの与党共和党議員から、トランプ大統領の軍事的危険性に対する批判が飛び出してきています。時事通信の記事から引用します。

「【ワシントン時事】米与党・共和党のコーカー上院外交委員長は9日付のニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたインタビューで、トランプ大統領の他国に対する威圧的態度によって、米国が「第3次世界大戦への道」を歩みかねないと警鐘を鳴らした。
北朝鮮の核・ミサイル問題や、イラン核合意をめぐる政権の強圧的姿勢を念頭に置いているとみられる。コーカー氏はトランプ氏について「(かつて出演していたテレビの)リアリティー番組か何かのように振る舞っている」とも述べ、政権運営の手法に疑問を呈した。」

米、第3次大戦へ向かう恐れ=与党の上院外交委員長が警鐘
10/10(火) 14:21配信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017101001019&g=int

安倍政権は、朝鮮半島の緊張の当事者である韓国が、万が一にも戦争が起きないようにと、北に対して人道援助を行ったことにも「国際社会の結束を乱す」などと語っていますが、「国際社会」どころかアメリカ与党からすらトランプ大統領の姿勢への批判が出ているのです。
当たり前なのです。万が一、戦争になったら南北朝鮮、日本を含む東アジアの広大な地域で大変な惨劇が起こり、多くの人々が殺されます。アメリカ人とて無縁ではない。在韓米軍と在日米軍があり、たくさんの在留アメリカ人がいるからです。
だから何があろうと戦争が起こらないようにしていくこと、これが首相として当然なさなければならないことなのに、日本はかの国との独自の対話ルートすら持っていません。

それでは安倍首相はどれだけリアルに戦争の可能性を考えているのでしょうか。僕はまったくのゼロだと思います。何よりももし今、本当に「国難」と言えるだけの危機があるとしたら、政治の空白を生む解散総選挙などするはずがないからです。
そもそも安倍政権はこの夏に内閣改造をしたばかりで新しい内閣を「仕事人内閣」と呼んでいたのでした。しかしその「仕事人内閣」を、仕事らしい仕事もしないうちに解散させてしまった。本当は「国難」などまったくないからこんなことができるのです。

また安倍政権は、朝鮮半島情勢が緊張を増す中で、この6、7月に高浜原発4、3号機を再稼働させたのでした。原発はもちろん稼働しているときの方が危険です。深刻な事故が起きたときには破局的な影響が出てしまうかもしれません。
さらに朝鮮半島からミサイルが発射されると、けたたましくJアラートをならし、一部で電車すら停めましたが、最も危険な原発は動かしたまま。ここにも朝鮮からの攻撃などまったく想定していないことが現れています。

そもそも安倍首相だけでなく、歴代の自民党政権は、本当は心の底から朝鮮民主主義人民共和国を信頼していたからこそ、朝鮮半島から最も近い福井県にあれだけの原発を林立させたのだとしか僕には思えません。
しかもそのうちの一つは高速増殖炉もんじゅです。もんじゅは冷却材に液体ナトリウムを使っているので、事故を起こしたら軽水炉よりも圧倒的に危険だし、収束させるのも至難の技です。水を入れたらナトリウムが反応して爆発的に燃えてしまうからです。

もし本当に東アジアで戦争が起こる可能性があるのなら、政府は即座に各地の原発から核燃料を降ろし、安全な状態に移行させるべきですが、実はやれといってもやれない事情があります。核燃料の持って行き場がないからです。
このことが意味するのは、実は日本は絶対に戦争などできない国なのだということです。自衛隊などで守り切れるはずがない。そもそも原発はすべて僻地に立っていて、救急隊や消防隊だって近寄りにくいところにあるのです。それでどうして守れるのか。

いや原発だけではありません。石油コンビナートやガスタンク、火力発電所などなど、軍事目標にされたら容易に大変な被害をもたらしうる構造物が日本中の海岸線にずらっと並んでいるのです。
攻撃する側はそのうちの任意のどれかをある時にたたけばいい。しかし守る側は常にすべてを一年中守らなければならない。しかもミサイルで攻撃されることまで想定するならば、とてもではないけれども、防ぎようなどないのです。

その上に日本にはたびたび自然災害の猛威が来襲しており、とくに深刻な水害が各地で起こり続けています。
そんなとき利根川や淀川など大きな河川の堤防でも襲われたら大変な洪水が起こって、大都市の機能がいっぺんでダウンしてしまいます。攻撃する側はそうやって自然災害の猛威に合わせて任意の何かをたたくことだってできるわけです。

それでは朝鮮民主主義人民共和国はそんなことを考えているのかというと、僕もまったく考えてもしないと思います。
なぜか。かの国の戦略目標は、朝鮮戦争以来、交戦状態の中の休戦協定が続いている関係にあるアメリカとの戦争的対立を最後的に終わらせるために朝米平和友好条約を結ぶことにこそあるからです。

実はこの間、アメリカの中からも「もはやその方が有利だ」という声が度々起こってきているのです。もともとトランプ政権は「アメリカ軍を世界中から撤退させる」ことを選挙中に呼号し続けた政権です。もちろん日本からの撤退も含んでいます。
そうしたことも日本政府は知っています。だからこそ、実際には戦争になどなるわけではないと本音では考え、本気の防衛策など採らずに、挑発的な言辞を繰り返しているのです。

