守田です。(20170720 08:00 ドイツ時間)
他の金融機関からのお振り込みの場合は
店名 四四八(ヨンヨンハチ) 店番448 預金種目 普通預金
口座番号 2266615
守田です。(20170720 08:00 ドイツ時間)
守田です(20170719 06:00 ドイツ時間)
ドイツ・デーベルンの反核サマーキャンプからです。
キャンプは今日で3日目を迎えます。昨日もたくさんのレクチャーを聴き、デーベルンの町中の見学もしてきました。
もの凄い情報量で、すでに発信したいことが山積み状態なのですが、今朝は6時45分から朝食が始まり、ミーティングがなされ、7時45分にバスにのってキャンプ地を離れます。WISMATミュージアムを訪問して一日見学するようなのですが、どういうところなのかいまいちよく分からない(笑)その分、ワクワクしていますが、ともあれこのため発信時間が限られています。それで今回は初日の17日に行った僕のプレゼンの内容をアップしておこうと思います。
すでにご紹介したように平賀緑さんの添削‥というより英語編集を経た文章をスライドをお見せしながら朗々と読み上げたのですが、あとで何人かの方からとても良かったと言ってもらえました!準備にかなり骨を折ったこともあり嬉しかったです。キャンプの参加者は各国でかなり活発に活動を繰り広げている方達なので、日本の民衆の奮闘の姿を伝えてもらえます。「こういう情報が欲しかった」との声もありました。
このためあとから原稿やスライドも供出してさらなる情報共有・拡散に協力するつもりです。ともあれ発言原稿を掲載しますのでお読みください。なお30分用なので長いですが、たくさんのことを載せたいので1回でまとめてアップしてしまいます。
*****
福島原発には何が起きているのか。日本の反核運動には何が起きているのか
2017年7月17日 ドイツ・デーベルン 反核サマーキャンプにて
初めにこの素敵なキャンプに呼んでいただいたことに感謝申し上げます。私は日本の京都市在住のジャーナリストです。
私の父は広島原爆のサバイバーの一人です。母は東京大空襲のサバイバーの一人です。そのため私は戦争と核兵器、核エネルギーが大嫌いです。そのため私は福島原発事故以降、人々を放射線から守るために奔走してきました。
私は今日、みなさんに福島原発に何が起こっているのか、日本の反原発運動に何が起こっているのかをみなさんにお話したいです。
福島原発はいまなお事故が収束していません。
日本政府は2011年末に「収束宣言」をしましたがまったくの嘘です。そもそも1~3号機は、放射線値が高すぎでいまだに人が近づけない状態です。ロボットもたちまち壊れるので、中がどうなっているのか、どこがどう壊れてしまったのか、十分に調べることができていません。
ここで福島原発事故がどのような事故だったのか、振り返ってみたいと思います。
福島原発には全部で6基の原子炉がありました。東日本大震災が原発を襲ったとき、1号機から3号機が運転中で、4号機から6号機が点検中で止まっていました。
地震とともに運転中の炉内にブレーキである制御棒が挿入され、核分裂反応は止まりました。しかし冷却機能が奪われてしまい、核燃料がメルトダウンしてしまいました。格納容器は深刻に壊れてしまい、大量の放射能が漏れてしまいました。
もう一つ、危機に陥ったのは4号機でした。4号機は運転していなかったので炉内に核燃料は入っていませんでした。燃料プールに入れてありました。ところが運転してなかったこの4号機でも爆発が起こりました。まだなぞに包まれています。これと同時に4号機のプールの水位が下がりだしました。
運転を終えた燃料はプールの中に沈められますが理由は非常に高い熱を持っているからです。この熱がやっかいで少なくとも数年はプールの中に入れておかなくてはなりません。
プールに張られている水は、同時に放射線をさえぎる役目も果たしています。このため水位が下がりだして燃料棒が水の上に出てしまうと、強い放射線が飛び交いだしてしまいます。さらに水がどんどん無くなると燃料が溶け出しますが、プールはただのコンクリート製ですから溶けた燃料がプールから落ちてしまいます。
