守田です。(20120201 14:30)
今日はどうしてももう一つ発信しておきたいことがあります。東北沖と、琵琶
湖周辺で、巨大地震発生の可能性が指摘されていることです。東北沖では、マ
グニチュード8級の地震の可能性がうたわれています。その場合、再び大きな
津波が押し寄せてくる可能性があります。
地震そのものでも、津波でも、懸念されるのは直接の被害の他に、原発事故が
再び起こることです。とくに福島第一原発で、ぎりぎりの状態で保たれている
冷却系が失われる可能性がある。あるいは4号機の倒壊の可能性もあります。
そうなったら最悪です。
同時に琵琶湖周辺でも、巨大地震の可能性が指摘されています。この場合も
懸念されるのは、原発銀座の14基の原発群です。関電で動いているのは今は
1基ですが、それぞれにたくさんの燃料棒が蓄積されており、やはり危険な
状態が続いています。
重要なことはこれに対する構えを作り出していくこと、大災害の可能性をみす
えて、対策を講じていくことです。それがあるとないとで、全く対処が変わっ
てきます。今こそ311の経験を生かして、被曝対策を練り上げていくことが
問われます。
そのためにはどうすればいいのか。災害心理学が参考になります。災害心理学
では、人間が危機に直面した時、しばしば「正常性バイアス」に陥ることが指
摘されています。危機を認めず、事態は「正常」に推移するのだと、偏見をか
けることで、心理的動揺を押さえ込もうとする人間心理のことです。
これがあると人は退避行動に移ることができない。目の前にある災害を認識で
きず、避難が遅れてしまうのです。そのため災害心理学は、「正常性バイアス」
の恐ろしさを繰り返し指摘し、その解除をなすべきことを指摘しています。実
は人はなかなかパニックにはならないことも指摘しています。
では「正常性バイアス」の解除には何が必要なのか。一番、効果があるのは避
難訓練を繰り返し、いざというときの行動マニュアルを徹底させておくことで
す。実際、311の時も、こうした訓練が行き届いていたところほど、津波被
害は少なかったのです。
では原発災害に対してはどうすべきか。ぜひそれぞれの市町村で原発災害訓練
の実施を行政に要請してください!とくに原発に近い地域は必須です。それが
ないと、ヨウ素剤、ガイガーカウンター等々、必要なものの備蓄もできません。
そのために311のときは被爆が拡大したことを教訓とすべきです。
個人レベルでは、さまざまな原発関係の学習会に参加することそのものが、避
難訓練の一つになること。実際、311までもそうした経験をしてきた人ほど、
的確に逃げ出すことができたことを知ってください。学習会はいわば図上訓練
です。そこにできるだけ多くの人を誘いましょう。
また家族でよく話し合って、危機のときに持ち出すものを整理し、家族が落ち
合う場所、逃げる方向、ルートなどを複数確認しておいてください。スピー
ディーを今度こそ公開させる必要がありますが、現状ではあてにできません。
そのために複数の可能性に基づいたシミュレーションをしておくのが大事です。
備えあれば憂いなしです。しかしこうした備えをすることが、即、原発の危険
性の認識につながるために、これまで政府はこうした対処を避けてきたのです。
いや、今なお避け続けている。その象徴が、でたらめな「冷温停止宣言」です。
こんな政府に従っていたら、私たちの命はまったく守れません。
地震・津波、そして原発災害に対する構えを作り上げていきましょう。その中
に脱原発世論を高めていく道もあることを知りましょう。ぜひ各地で避難訓練
を実施しましょう。災害心理学を学びましょう。危機に対する構えをみんなで
作って、みんなで危機を乗り越えていきましょう!