なぜでしょうか。何より東アジアがすっかり平和になってしまうとアメリカの軍需産業が困るのです。朝鮮半島から時々ミサイルが撃たれた方が、「防衛」の名のもとにミサイル迎撃システムなどの超高価な武器が売れるからです。
日本もすでにイージス艦や迎撃ミサイルをたくさん買わされています。韓国もあらたにミサイル迎撃システムを買おうとしています。こんなもの、実際には性能が試されることなんてないから、ボロ儲け確実の商品なのです。

同時に軍事大国にのしあがりたい安倍政権にとってもアジアが安定したら困るのですね。軍備増強の根拠がなくなってしまうからです。
そもそも軍備増強とは「最新面」ではほとんどがアメリカの軍需産業からの購入となりますから、この面でも安倍政権とアメリカの軍需産業の利害は一致しています。

そしてこうした武器産業こそが、「武器なくして自国を守ることなど幻想だ、理想主義だ」と言い続けているのです。それはそうでしょう。武器無くして平和が実現されたら武器産業が死滅してしまうのですから。
安倍首相もまた実際には戦争に等ならないとタカをくくりながら、軍事的恫喝をもてあそんでいるのです。

しかしこれこそが一番、危ない。軍事的緊張が高まると政権中枢が戦端を開く気はなくとも、現場の判断の誤りから戦争が始まってしまう可能性があるからです。だから戦争のリアリティを知っている人たちが危険性を指摘し続けているのです。
これに対して安倍首相は本当の危機感を持っていない。だからこそ軍事をもてあそぶ。こういう方のことを「タカ派の平和ボケ」というのです。軍事の危険性、武装対峙の危険性へのリアリティが欠如しているのです。

だからこそ、これ以上、安倍首相やこんな総裁しか選出できない自民党にこの国の運営を任せていてはいけないのです。国難はタカ派の平和ボケの安倍首相にこそある。安倍政権や自公政権が続く限り、第二の朝鮮戦争が本当に始まってしまう可能性があります。
今回の選挙、このことをはっきりとおさえて第三極を伸ばしましょう。平和の道を歩むのか、軍事国家への道に踏み込むのか、その点で憲法を生かすのか、改悪するのかが本当の争点です。

平和を守るために、積極的に憲法を生かすために、頑張りましょう!

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明日に向けて(1431)私たちは主権者としての社会的責任を自覚し、政治に冷静な理性を求めます(京都有志発の声明に署名を!)

2017年10月12日 12時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20171012 12:00)

衆議院選挙がはじまり、選挙結果の予測が出始めました。
共同通信の調査で、自民党が公明党とあわせて300議席以上獲得するとの予測が流れています。短い記事なので全文を引用します。

***

自公300超うかがう、序盤情勢 希望伸び悩み60前後
共同通信 2017年10月12日 06時08分
https://this.kiji.is/290937190421152865?c=39546741839462401

共同通信社は第48回衆院選について10、11日両日、全国の有権者約11万8900人を対象に電話世論調査を実施し、公示直後の序盤情勢を探った。
自民党は小選挙区、比例代表で優位に立ち、公明党と合わせた与党で300議席超をうかがう。希望の党は60議席前後で伸び悩んでいる。立憲民主党は公示前から倍増の30議席台も視野。共産党は議席減、日本維新の会は微増にとどまりそうだ。投票先未定は小選挙区で54.4%に上り、22日の投開票に向けて情勢が変わる可能性がある。
投票先未定との回答は比例代表でも47.2%あった。

***

自公で300超という予測に暗澹たる思いを抱かれる方も多いと思いますが、僕はこれは「小池―前原劇場」があまりにもひどくてえぐかったので、安倍政権がさまざまに繰り返してきたひどさがややかすんでしまったための中間的結果ではないかと思います。
いま必要なことはもう一度、問題の本質に立ち戻ることです。安倍首相がもりかけ問題を隠すために国会を開かないままに解散したこと、しかも自分の延命のために、朝鮮民主主義人民共和国からのミサイル発射を利用して「国難」を標榜しはじめたことなど、この国の私物化を続ける安倍政権にもう一度、批判を集中しなくてはいけません。

同時にここであきらめていてはいけない!記事には「投票先未定との回答は比例代表でも47.2%あった」とも書かれています。まだまだ多くの方が悩み、迷っている段階なのです。
だからこそ、マスコミをもさんざんにぎわせてきた「小池―前原劇場」のことはひとたび横におき、みんなで安倍政権への正面からの批判を、再度、あらゆる手段を通じて発信していきましょう。

ただそのために僕はひとたび頭を冷やし、心の中から沸き起こってくるトゲトゲした怒りをひとたびカルムダウンさせ、心を落ち着かせて、私たちの望む未来を考えなければならないとも思いました。それで昨日はあえて絵本についてのお話を書かせていただきました。
その後、「問題を再度整理した文章を出さなければ」と思っている時に「これは素晴らしい!」と心から共感した声明文が回ってきました。
今回の表題にもあげさせていただいた「政治に冷静な理性を求める」声明がそれです。京都在住の槌田劭さん、石田紀郎さんが発信してくださり、すでに多くの方々が署名してくださっています。僕も喜んで署名させていただきました。

今回はこの声明をそのままここに貼り付けてお送りしますので、可能な方はぜひ署名にご参加下さい。京都有志発ですが、もちろんどこの地域、どの国に住まわれている誰でも参加可能です。肩書も無用です。無論、選挙権のあるなしも関係ありません。
ただし憲法が絡むと「国籍条項」の限界がどうしても目についてしまいます。「国民」と言う名で多くの方を排除している現状を日本国籍を持つ立場としてとても恥ずかしく思いますが、僕は今回はここで書かれている基本的な考えに賛同できる方には、国籍を問わず、ご署名いただければと思っています。