そうなったらもう誰も近づけず、現場から撤退するしかなくなります。しかもこのとき4号機の中にはなんと1500本もの核燃料が入っていました。
日本政府はこのとき、事故が最悪化した場合にどうなるかを計算しました。すると原発から半径170キロ圏が強制移住、東京を含む250キロ圏が希望者を含む移住ゾーンになるという結果がでました。
しかし政府は真実を告げませんでした。
しかも肝心なことはこの危機が完全に去ってはいないことです。
4号機のプールに入っていた燃料棒は地上のプールに移されたので危険は減りました。
しかし大地震があった場合、福島のプラントが倒壊する可能性があります。しかしその危険地帯、放射線も高い地帯に今もたくさんの人が住まわされています。これが原発事故の実態です。
溶け落ちてしまった核燃料はまだその状態がどうなっているのかも把握されていません。
ただ熱があることだけは確実なので、冷やし続けなければならず、毎日、大量の水が投入されていますが、これが放射能汚染水の海への漏れだしにつながっています。
汚染水の量は1日100トンと推定されています。
私の胸は痛み続けています。汚染は世界中に及んでいます。とても申し訳ないことです。
このように福島原発事故はまだまったく収束していません。
人々の状況はどうでしょうか。
福島原発事故で放出された放射能量は膨大で、チェルノブイリにも匹敵します。しかもチェルノブイリ周辺よりも圧倒的に人口が多いところに放射能が降りました。これは放射能汚染地図です。
チェルノブイリの周りでは「避難権利区域」がたくさんあります。色のついているところはそれにあたります。しかし日本では避難地域は非常に限られた場所にしか設定されませんでした。日本という国は、ソ連よりももっとひどい国だったのです。
東京も激しく被曝しています。被曝は日本の焼却システムによっても促進されてしまいました。日本は世界のどの国よりも廃棄物の処理を焼却に頼っています。このため福島原発事故後に降った放射能の多くがごみとして集められ、焼却場で燃やされてしまいした。これらにより東日本でさまざまな病気の発生率が高くなっています。
もちろん日本の民衆もこうした状態を黙ってみているわけではありません。福島原発事故後に日本中でたくさんのデモが行われるようになりました。それまでデモに一度も参加したことがなく、政治に関心の薄かった層が大幅に参加し始めました。福島原発事故後、おそらく日本ではそれまでの歴史になかったほどのデモが行われ続けています。効果は絶大で日本の多くの原発の稼働をくいとめています。
日本には2011年3月まで55基の原発がありました。事故後、定期点検に入るなどして次々と止まりましたが、政府が再稼働させようとすることに対して、全国で大きな運動が起こりました。とくに2012年に始められた毎週の首相官邸前デモは、参加者がどんどん増えて、ピーク時には20万人になりました。
これが全国に飛び火し、各都市の主要ターミナルや電力会社前でも金曜行動が行われるようになり、現在でも100近いデモが継続されています。多くのデモが250回を数えるようになっています。この民衆の力によって、一時期、日本の原発はすべて止まりました。ところが経済大国と言われる日本で、原発がすべて止まっても、何も困りませんでした。電気は足りていたのです。
福島原発事故以降、日本ではいくつかの原発の廃炉も民衆の力で実現されました。福島の6つの原子炉の他に老朽化した6基の廃炉が決まり、高速増殖炉「もんじゅ」すら廃炉になりました。この結果、いま日本で稼働可能な原発は全部で42基ですが、稼働しているのはわずかに5基です。あとの37基の原発の稼働を私たちはなお阻んでいます。
いろいろなデモの写真をお見せします。特徴的なのは子どもをもったたくさんの女性たちが立ち上がったことです。こうしたデモが全国で無数に行われてきています。
