明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1754)東京オリンピックと放射能汚染水問題ーニューメキシコのnuclear summitでのプレゼンから(核の終わりを探る旅ー8)

2019年11月09日 11時00分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20191109 10:00 ニューメキシコ時間)

nuclear summitで福島原発汚染水問題についてプレゼンしました!

6日にシアトルからニューメキシコに向かいロスアラモスの見学などを経て、Isleta casino hotelにいます。ここで行われているNational Grassroots Summit on Radiation Wasteに参加中です。
「放射性廃棄物をめぐるナショナル草の根サミット」というところかな。全米から核廃棄物問題と格闘している人々が集っています。
なんとも感慨深いのは豪勢なカジノホテルで行われていること!どうしてこうなるかと言うと多くのカジノを先住民族が特別な権利の元に運営しているからです。ここはイスレタと言うトライブのカジノです。

8日午後に日本からの参加者のプレゼンタイムを取ってくださったので、今回は竹峰さんの司会の元、今中哲二さん、守田、玉山ともよさんの順で発言しました。
「放射性廃棄物」をめぐるサミットにふさわしいプレゼンをとのことで福島原発からの汚染水問題を選びました。
友人の田中愛子さんに英訳をしていただいたスクリプトにアメリカで作成したパワポを加えて熱を込めて訴えたところ、たくさんの方にスライドのシェアを求められて嬉しかったです。

ここでもシェアさせていただきます。日本語原文です。2回に分けます。
スライドも添付します。(時間がないので英語版のままです) 

***** 

東京オリンピックと放射能汚染水問題
2019年11月 守田敏也

なぜ「東京オリンピックと放射能汚染水問題」なのか

今回のタイトルをみて誰もが「なぜ?」と思われるのではないでしょうか。その答えから書きます。
東京オリンピックが決定された2013年、東京電力は放射能汚染水漏れを「告白」しました。
だから安倍首相はアテネでこう言わなければなりませんでした。Let me assure you, the situation is under control.=「私はみなさんに原発は統制のもとにあることを保証いたします」。
安倍首相は「東京に悪影響を及ぼすことはない」とも語り、さらに「汚染水の影響は福島原発の港湾内〇・三平方キロメートル内で完全にブロックされている」「必ず責任を完全に果たす」と言いました。

東京オリンピックを獲得するために、大嘘でしたが、安倍首相と日本政府は、東京電力の「誘導」にのってしまってもいました。
実は汚染水問題は福島原発事故が起こった時から始まっていて、東電はこのことを知っていながら2年間黙っていました。対策に膨大なお金がかかるからでした。東電が狙ったのは政府に対策費を出させること。
それで2013年夏、オリンピック招致会議を前に「告白」を始めました。

そもそも汚染水発生の理由はメルトダウンした核燃料を冷やすために水を投入してきたことで高濃度汚染水が生じたこと。それが壊れた格納容器から漏れだしました。
また福島サイトに山側から海側へ1日推定800トンの地下水が流れていて、原子炉建屋の中に入って汚染されて海へ出てしまうことが重なってきました。
 

● 知っていながら対策をしなかった東電

最初に問題が明らかになったのは2011年4月2日のこと。「高濃度汚染水の流出を確認」と報道されました。
同年5月11日には原子炉3号機地下の側溝からセシウム134が「一立法センチメートル」あたり37000ベクレルもある汚染水が漏れてしまったと報道されました。
国の基準の62万倍でしたが、「濃度」しか発表されず、どれだけ出たか、総量は伝えられませんでした。

さらにこの年の12月4日に汚染水処理施設から45~220トンの汚染水が海に流れてしまったと発表されました。
この3回の汚染を朝日新聞が試算し「少なくとも462兆ベクレルのストロンチウムが海に流れ込んでしまった」と発表しました。
東電自体は4、5月に放射性ヨウ素とセシウムが4720兆ベクレル海に流れ込んでしまったという推計を出しました。

これらの数値は「最低でもこれだけの放射能が海に流れ込んだ」ものです。ほんの一部が推計されただけなのです。
しかも東電はこれを熟知しながら対策をネグレクトしてきました。民主党政権のもとで事故対策にあたった議員二人が著書でこれを暴露しています。
(馬淵澄夫著『原発と政治のリアリズム』、空本誠喜著『汚染水との闘い』)。
事故対策の過程で地下水問題に気が付いた官邸チームがすぐに山側に壁を作り地下水流入を防ごうとしたものの東電が抵抗し計画が見送られてしまったというのです。


選挙における自民党の圧勝後に東電が汚染水漏れを「告白」

東電が事態を明らかにしたのは2013年7月21日の参院選における自民党圧勝、民主党惨敗の直後からでした。選挙翌日の7月22日、東電は初めて放射能汚染水の漏れ出しを「告白」しました。
この過程を見ると、選挙前に東電が政府や自民党と事前交渉し、自分たちを訴追しないことや、国が対策費を出すことと引き換えに選挙後に事実を発表する取引を行ったことが強く推測されます。
事前に情報が出されたら自民党は大敗しただろうからです。

東電はこの後に、重大発表を連発しました。そして8月2日に1日400トンの放射能汚染水が海に流れ込んでいると発表しました。
空本氏は自著の中で「約800日間でセシウム137で約1~20兆ベクレル、ストロンチウム90で約7000億~10兆ベクレル、トリチウムで約20~40兆ベクレル」と試算していますが、東電は量については語りませんでした。

政府は8月7日に対策への乗りだしを発表しました。しかしもし政府が8月2日の東電発表で事実を知ったのなら、こんな短期間で乗りだしなどできるはずがありません。
ここからも東電と政府が放射能汚染水対策を打ち合わせたことがうかがえます。東電は自社の防衛にまんまと選挙=有権者をも利用したのです。

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