とくに選挙予測の発表に落胆している方。まずはいますぐにできる「自公300」という流れへのカウンターがこの声明への署名です。そう考えて連名に参加してくださると嬉しいです。自分も署名しても良いと言う方は、石田さんのアドレスが公開されていますので、以下にご一報ください。
ishida@beige.plala.or.jp

メールタイトルに「署名します」と書いていただいて、本文に「明日に向けて」で情報を知ったと書いていただければすぐに伝わります。(もちろんとくに書式を決めているわけではないので、ご自由に書いてくださってかまいません)
あるいは僕に連絡をくださってもけっこうです。僕から伝えます。
以下、声明文を転載します!拡散もお願いします!マスコミ関係の方にも積極的に伝えて下さい。(なお見やすくするために僕の方で原文に改行を加えています)

私たちの手で、頑張って、明るい未来を切り開きましょう!
Never give up !!

*****

私たちは主権者としての社会的責任を自覚し、政治に冷静な理性を求めます

日本は「日本国憲法」によって、国のカタチを定め、国会で定める法律によって“法治”する立憲民主国です。思想信条の自由を人権として位置づけ、多元価値・多様性を尊重し合って主権在民の理念で成立しています。

しかし、現実はどうでしょうか。安倍政権の5年間を冷静に吟味してみる必要があります。大臣を安倍首相の“お友達”で構成し、政治が私物化されているのではないでしょうか。安倍首相への「忖度」によって森友・加計疑惑は国税の使途としては不明のままです。国会で虚偽答弁の疑いのある財務省局長があろうことか国税庁長官に栄転しています。秘密保護法、戦争法、共謀罪などの国会審議においても、大臣達の答弁に混乱や虚偽が重なったにもかかわらず、オトガメなしで、審議不十分なままに強行採決されました。国民の信託を受け、国権の最高機関である国会、つまり主権者国民に対する侮辱です。

今般の解散総選挙は政治の恥ずかしい実態を背景に混迷を極めています。「逃げ切り解散」と世間で言われているように、森友・加計問題で安倍首相は「誠実で丁寧な説明」する臨時国会を回避するためなのでしょうか、憲法の規定に沿った野党の臨時国会請求を先延ばしただけでなく、所信表明演説もしない冒頭解散という理不尽でした。ここにも憲法無視の「ご都合」が見られます。憲法の精神が踏みにじられて来たのです。

このような恥ずかしい政治の現実の中で、アベノミクスは破綻が明白となってきました。ゼロ金利で財布のヒモはかたいままです。先行き不安が深刻だからです。笑っているのは輸出関連の大企業だけであり、中小零細企業は四苦八苦です。貧富格差は拡大し、庶民に希望はありません。社会的・経済的な閉塞感はやがて全体主義を引き寄せ、破局的未来につながりかねません。すでに安倍一強体制によって「忖度独裁」は進んでいます。憲法無視の「力の政治」は全体主義的です。希望の党も小池独裁で、その危険性を露出しています。

時代の閉塞感は庶民の中に不安・不満と苛立を呼び、分かりやすい政策を独裁に求める危険があります。この危険のもたらす全体主義は壊滅的戦争への流れを強めることでしょう。すでに安倍首相はアメリカのトランプ大統領のお先棒を担いで危機感を煽っています。そして、国連の非核条約に反対しました。広島・長崎の経験を持ち、非戦の憲法を持つ日本国ですから、世界の不信感を集めたのも当然で、悲しいことです。

このような危機的状況の中で、政治の混乱をどう受け止めるべきなのでしょうか。熱狂と興奮は危険な世への雪崩を呼ぶでしょう。私たちは冷静で理性的にものごとを見つめ、一人一人が主体的、自立的に主権者としての自覚を大切にしたいと思います。私たちは混乱に巻き込まれ、うろたえることはもちろん、小池劇場を楽しむ傍観者となるのは無責任です。一人一人の力は小さくとも、力を合わせ社会を健全にする社会的責任を自覚し、日本国憲法が認める国民の権利を行使したいと思います。

2017年10月9日

政治に冷静な理性を求める京都の有志発

石田紀郎、五十嵐敏郎、石野はるみ、伊藤正子、稲垣紀代、入澤仁美、岩本真一、大津定美、大津典子、大見哲巨、大湾宗典、岡田直紀、小川光、荻野晃也、小椋純一、落合祥尭、川合仁、川那部綾子、川那部浩哉、北川政幸、楠瀬佳子、黒田末壽、駒込武、白井聡、新谷英治、住友剛、谷川稔、田平正子、槌田劭、中尾ハジメ、浜 矩子、平松幸三、藤原 辰史、細川弘明、松久寛、松良俊明、三木草子、三石博行、宮本正興、守田敏也、文殊幹夫、山田國廣、山田耕作、吉竹幸則、米澤鐡志、和田喜彦 (2017年10月11日現在)

連絡先:槌田劭(0774-32-6786)石田紀郎(090-1968-8004)ishida@beige.plala.or.jp

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明日に向けて(1430)絵本の世界のような柔らかく温かい心でこの選挙にのぞみたい!(市居みかさんの五山賞受賞のお祝い会に参加して)

2017年10月10日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20171010 23:30)