さらにこうした行動は日本の民衆の政治的活性化にもつながりました。原発だけでなく、戦争に反対し、市民的権利をめぐる無数のデモが毎週のように行われています。その一つの中心は沖縄で行われている米軍基地建設反対運動です。
私は17歳のときにアクティビストになり、依頼、40年間、社会変革運動を行ってきたしたが、これほど日本民衆がさまざまなデモを繰り広げている時を知りません。
ただこの民衆の覚醒に対して、ついてこれていないものがあります。一つはマスメディアで、もう一つは野党です。このため残念ながら民衆の覚醒はまだ国会の議席に反映していません。このため世論調査をすると原発反対は7、8割を占めるのに、議席は原発再稼働強行派の政権党が7割を占めています。これをどう逆転させるのかが課題です。
それをどう実現していくのか。さまざまな方法がありますが、今日、私がみなさんにご紹介したいのは、原子力災害対策を進めることです。この中でこそ、原発の危険性をより広く知ってもらうことが大事だと思っています。
日本では福島原発事故が起こるまで、「チェルノブイリ原発事故のようなことは絶対に起こらない」と強調されてきました。このためどの町も原発事故に対する避難計画を持っていませんでした。福島原発事故が起こった時も、多くの行政が立ち往生しました。
さすがに福島原発の周りの自治体は、安定ヨウ素剤を持っていたのですが、ほとんど配られませんでした。配るためのシミュレーションがなかったためです。また福島県が「パニックを起こしてはならないから」と配布を禁じたためでもありました。そして「にわかに健康被害はない」ということだけが強調されました。
このことの反省から「再稼働をするなら避難計画を作るべきだ」という声が高まり、これにおされて政府は、原発から5キロ圏内を事故の兆候があったら逃げ出すゾーンに指定し、安定ヨウ素剤の事前配布を行いました。また30キロ圏内を放射線値が高くなったら避難するゾーンに指定し、各自治体に避難計画の策定を命じました。しかし各地で混乱が起こっています。人口密度の高い日本で住民を効率よく逃がす対策をたてるのは困難だからです。
にもかかわらず政府は、避難計画もまともにできていないまま、2015年に日本の一番端にある川内原発の再稼働を開始しましたが、これに対して各地で「せめて安定ヨウ素剤を配れ」という動きが強まりだしました。
そんな中で私は、兵庫県篠山市という人口43000人の小さな町にかかわってきました。現在動いている高浜原発から60キロ弱です。政府が事故対策を指示した30キロ圏内の外ですが、事故時に高濃度の放射能が飛んでくる可能性が十分にあります。
私はここで原子力災害対策検討委員会のメンバーになり、事故対策を重ねてきました。篠山市の方針は、事故がおきたらとにかく全市をあげて逃げ出すことです。そのために事故がおきたらなぜすぐに逃げなくてはいけないのかの教育を徹底し、事故時にそれぞれがどこにどうやって逃げるのか、あらかじめ決めておくことを訴えています。
同時に安定ヨウ素剤の事前配布を実現しました。原発5キロ圏内以外の日本の都市の中で初めての試みでした。篠山市は住民に、「安定ヨウ素剤は放射性ヨウ素にしか対応できないものだ。他の放射能からは身体を守れない。だからこれを飲むときは逃げ出す時だ」と教えています。市民学習会を何度も繰り返しながら実現してきました。このためいま、篠山市の3歳から13歳までの子どもの7割に安定ヨウ素剤がいきわたっています。
さらに篠山市は事故対策のハンドブックを作成しました。この21日に市民向けに発送されます。原稿を私が書き、友人が漫画を描きました。ちょっとお見せします。
いま、この動きが日本中に広まりつつあります。多くの原発の近くの行政体が対策を行いたいと考えだしていて、政府が5キロ圏内に押しとどめているヨウ素剤事前配布を広げたいと考えだし、私へのコンタクトが増えています。篠山市で行ったことを真似たいというのです。すでに原発30キロより外の幾つかの町で実際に事前配布に向けた動きが活発化しています。