**************
東北沖、M8級余震も プレート内部の変化を観測
共同通信 2012年1月31日
東日本大震災の地震により、東北地方に沈み込んでいる太平洋プレートの内部
で力のかかり方が変化したことを、海洋研究開発機構などのチームが観測で発
見し31日、米科学誌電子版に発表した。東北沖の太平洋遠方で起きる地震は、
震災前にはマグニチュード(M)7級と考えられていたが、余震として起きる
地震がM8級になる可能性も出てきたという。
チームの尾鼻浩一郎主任研究員は「1933年の昭和三陸地震(M8・1)と
似たタイプ」としている。
昨年4~7月、宮城、福島両県の沖合250キロ以上離れた海域に設置した
20台の海底地震計で、プレート内部で起きる余震を観測、データを分析した。
http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012013001002092.html
*****
琵琶湖底の堆積物噴出活発化
朝日新聞 2012年01月20日
【「地震予兆」指摘も】
高島市沖の琵琶湖の最深部で、湖底から堆積(たい・せき)物が噴き上がる現
象が活発化している。近畿地方を震源とした地震の予兆の可能性を指摘する専
門家もいる。
県琵琶湖環境科学研究センター環境情報統括員の熊谷道夫さん(60)らによ
る自律型潜水ロボット「淡探(たん・たん)」を使った湖底の調査では、
2009年から噴き上がる場所の数や大きさが増し、付近のにごりも増してい
るという。
熊谷さんが着目するのは、湖底から1メートルと1.5メートルの場所での水
温の比較で、08年ごろから湖底に近いほど高い現象が目立つようになった。
「地中の熱が水中に伝わっているためで、水温の差が大きい場所で地下水や
ガスの噴出が起きているのではないか。25年にわたる湖底観察で初めての
現象だ」と話す。
元東京大学地震研究所准教授の佃為成さんは地殻変動の影響を指摘する。この
地域は、地殻変動による「ひずみ」が蓄積した「新潟―神戸ひずみ集中帯」の
一部で、同集中帯では1995年の阪神大震災や04年の新潟県中越地震など
が起きた。02年以降、琵琶湖から神戸にかけてひずみの変動が大きくなって
いるデータもあるうえ、高島市から大津市にかけての内陸部には琵琶湖西岸
断層帯がある。佃さんは「(噴き上げ現象が)大地震の準備過程を意味する
可能性を念頭に置いて防災態勢を急ぐべきだ」と話す。
元京都大学総長で地震学が専門の尾池和夫・国際高等研究所長は「現時点では、
湖底の現象を地震の前兆に結びつける判断はできないが、さまざまな異常現象
を集めておくことは地震の前兆現象の研究にとっても大事なことだ」と話す。
(飯竹恒一)
http://mytown.asahi.com/shiga/news.php?k_id=26000001201200001
今日はどうしてももう一つ発信しておきたいことがあります。東北沖と、琵琶
湖周辺で、巨大地震発生の可能性が指摘されていることです。東北沖では、マ
グニチュード8級の地震の可能性がうたわれています。その場合、再び大きな
津波が押し寄せてくる可能性があります。
地震そのものでも、津波でも、懸念されるのは直接の被害の他に、原発事故が
再び起こることです。とくに福島第一原発で、ぎりぎりの状態で保たれている
冷却系が失われる可能性がある。あるいは4号機の倒壊の可能性もあります。
そうなったら最悪です。
同時に琵琶湖周辺でも、巨大地震の可能性が指摘されています。この場合も
懸念されるのは、原発銀座の14基の原発群です。関電で動いているのは今は
1基ですが、それぞれにたくさんの燃料棒が蓄積されており、やはり危険な
状態が続いています。
重要なことはこれに対する構えを作り出していくこと、大災害の可能性をみす
えて、対策を講じていくことです。それがあるとないとで、全く対処が変わっ
てきます。今こそ311の経験を生かして、被曝対策を練り上げていくことが
問われます。
そのためにはどうすればいいのか。災害心理学が参考になります。災害心理学
では、人間が危機に直面した時、しばしば「正常性バイアス」に陥ることが指
摘されています。危機を認めず、事態は「正常」に推移するのだと、偏見をか
けることで、心理的動揺を押さえ込もうとする人間心理のことです。
これがあると人は退避行動に移ることができない。目の前にある災害を認識で
きず、避難が遅れてしまうのです。そのため災害心理学は、「正常性バイアス」
の恐ろしさを繰り返し指摘し、その解除をなすべきことを指摘しています。実
は人はなかなかパニックにはならないことも指摘しています。
では「正常性バイアス」の解除には何が必要なのか。一番、効果があるのは避