本日10日、いよいよ衆議院選挙戦がスタートしました。
この選挙は、森友・加計疑獄への追及を逃れるため、国会を開けなくなっていた安倍首相が、朝鮮民主主義人民共和国のミサイル発射を利用して強行した「解散」によって成り立ったものです。
一方、電撃的に「希望の党」を立ち上げた小池さんと、民進党の解党、合流を進めた前原さんは、なんともえぐい形で民進党の人々を騙し、「踏み絵」まで行って、保守第二党への純化を目指しました。あまりにひどい政権とりのゲーム化です。
人々のことなどそっちのけで、こんなひどい政治劇を繰り広げる国会議員たち、政治家たちにこれ以上この国を任せていてはいけない。下からの改革が必要です。その点で今回の選挙では僕は下からの改革と唯一結びついている第三極、社民、立憲民主、共産、新社会、緑、そして市民連合を応援します。

ただ僕自身はこの選挙戦に突入する前に、いったん自分の心を浄化させる必要も感じました。安倍さん、小池さん、前原さんに、腹が立って、腹が立って、心がとげとげしてもしまったからです。
それであえて選挙戦初日の今日、絵本のお話、市居みかさんのお話をしたいと思います。

市居さんは信楽在住の絵本作家さんで、紙芝居も描いていて、内村麟太郎さんのお話に絵を付けられたのですが、これがなんとこのたび、見事に「五山賞」に輝いたのです。「教育紙芝居の生みの親」と呼ばれる高橋五山さんにちなんだ紙芝居界の芥川賞とも言われる賞なのだそうです。
この快挙を祝って、昨日、滋賀県近江八幡市のティースペース茶楽に市居さんの友人・知人が集まってお祝いの席が設けられました。僕も嬉しくて駆けつけました。
以下に昨日のイベントを案内したこの紙芝居の出版元の童心社のホームページをご紹介します。受賞作の表紙も見ることができます。
https://www.doshinsha.co.jp/news/detail.php?id=1173

今回のイベントを取り仕切っていたのは、近江兄弟社小学校の先生でもある「とりいしんぺい」さんでした。
この日の会合、とりいさんの「前座」の歌で始まり、いつも市居さんと一緒に音楽活動もしているお連れ合いの宮本さん、友人の畑佐さんとのバンド、ビスタリの演奏もありと楽しく進んでいきました。
続いて市居さんが登場、絵本『臍の穴』の音楽を交えた読み聞かせが披露され、さらに受賞作の紙芝居、『おひるねですよ』の朗読が行われました。
楽しかった。むちゃくちゃに楽しいひと時でした。僕は花束を持っていたので良いタイミングで渡そうと一番前に座っていたのですが、紙芝居の時はその前に並んだちびっこたちの視線と合体してしまい、なんだか子どものように見入ってしまいました。

その後、市居さんへのとりいさんによる受賞インタビューがあり、さらに再び素敵な歌が披露されてから、お祝いの言葉のコーナーになり、なんととりいさんに真っ先に指名されたのが僕だったのでした!
ビックリした!でも市居さんの絵を見て、朗読を聞いて、紙芝居を見て、なんだか心の中にポカポカと湧き上がってくるものがあったので、それが口の先から割とスムーズに出てきてくれました。

僕が語ったのは、僕はともあれ市居さんにお祝いがしたくてやってきたのですが、作品を見ていたらなんだか心が柔らかくなってきて、反対に「あ、俺はだいぶんとトゲトゲしていたんだな」と思わされたことでした。
なんだかそんな状態からの心の浄化のために、僕は知らず知らずここに引き寄せられたのかなと、そんな風に思えたと語りました。
市居ワールドには独特の温かさがあります。ホンワカもしているのだけれど、なんとも言えないドーン!という迫力もある。それを見ると、心が楽しく愉快になるのです。わっはっはと笑いたくなるような。

そうなんだよな。トゲトゲしているよりこっちがいいよなあ。こういう楽しさが好きなんだよなあ。こういう楽しさに浸っているときの自分が安心できるのだよなあと、そんな気がしてそのことを語りました。
そんな市居さんの世界に紙芝居の最高賞が授与される日本の文化力っていいですねとも話しました。

政治の世界は・・・少なくとも目の前で展開されている政治の世界は・・・汚い! 嘘、騙し、裏切りが蔓延し、そして「それが政治というものだよ」とか「政治はブラックボックスだから」などとも言われる。
本当でしょうか。それでいいのでしょうか。僕にはそんなことしか言えない人物たちの方がスケールが小さいように思えるのです。

例えば僕が尊敬する大政治家であるゲバラやカストロには、嘘、騙し、裏切りなんてありませんでした。いや少しぐらいはあったのかもしれないけれど、もっと熱いもの、温かいもの、愛らしもの、そしてロマンが溢れていました。
いやそんな遠くの話を持ち出さずとも、例えば芸能界から国会に飛び込んで大奮闘を続けている山本太郎さんも、嘘、騙し、裏切りなんかではなくて、もっと誠実で、一生懸命で、ひたむきなものを全面化させて頑張ってくれています。
そういう政治だってあると僕は強く思うのです。というよりもそれでなければ本当に社会をよくしたり、困っている人を助けたりすることなんてできないと思うのです。

だから僕は、僕の「政治」の根本に、温かさや柔らかさ優しさ、そしてそれらに裏打ちされた強さをおいていきたい、それを守り、育んでいきたいと思うのですね。
そういうと「青臭い」とか言われそうですが、僕はそんな風には思いません。真っ当な温かい気持ちを持って成熟すること、熟成することは絶対に可能なのです。
市居さんの世界は、僕にそんな大事なものを思い出させてくれます。なんというか「こういうものに感動している自分っていいな」と感じさせてくれるというか。自分の感動力を再認識させてくれるというか。
そして多分、多くの人がそんな風に感じるのではないでしょうか。だから心がポカポカしてくる。ポカポカさせられる自分の力を思い出させてくれる。そんなところが素晴らしいと思うのです。