「ヨウ素剤配布を進めることは再稼働を支持することだ」という意見もありました。しかし私はそうは思いません。すでに日本では5基の原発が動いていて、明日、大事故を起こすかもしれません。また原発はとまっていても、プールに核燃料がある限り、地震などで何が起こるか分からず危険です。その点からも原子力災害対策は行わなければならないのです。
同時に私が取り組んできて思うことは、原発反対運動とは違い、原発災害対策は、とりあえず原発賛成・反対を横において進めることができます。このため保守の方たち、原発賛成派とも十分に話ができるのです。
そして災害のリアリティを一緒になって考えていくと、ほとんど誰もが「原発はそんなに危ないものだったのか」と目覚めてくれます。その点で原子力災害対策を充実させればさせるだけ、人々は原発や放射能の危険性にめざめます。
実はだからこそ、日本政府は福島原発事故までなんの災害対策をとらず、事故後も安定ヨウ素剤配布を5キロ圏内にとどめているのです。安定ヨウ素剤配布が、原発の危険性への覚醒につながるからです。
このため私はいま、全国にヨウ素剤の事前配布を広めるべく努力しています。それを通じて住民の意識啓発を進めるのです。原発反対のデモも頑張る必要がありますが、しかしデモには来ない人、原発にまだ賛成している人を含めて、一緒に原発のことを考えるムーブメントを広げれば、日本民衆の覚醒はさらに強まります。そのための努力を続けます。
最後にこの間、日本の中で起こっている大きなことをお伝えします。日本の原発メーカーである東芝がほとんど倒産しかかっていることです。理由はアメリカへの原発輸出での大失敗です。
日本にあるメーカーは三つです。東芝と三菱と日立です。このうちの東芝がアメリカのウェスチングハウス社を買収し、原子力産業の世界のリーディングカンパニーになろうとしました。2006年のことです。そしてアメリカで次々と原発を作り始めました。ところがその後に福島原発事故が起こり、東芝の信用が失墜しました。なぜか。福島原発の多くが東芝製だったからです。
それでも東芝はあきらめずに原子力部門への投資を強めましたが、その前に立ちはだかったのが、原発の規制基準の強化でした。これは世界中の政府当局が行わなければならなくなったことです。そうしたら途端に各地で採算われが生じたのです。この挙句の果てに東芝は巨額の損失を出してしまい、すでに原発輸出からの全面撤退を表明しました。
同じことがフランスのアレバ社でも起こりました。いや世界中の原発メーカーがこの事態に直面しています。
この事態を前にアジアでは、日本がもっとも期待する原発輸出先であったベトナムが計画を白紙撤回してしまいました。さらに台湾でも日本から輸出されて完成間近だった第4原発を動かさないことが決まり、政権がかわって脱原発が宣言されました。
さらに日本のお隣の国の韓国でも新しい大統領のもとで脱原発が宣言されました。
これらのことにより、日本の安倍政権の原発輸出を柱とした経済成長路線が完全に破たんしてしまいました。そんな中で、日本ではいま、安倍首相が汚職問題が明らかになって大きな危機の中にありますが、この背景にあるのは東芝が崩壊し、原発輸出がどんどん難しくなっていることにあると僕はみています。
では誰がこの事態を作りだしたのか。私たちです。今日ここに集まっているみなさんです。みなさんが原発反対を掲げ、無数のデモをしてきたからこそ、各国の政府が規制を強化せざるをえなくなったのです。そしれもうそれだけでメーカーには痛手で、原発が経済的にもちっとも儲けにすらならないことが見えてきたのです。このため保守の側、財界の側からも、原発にはもう展望がないのではないかという声が高まっています。私たち民衆の力が原発から展望を奪い、核のない日を近づけているのです。
だからみなさん。さらに連帯して頑張りましょう。このたたかいは勝つことができます。
最後にみなさんにこの言葉を送ります。
Power to the people!
ありがとうございました!