難訓練を繰り返し、いざというときの行動マニュアルを徹底させておくことで
す。実際、311の時も、こうした訓練が行き届いていたところほど、津波被
害は少なかったのです。
では原発災害に対してはどうすべきか。ぜひそれぞれの市町村で原発災害訓練
の実施を行政に要請してください!とくに原発に近い地域は必須です。それが
ないと、ヨウ素剤、ガイガーカウンター等々、必要なものの備蓄もできません。
そのために311のときは被爆が拡大したことを教訓とすべきです。
個人レベルでは、さまざまな原発関係の学習会に参加することそのものが、避
難訓練の一つになること。実際、311までもそうした経験をしてきた人ほど、
的確に逃げ出すことができたことを知ってください。学習会はいわば図上訓練
です。そこにできるだけ多くの人を誘いましょう。
また家族でよく話し合って、危機のときに持ち出すものを整理し、家族が落ち
合う場所、逃げる方向、ルートなどを複数確認しておいてください。スピー
ディーを今度こそ公開させる必要がありますが、現状ではあてにできません。
そのために複数の可能性に基づいたシミュレーションをしておくのが大事です。
備えあれば憂いなしです。しかしこうした備えをすることが、即、原発の危険
性の認識につながるために、これまで政府はこうした対処を避けてきたのです。
いや、今なお避け続けている。その象徴が、でたらめな「冷温停止宣言」です。
こんな政府に従っていたら、私たちの命はまったく守れません。
地震・津波、そして原発災害に対する構えを作り上げていきましょう。その中
に脱原発世論を高めていく道もあることを知りましょう。ぜひ各地で避難訓練
を実施しましょう。災害心理学を学びましょう。危機に対する構えをみんなで
作って、みんなで危機を乗り越えていきましょう!
**************
東北沖、M8級余震も プレート内部の変化を観測
共同通信 2012年1月31日
東日本大震災の地震により、東北地方に沈み込んでいる太平洋プレートの内部
で力のかかり方が変化したことを、海洋研究開発機構などのチームが観測で発
見し31日、米科学誌電子版に発表した。東北沖の太平洋遠方で起きる地震は、
震災前にはマグニチュード(M)7級と考えられていたが、余震として起きる
地震がM8級になる可能性も出てきたという。
チームの尾鼻浩一郎主任研究員は「1933年の昭和三陸地震(M8・1)と
似たタイプ」としている。
昨年4~7月、宮城、福島両県の沖合250キロ以上離れた海域に設置した
20台の海底地震計で、プレート内部で起きる余震を観測、データを分析した。
http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012013001002092.html
*****
琵琶湖底の堆積物噴出活発化
朝日新聞 2012年01月20日
【「地震予兆」指摘も】
高島市沖の琵琶湖の最深部で、湖底から堆積(たい・せき)物が噴き上がる現
象が活発化している。近畿地方を震源とした地震の予兆の可能性を指摘する専
門家もいる。
県琵琶湖環境科学研究センター環境情報統括員の熊谷道夫さん(60)らによ
る自律型潜水ロボット「淡探(たん・たん)」を使った湖底の調査では、
2009年から噴き上がる場所の数や大きさが増し、付近のにごりも増してい
るという。
熊谷さんが着目するのは、湖底から1メートルと1.5メートルの場所での水
温の比較で、08年ごろから湖底に近いほど高い現象が目立つようになった。
「地中の熱が水中に伝わっているためで、水温の差が大きい場所で地下水や
ガスの噴出が起きているのではないか。25年にわたる湖底観察で初めての
現象だ」と話す。
元東京大学地震研究所准教授の佃為成さんは地殻変動の影響を指摘する。この
地域は、地殻変動による「ひずみ」が蓄積した「新潟―神戸ひずみ集中帯」の
一部で、同集中帯では1995年の阪神大震災や04年の新潟県中越地震など
が起きた。02年以降、琵琶湖から神戸にかけてひずみの変動が大きくなって
いるデータもあるうえ、高島市から大津市にかけての内陸部には琵琶湖西岸
断層帯がある。佃さんは「(噴き上げ現象が)大地震の準備過程を意味する
可能性を念頭に置いて防災態勢を急ぐべきだ」と話す。
元京都大学総長で地震学が専門の尾池和夫・国際高等研究所長は「現時点では、
湖底の現象を地震の前兆に結びつける判断はできないが、さまざまな異常現象
を集めておくことは地震の前兆現象の研究にとっても大事なことだ」と話す。
(飯竹恒一)
http://mytown.asahi.com/shiga/news.php?k_id=26000001201200001
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