もう一つ、僕が語ったのは、昨日、お祝いの会が行われた茶楽が、僕にとって、とりいさんや市居さんとの初めての出会いの場でもあるということでした。
というのは今から12年前、2004年から2005年まで、僕は滋賀県で立ち上った県紙、「みんなの滋賀新聞」編集局にいて、滋賀県内を取材で走り回っていたのでした。
そのときに出合ったのが、能登川図書館のカリスマ館長才津原さんで、彼から紹介されたのが、とりいしんぺいさんが能登川図書館と茶楽で開催していた大人のための絵本の読み聞かせ会なのでした。
これもとても面白かったのですが、この会に参加されていたのが、市居さんと宮本さんだったのでした。

その市居さんと僕は2011年4月、福島原発事故後に再会することになりました。このとき僕は大阪で行われた脱原発集会・デモに参加したのですが、カメラをもって沿道を歩いていた僕に小学生の女の子が「はい!」と笑って一枚のチラシをくれたのです。
「まずは知らなきゃね」というタイトルのもので、ねこちゃんがテレビを見ていると「日本の原発は安全です!人体にただちに影響はありません」とテレビの中の人が語ってる。(あ、これ枝野さんでしたね!)
ねこちゃんがせんべいを食べながら「ふーん、そうなんだ」とか語っていると、くまさんが「ちょっとまったー」「それはちがうんだよ!」とドーンと出てくる。
それで「こっちこっち まずは知らなきゃね」とねこちゃんを誘って、原発の「ほんと」を語りだすのです。

ぜひ以下からこのチラシをご覧ください!
https://drive.google.com/file/d/1n4BN-8yTV5-BqPLEixco6GMXyRBn1Hz1NF8pdV_ibNfW20AATCj_rShSINd8/view

「うわ、これは福島原発事故以降のベストチラシだ!」と思った僕は大事に持ち帰ってじゃんじゃかコピーしてあちこちで配り出したのですが、よく見ると「文・玉崎洋子 イラスト・市居みか」と書いてある。
「あ、あの市居さんだ!」と気づき、それからしばらくして連絡を取り合うようになり、やがてこの年の秋に信楽で講演させてもらうことになったのでした。その場で玉崎さん=たーさんとも出会うことができました。僕にチラシをくれた女の子のお母さんでした。
今回の茶楽でのお祝い会はその時のことを思い出させてくれてその意味でもなんだかとても感慨深かったのです。会を市居さんとの初めての出会いのきっかけをつくって下さったとりいしんぺいさんが仕切っていたのもなんだかとても嬉しく思いました。

実は僕は絵本にはそれ以前からちょっと深いかかわりがありました。
同志社大学社会的共通資本研究センターにいたときに、『社会的共通資本としての絵本』という企画を立ち上げ、絵本界の神様とも言われる福音館書店の松居直さんと、京都・堺町画廊を主宰している絵本作家で友人のふしはらのじこさんをお招きして講演していただいたのです。
この時、僕は松居さんに絵本の素晴らしさを教えられました。いやそれは正確ではありません。僕がなぜ絵本を子どものころから素晴らしいと思ってきたのか、なぜ子どもたちが絵本に目を輝かせるのかを解き明かしてもらえたのです。
答えはもともと人間の中には美しいもの、素晴らしいものに共感し、胸が打ち震える「感動力」が備わっているからで、それを絵本が引き出すからなのでした。しかしその力は啓発されていかなければ発展していかない。だから優れた絵本と出会い続けていくことがとても大切なのです。

その意味で、僕の中にある僕の好きな何かは、実は先人たちが僕に与えてくれたものの蓄積なのです。
先人たちは、あるいはこの世界は、僕を何度も感動させてくれた。それが僕の人間力を育て、やがて公正と正義、そしてまた愛、友情を大切にする心を育んでくれたのです。僕はそれは、多くの人に共通していることだと思います。
とくにこの国はもう長い間、戦争から遠いところにいれました。その中で私たちはたくさんの温かい感情を育ててもらえました。僕はそれを「平和力」と呼んでいます。
そんな大切な心を、子どもたちの中に見出し、引き出し、育てることに生涯をかけた絵本の神様、松居直さんの言葉の中から、僕はそんなインスピレーションをいただきました。


さて選挙戦が始まっています。安倍政権と立ち向かい小池さんや前原さんのひどい「政治」と向かいあっていかなければなりませんが、僕は時に心の中で絵本を広げ、心を楽しませ、浄化もさせて、現実に戻ることを繰り返そうと思います。
安倍政治と対決するときに大事なのは、あの邪悪さに侵食されてしまわないこと。こちらまでが野蛮で粗暴になってしまわないことです。
そして邪悪さに対する怒りよりも、いかにすればこの社会が本当に平和で豊かになるのかを考えぬきながら走りぬき、次に確実につながる何かを生み出したいと思います。

みなさんも一緒に心の中に絵本を忍ばせて、選挙戦を豊かに進めていきましょう!