守田です(20170716 18:30 ドイツ時間)
守田です。(20170707 11:00)
「ヨウ素剤の自主配布相談会」のお知らせ (医師、事前配布を望む各地の運動や個人、弁護士、賛同人ら対象)
DAYS 救援アクション ( 東京都世田谷区松原 1-37-19-402、世話人:広河隆一)は 2017 年 5 月 22 日、関 係各省庁、各電力会社、原発立地自治体及び周辺の自治体に宛てて、【ヨウ素剤の事前配布の要望書】を提出しました。
あれから 1 か月以上がたちましたが、状況は良い方に進展していません。 原発再稼働は進み、いよいよ原発事故というものが過去にも未来にも「無いこと」にされていきそうです。 私たちは要望書で、なぜ事前配布が必要かを書きました。現在、5 キロ圏のみならず、30 キロ圏内にも事前配布するようにという自治体と住民の動きが活発化しています。一日も早くそれが実現されることを望みます。 福島原発事故の時の私たちの失敗の一つは、政府や自治体や「専門家」を信じ、期待をしてしまった事でした。 私たちは要望書に、ヨウ素剤の配布圏を、原発から 5 キロ圏や 30 キロ圏でとどめてはならないことも書きました。チェルノブイリ原発事故や福島第一原発事故の教訓により、原発からはるかに遠い所でも、甲状腺 がんが多発していることが明らかになっているからです。要望書の最後には、次のように書きました。
「ヨウ素剤の配布が政府や自治体の手で実施されるまでの間に、次の原発事故が起こらないとは限りません。 海外で実施されているような「人道的配布措置」、あるいは「緊急避難的措置」として、自分たちの手で自分や周りの人の健康を守るために、ヨウ素剤の自主的な配布を実施したいと考えます」
この趣旨に賛同する人々の増加により、私たちはいよいよ自主配布の実践に取り掛かることにしました。 これを進めるための会合を以下の通りおこないます。今回は医師や自主配布を望む各地の運動や個人、弁護士、呼びかけ人による中規模な会(100人)とします。お早目のお申し込みをお願いします。
日時:2017 年 7 月 9 日(日)14 時半〜 17 時 会場:DAYS赤坂見附貸し会議室 4A
東京メトロ「赤坂見附駅」徒歩 1 分、「永田町駅」徒歩 8 分
説明会内容:事前配布の準備状況、サプリメントの説明、 ヨウ素剤(医薬品)の説明(分量、服用の時期、副作用、使用期限) 実施を検討している各地からの話(鹿児島、大分、千葉ほか)
医師の話、弁護士の話、住民の話 事前配布説明会の流れ、説明書や会場配布チラシについて 在日外国人、旅行者対策について
ヨウ素剤の次に取り掛かることー避難
緊急時ホームページについて など。
参加予定者:崎山比早子、広瀬隆、武藤類子、藍原寛子、青山浩一(医師)、鈴木利廣(弁護士)、広河隆一ほか
申し込み:daysaction@daysjapan.net 電話 : 03-5376-7898 FAX: 03-3322-0353
主催;DAYS 救援アクション(世話人代表 広河隆一)
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福島第一原発事故で放出された放射能にさらされ、除染作業などによって集められた膨大な放射性「汚染土」。これを8000Bq/kgのものなら公共事業で再利用してしまえというあまりにひどい政策が進められつつあります。私たちは、この問題についての学習研究会を立ち上げ継続してきました。
第9回研究会は、前回に引き続いて放射能汚染防止法制定の動きについて考察します。6月25日にこの内容で岡山市で企画があり守田敏也さんが参加してきたのでその報告もしていただきます。テキストとして今回も『制定しよう 放射能汚染防止法』(山本行雄著 星雲社)を使います。それぞれの方がお持ちになる必要はありません。主要部分をレジュメ化してご紹介します。
なお今回は河野益近さんも参加され、「放射能汚染防止法」制定運動について思うところを述べていただきます。いろいろと質問にも答えていただきましょう。
7月10日(月) 午後7時~9時
場所 市民環境研究所(京都市左京区田中里ノ前21石川ビル305)
主催 NPO法人・市民環境研究所
呼びかけ 石田紀郎(市民環境研究所代表理事)
守田敏也(フリーライター・市民環境研究所研究員)
参加費 若干のカンパをお願いしています。
連絡先 090‐5015‐5862(守田)