*****

僕が市居さんに誘われて初めて信楽で講演した前夜に書いた記事をご紹介しておきます。福音館書店の松居さんに学んだことがもっと詳しく書いてあります。名作『ハイジ』についても書かれていますのでぜひお読み下さい。

明日に向けて(271)ことばの力、絵の力、絵本の力
2011年9月27日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/954c69322a4325aecc96c8f86eea952b

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明日に向けて(1429)ショートムービー「希望の党☆」を観よう!

2017年10月05日 06時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20171005 06:30)

ショートムービー「希望の党☆」をご覧になったことがありますか?

これは面白い!しかも深い!
製作はなんと「総務省・(財)明るい選挙推進協会」。
最近作られたのではありません。2005年の作品です。
監督は金子修介さん。まるで「いま」を予見したかのような作品です。

基本は選挙の大切さを訴え、投票を促しているムービーです。
しかしそこへの入り方が面白い。
一方でたとえ「選挙に行く」ことですら、他者を許さず、異論を排除する狭隘な「正義」となった場合、恐ろしさに転じかねないことが描かれているのです。

話はある平凡な家庭から始まります。高校生の娘は政治への関心が強く、選挙も大切だと思っています。
しかし両親は「誰が政治家になっても日本は変わらなくない?なくなくない?」とか語っていて、投票日にも早朝から二人で予定していたピクニックに行ってしまいます。
そんな中で、なんとにわかに登場してきた「希望の党」が政権を獲ってしまうのです。

そして暫く経ったある日「国民権利義務省」から父親に一通の封書が送られてきて、こう書かれていました。
「右のものは国民権利義務新法に基づきその選挙権を剥奪する」。
唖然としつつも「こんなの冗談だろう」と言う父親の前にいつのまにか「希望の党」に参加していた娘が現れてこう言います。
「今回の選挙は選挙権の見直しが課題だったのよ」「お父さん。だから選挙に行ってっていったじゃない」と。

その後、希望の党の暴走が始まります。犬を家から排除した女性が「生類憐みの法」によって逮捕されてしまいます。
「こんな感じで希望の党が政権を獲ってからは世の中が少しずつおかしくなっていき、気づいたときには誰にも止められなくなっていたのです」と述懐する父親。
さらに隣家の男性が、痴漢行為で死刑を宣告されてしまいますが、娘は断固支持。犯罪者は排除して当然、死刑にして当然と叫びます。

ところがその娘がやがて徴兵されてしまい・・・
父親は叫びます。「戦争反対に一票!」と。「俺は選挙権がなくても選挙に行くぞ」と。
~これ以上はぜひムービーをご覧ください。


戦後に打ち立てられた憲法の核心に据えられたのは個人の尊重でした。
国家の命令のもと、たくさんの人々が戦争に駆り出され、無残な死を遂げていったことへの反省がそのもとにありました。悲惨な体験を潜り抜けてきた多くの人々の思いがそこに凝縮されたのです。
個人の尊重は多様性の尊重をも意味します。どのような主張であろうとも、他者に対し迷惑をかけない限り、つまり他者の自由を侵さない限り自由だという考え方がその底にあります。
総務省作成のこのムービーが訴えているのは、この戦後憲法の核心を守り抜くことです。

「あなたが選挙に関心を持たないなら、やがて憲法の核心を骨抜きにし、戦前に回帰するような政党が出てきて知らぬ間に政権を獲り、この大切な価値を壊してしまうかもしれない。
だから選挙に行きましょう!もちろん、行かなければ「悪」だとか「選挙権を剥奪してやる」とかいうことではなくて、あなたの自由を、家族を守るために選挙に行きましょう」と訴えているのです。
なんとも絶妙なバランスが素晴らしい。

実は僕も「選挙に行かない無責任な人々が一番悪い」という論調には常に反対してきました。
「選挙に行くのは権利なのだから、行かない選択も当然尊重されるべきだ。一番悪いのは安倍政権やその取り巻き、その政策のおかげで儲けている人々であって、そこを間違えてはいけない」と語ってきました。
「また人々の政治意識が高くなれば世の中が良くなると思うのは間違いだ。おそらく日本の人々がもっとも政治意識が高かったのは戦前、戦中だ」とも。

そうなのです。今でも僕は「選挙なんかかったるくて行ってられるか」と考えている人がぜんぜん嫌いではないし、ムービーの前半に出てくるように、選挙当日にピクニックにいってしまう夫婦もいた方が良いとさえ思うのです。
「人々の政治への関心が低い方が、ファシズムの熱狂よりましだ!」と僕には思えます。
そう思いつつ、しかし僕は政治に関心を持つものとして、人々に選挙に行くこと、いや僕の場合、選挙に行くこと一般ではなくて、憲法を守り、戦争に反対し、原発をなくす候補に投票することを呼びかけ続けています。
僕にとってこのムービーは、そんな思いに実にフィットするものでもありました。

それにしても偶然のなせる業に驚いてしまうのが、このムービーの中で、戦後に人々によって育まれてきた大切な価値を破壊してしまう党の名が「希望の党」とされていることです。
「希望の党」は選挙で合法的に政権党につき、その後に民主主義を破壊していくわけですが、現在の選挙制度の中ではこうしたことも起こりうることをこのムービーは示唆しています。

ちなみに現実の「希望の党」の代表になった小池百合子氏は、少し前の都議選で「都民ファースト」の代表に就任しました。
そして自らの名のもとで自民党批判票を吸収し、「圧勝」を実現したあとに、自分は都政に集中するからと代表を辞任しました。
この時、後継者として現れたのは都議の野田数氏ですが、この方は都議会の場で、日本国憲法を公然と否定し、大日本帝国憲法の復活が必要だと述べています。それが小池氏の後継者なのです。(と言ってもさすがに批判が強かったのかすでに辞任しましたが)
ネット上でこのムービー、「いまを予言するものだ」としてもてはやされているのですが、たんに「希望の党」という名が一致しただけではなくて、問われている価値観までが一致しているからでしょう。

ともあれみなさん、このムービーをご覧ください。20分ぐらいの作品です。
また多くの方にご紹介ください。僕はやはりとくに「選挙なんかかったるい」と思っている方に観ていただきたいです。

ショートムービー 「希望の党」

https://youtu.be/PnuthAMbgao

https://www.youtube.com/watch?v=pmykwa114OE
https://www.youtube.com/watch?v=YDuwDBAVIVc

監督・金子修介 脚本・松枝佳紀 撮影・大沢圭子 音楽・MOKU  2005年「総務省・(財)明るい選挙推進協会」製作 
出演/渋谷飛鳥 木下ほうか 山本奈津子 楳図かずお 並木史郎 野口雅弘 金子奈々子 野木太郎 新津勇樹

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明日に向けて(1428)この国を嘘つきから取り戻そう!

2017年10月04日 17時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20171004 17:00)

総選挙に向けて自民、希望+維新、共産+社民+立憲民主+市民連合という三極構造が見えてきました。しかし三極といいながら実は機軸は改憲派と立憲派という構造であって二極の対決であると言えます。
同時に今回、問われて言るのは、政治家や選挙のあり方でもあることを私たちは見据えておかなければなりません。端的に言って「選挙に勝つためなら何をしてもいい」というあり方が正されなくてはならない。「この国を嘘つきから取り戻す」ことこそが問われているのです。

安倍政権は選挙のたびに争点を隠し、選挙が終わると公約すら軽々と捨てて、自分たちのやりたいことを押し通してきました。
「TPP反対!絶対にぶれない!」とかいいながら、TPP促進にまわったり、選挙で原発の話を徹底的に避けつつ、「しゅくしゅくと」再稼働を進めたり。

しかも「国難」だとかなんだかいいながら、もり・かけ問題に明らかなように、国の財産をどんどん奪い去って私腹を肥やしてばかりいるのが安倍政権とその取り巻きです。
その首領である安倍首相は批判に対してはすぐに居直り、平気で嘘を連発しながら逆切れすることを得意としています。いやもっと苦しくなると国会すら開かず、議論の場をなくしておいて解散総選挙を挙行し、都合の悪いことの掻き消しに走っています。

これに手を貸して嘘の政治を延命させてきたのが公明党です。しかも公明党は確実に勝てるところ以外では候補者を立てずに自民党に票を回し、裏から影響力を及ぼしていくという手法を、もう長い間、とり続けてきて選挙制度をダメにしてきました。
それで自民党の劣化がますます進んだのです。選挙民などそっちのけで公明党からまわされた票をいかに首相から分けてもらうのかに腐心するおべんちゃら議員ばかりが増えてしまったからです。

こんなにひどい政治が蔓延し、憲法違反の戦争法が強行通過される中で、「野党は共闘!」という言葉を掲げた市民勢力が台頭し、下からの変革の機運が作られてきました。
「もり・かけ問題」もそんな中で明らかになり、安倍政権を倒せる可能性が高まってきました。

ところがいま「安倍政権打倒!」を合言葉にしつつ、「選挙に勝つためなら何をしてもいい」という新たなひどい動きが始まりました。「希望の党」の結成と民進党の解党のもとでの合流です。(以下、希望、民進と略します)
この過程はあまりにひどい。いまの日本の嘘にまみれた政治のひどさが露骨に表れています。

いま、問われているのは、憲法を守ることとともに、「選挙に勝つためなら何をしてもいい」「政治家は嘘をついて当然」というような歪み切った風潮を正すことです。
そうです。私たちは今こそ、嘘つきからこの国を奪い返さなくてはならないのです!

そもそも希望への民進の合流は、朝鮮民主主義人民共和国の放ったミサイルを追い風とするようにして、もり・かけ問題の追及から逃れ、国会すら開かずに解散を強行した安倍政権をひっくり返す奇策として前原氏により提案されたものでした。
僕自身はこれまた政策や理念を無視して「勝てばいい」方式で行うもので、まったく共感はしませんでした。政治の強烈な劣化を感じ、下からの変革を急ごうとのコメントを出しました。しかし一方では動向を見極めようとの思いもありました。

ところが前原氏が「仲間とみんなで希望の党に入る」と説明していたのに、ふたをあけたら小池氏による「リベラル派狩り=排除」が始まりました。
これに対して前原氏は、憲法改悪に反対してきた仲間たちへの排除を進める小池氏に完全に屈してしまいました。

最もひどいのは小池氏です。候補が民進党からは出馬できない状態を作りだしたのちに、リベラル派の排除を公言したからです。二階にあげて梯子をはずしたのです。
本来、小池氏は両党の合流の可能性が浮上した段階でこのことを明確化すべきでした。にもかかわらず民進党員が民進党からは選挙にでれなくなる状態を作り出されてからこれを明らかにしたのです。ひどい騙しうちです。

「ずる賢い」とも称されていますが、僕は「賢い」などとは一つも思いません。むしろこの方の、他者への尊重を欠いた不誠実なあり方、「踏み絵」すら強いる傲慢なあり方にたくさんの方が怒りの声を上げています。強烈な恨みも買ったでしょう。
必ずそれは小池氏自身に大きなマイナスをもたらすこととなります。事実、支持率が急速に下がるとともに、都民ファーストの中核にいた都議二人があえてこの時期に小池氏を鮮烈に批判して離党しています。