守田です(20170706 16:00)
これらは「洪水、嵐、高潮、地震、津波」のリスクから算出したもので、原発のリスクは入っていません。スイスリーは世界の人々の「ワースト10の都市には移住すべきではない」と勧告すらしています。
これには今後30年に7割の確率で、50年だったら9割の確率で来ると言われる南海トラフ地震のリスクなども入っています。
またこのことを踏まえて元東京都職員の土木専門家、土屋信行さんが次のように述べています。
「日本を攻撃するのに、軍隊も核兵器も必要ない。無人機が一機、大潮の満潮時にゼロメートル地帯の堤防を一カ所破壊すれば、日本は機能を失う」(東京新聞2014年9月7日)
そもそも日本の近代の河川対策は洪水封じ込め型で、とにかく堤防をかさ上げすることの繰り返してきたので、実は利根川や淀川が有史以来、最大の水量をたたえてしまっているのです。だからこそ満潮時に堤防が大決壊すれば大都市が機能を失ってしまうのです。
にも関わらず政府は積極的な対応に踏み込んではいないし、野党の側からもこれを積極的に選挙の争点にしようとしているところはありません。国をあげて災害に甘い状態が現出してしまっています。端的に言って、国防がないがしろにされています。
私たちはだからこそここ数年、豪雨が降るたびに犠牲者は多くの被害を出していると捉えるべきではないでしょうか。自然の猛威ばかりでなく、事前の対策が悪いから被害を抑えきれていないのではないでしょうか。
では何をどうすべきなのか。僕は対策の柱として自衛隊の災害救助隊への改編を急ぐべきだと思います。
理由は簡単。実際に自衛隊は災害救助ばかりを担っているからです。しかし自衛隊のままで今後の災害の拡大に備えるのにはあまりに不十分です。
そもそも自衛隊は戦闘組織です。「敵」を殺すための組織であって、命を助けるために特化していません。その象徴が迷彩服です。敵に見えないことが重要なのです。しかし救助隊は要救助者に見えなくてはいけないのです。ここからしてまったく違う。
災害現場の映像をご覧になってください。消防関係の救助隊はほとんどがオレンジ色の服を着ています。目立ちやすいようにです。ところが自衛隊は迷彩服で、山岳や森林をバックにすると見事に見えなくなってしまう。
この格好で災害救助を続けるのはばかばかしい。効率が悪すぎるのです。誰がこのことを一番感じているかというと他ならぬ自衛官のみなさんだと思います。災害の現場で直感するはずです。これまでだってそれが生死を分けていることもあるはずです。
また戦車やジェット戦闘機があっても災害救助には何の役にもたちません。イージス艦があっても、台風一つ、撃ち落とせるわけでもないのです。
だとしたらこれらの予算を削り、その分、災害対策車両などを増やせばいいのです。その方が稼働率だって断然、あがるはずです。だって自然災害が次々と襲ってきているのですから。
さらに言えば日本の技術は優秀ですから、まだ世界に一台もないような新型の消防車や救急車を開発して積極的に使用すればいいのです。そうなれば世界に売って利益を得ることだってできます。世界が災害に喘いでいるからです。
しかも軍事技術が敵に知られないために秘密主義となり、その点からも自由な売買などできないことに対して、災害対策車両は、人の命を救うスキルの塊なのですからどんどん公開していけばいい。それで世界でおおらかに開発競争だってしたら良いのです。
いや何も車両を売るだけでなく、再編された災害救助隊をこそ、必要に応じて世界に派遣したら良いのです。そうすれば「あんなに良い国を襲うわけにはいかないだろう」と思ってもらえます。それこそが安全保障の要です。
いわゆる「テロ」と一方的に言われている武装襲撃事件などが起こる可能性だって大きく抑えられるでしょう。
お隣の国、中国の各地への進出に神経を尖らせている人々がいますが、そうであるならば中国で災害が起こった時に大々的に助けに行ってあげれば良いではないですか。それでこそ中国の姿勢に影響を与えることだってできます。徳を持ってです。
いやそんなことをしなくても、いまだって中国の庶民は私たち日本に住まうものたちのことをとてもよく思ってくれていることをぜひ知っていただきたいです。「爆買い」現象などはその象徴です。
あれは「日本の人々は誠実で真面目だから、けして消費者を裏切るようなものは作らない」というとてもおおきな信頼(過度の美化や美しき誤解も含んでいる)のなせる技です。