今回の選挙で私たちは、安倍政権と小池氏に共通するのがこうした「騙し」を平然と行うことであり、他者への尊重がまったくないこと、こうした嘘つきが政治家である限り、この国は良くならないことを強調する必要があります。
そもそも小池氏は少し前に都民ファーストの代表として都議選に臨み、選挙後すぐに「都政に集中する」として辞任しました。しかし今度は「希望の党」の代表に就任。この過程でも公然たる「騙し」が繰り返されてきているのです。

一方で小池氏は「排除のことは前から伝えてあった。伝わらなかったのは民進党の問題」と、責任は前原氏にあると公言しています。問題は前原氏がそれにまともに答えていないことにもあります。政治家としてあまりに無責任です。
前原氏が言うように、本当に話が「対等な合流」として進んでいたのなら、前原氏は「話が違う」と合流話を撤回すれば良かったのです。それが党首としての仲間たちへの当然の責任の取り方であり、政治家以前の人としての道です。

しかも選挙に向けて民進には資金があり、希望にはまったくない。希望は民進の資金をあてにしてしか選挙ができないのですから、交渉を対等化する余地はいくらでもあったのです。
にもかかわらず、それすらせずに政治家である仲間が思想信条の「踏み絵」を強いられ、排除されるあり方にすら抗せないこの方に、なぜ民衆を守ることなどできるのでしょうか。

いやもっと大きな問題があります。そもそも民進はなぜこれまで「安倍政権を倒さなければいけない」と言い、野党共闘にも踏み込んできたのか。
安保法制が憲法に違反しているからです。「立憲主義を守るために憲法違反の横暴を犯した安倍政権を許さず安保法制を白紙に戻す」というのが民進が訴え続けてきたことだったのです。

そして今回、小池氏が「踏み絵」を強いたのはまさにこの点だったのです。実はこれはリベラル派切りにとどまるものではなく、議席を餌に民進から希望に移る人々に良心を裏切らせる行為です。
前原氏はこれに抗議しないことによって、排除された人々よりもむしろ希望に移る仲間たちに、良心を裏切ることを強いたのです。ひどすぎる。このように人に嘘を強いる人物など政治家にしておいてはいけません。

いやそれだけではありません。この記事を書いている最中に、前原氏が民進の分裂を「想定内だ」と述べていることまでが報道されました。本当にそうなのなら、前原氏は初めから仲間を騙し、大裏切りを行ったことになります。
小池氏に完全屈服して仲間を見殺しにしたのか、むしろ積極的に小池氏と仲間を騙し窮地においやったのかのどちらかです。どちらかであってももうそれだけで人間的に信用できません。「ALL FOR ALL」などと二度と言って欲しくありません。

これらからするならば、希望に移る旧民進の人々も、まさに政治家としての思想信条が鋭く問われていることを指摘しておきたいと思います。
何より重要なのは、希望から出馬するならば、最低限、自分自身が「安保法制反対」という旗をなぜこの選挙で降ろすのか、なぜ「踏み絵」を踏んだのかを選挙中に明らかにすべきだということです。

「もぐりこんで乗っ取る」「トロイの木馬になる」とかいう声も聞こえてきますが、そんなこと、選挙民に明らかにしないでやってはいけない。トロイの木馬は敵を欺くための戦術なのです。選挙でそれをやったら選挙民も欺いてしまうことになります。
そもそも選挙中に明らかにできないことを胸に抱えたまま、人々に嘘の主張に投票させることなどしてはいけないのです。そうした「勝つためなら人を騙してもいい」というあり方こそがこの国の政治を大きくゆがめているのです。

心の底では、いまだ民進党が堂々と掲げてきた「安保法制反対」の気持ちを持っている方は、ぜひそれを選挙中に表に出すべきです。
持っていないというならばこの短期間での変質について選挙民に明らかにすべきです。だって民進党は組織をあげて安保法制に反対していたのですから。

また小池氏のあまりにも他者の尊重を欠いた「踏み絵」を強いるあり方に、民進の多くの支持者が「理不尽だ」と怒りを表明しているのですから、自分はどう思っているのかを語る義務もあります。
かつて小泉氏は自民党員でありながら「自民党をぶっ壊す」と宣言しました。ことの是非はともあれ、そういうことは可能なのです。ぜひ踏み絵を強いられて希望から出馬する方は「嘘の希望をぶっ壊す」と叫んで欲しいです。

「選挙に勝つためなら何をしてもいい」「公約など選挙後に捨ててしまってもかまわない」「政治家は人を騙して当然」「仲間なんていざとなったら切り捨てたっていい」・・・、こんなひどいことばかりまかり通るのはもうまっぴらごめんです。
私たちはこんな「政治家」ばかりが跋扈するこの国の政治システムの劣化をこそ変革の俎上にあげなければなりません。安倍政権だけでなく、小池氏、前原氏のような大嘘つきたちが政治家としてのさばるあり方を変えなくてはならないのです。

Power to the people!
民衆に権力を!

問われているのは、どんな政治家をも下から規定していく民衆的力=ラディカルデモクラシーの育成です。
憲法を守るとともに、この国を嘘つきたちから取り戻しましょう!

僕もみなさんとともに自分の自由と良心を守るためにも頑張りぬきます!

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