自衛隊を災害救助隊にどんどん変えて、災害対策を抜本的に強化すれば、自然災害の多発に対して私たちが命を守れる可能性をどんどんあげることができるし、さらにそれを必要に応じて派遣することで多くの国にこの国を「徳」のある国と受け止めてもらえる。
いやそれどころか、世界史の中で初めて他国の災害救助も考えた部隊を創出した国として歴史に残るかもしれない。未来世代にそんな名誉を贈りたいものです。
リアリティから考えても、理想から考えても、この道を歩むことが僕は最も合理的であり、妥当だと思います。
もちろんすぐにはそうならないので、民衆自身がもっと能動的に災害対策に取り組むこと、国や行政に対応をお任せする姿勢をあらため、あらゆる災害を想定して、対策をほどこし、避難訓練などを行っていきましょう。
そのためのノウハウの基軸にあることこそ、「正常性バイアス」「集団同調性バイアス」「パニック過大評価バイアス」などの災害を前にした心理的罠にはまらない心構えを作ることであり、そのためにも事前のシミュレーションを重ねるべきことを訴え続けていますが、同時にぜひみなさんに「自衛隊を災害救助隊に変えよう」という声をあげていただきたいです。繰り返しますがこれが最も合理性のある道だからです。
そうすると「それは理想主義だ。現実を見ていない」などという声が必ず出てくると思いますが、実はこの声を発している最大の母体こそ軍需産業だということを知っておきましょう。
武器を作り、売りさばき、定期的に使ってもらうことで生業を立てているこの産業界こそが、常に「武器をなくせというのは理想だ」「空論だ」「非現実的なロマン話だ」などと言い続けているのです。それやそうでしょう。そうでないと滅亡するのですから。
しかし反対に武器をもって平和が作れているのでしょうか?作れるはずなどない。そうしたら武器がいらなくなってしまい、弾があまって仕方がなくなってしまうからです。軍需産業は定期的に戦争がないと困るのです。
だから戦争は、武器製造者こそが武器とともに作り出しているものでもあることを私たちはしっかりと認識しておく必要があります。
そもそも、元東京との職員の方が言うように、もはやこの国を軍事で守ろうとするのも無理です。海岸線にたくさんの原発を作ってしまったし、石油コンビナートなどもたくさんあるからです。
しかもこの国の政府は実は心の底から北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を信頼していたからこそ、福井県にあんなにたくさん原発を建ててしまったのだとしか思えません。ある意味でかの国に甘えきっているのがこの国の歴代の指導者たちなのです。
もちろん僕自身もかの国が原発を襲うことなど考えているとはまったく思いません。その意味でこの国の歴代の指導者たちのこの信頼が間違っていたとも思えません。
ただだったらもはや軍事力ではこの国を守れないことのリアリティにたつべきなのです。信頼と徳をもってしかこの国は守れない。だからこそそれを大きく促進させるために、自衛隊の災害救助隊への改編を急げば良いのです。
もちろん隊員たちは人殺しの訓練を受けて来ているわけですから、そのマインドコントロールを解く必要があるでしょう。
しかしアメリカ軍と比較するならば、いまの自衛隊は教官も含めて、人を殺したことのない人々で運営されている組織です。世界でもっとも軍隊から遠い軍隊です。なので軍隊から災害救助隊への転換の道も他国に比べて大きく広がっていると思います。
だからこそ、自然災害の猛威を前に、私たちはこの国に、災害対策をもっと充実させることを訴えて行かなくてはならないし、そのおおきな柱として災害救助隊の創出を訴えて行きましょう。
*****
これらの点も含めて「原発からの命の守り方」について7日午後7時から舞鶴市で、8日午後1時半から宮津市でお話しします。舞鶴ではとくにヨウ素剤について詳しくお話しします。
ぜひお越し下さい。
「舞鶴でも出来る☆安定ヨウ素剤全戸配布!
~篠山市なの先例に学ぶ講演会~」
7月7日 (金) 午後7時~
舞鶴市総合文化会館 小ホール
入場無料
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「原発からの命の守り方」
7月8日(土)午後1時半〜
みやず歴史の館 大会議室
主催 原発ゼロをめざす宮津・与謝ネットワーク
守田です。(20170701 11:00)