守田です。(20111102 09:30)
朝方から大変なニュースが飛び込んできました。福島第一原発2号機の
格納容器から、核分裂が起こった時に出て来る放射性キセノンが検出
されたというのです。東電は核分裂の可能性ありとして、中性子を吸収
するホウ酸水の緊急注入を行いました。
HNKニュースによると、2号機では10月28日から「格納容器の中から
気体を吸い出し、フィルターを通して放射性物質を取り除く装置の運転
を始めていて、この装置の出口付近で放射性物質の種類や濃度を測定し
て分析して」いたそうです。それで1日の分析でキセノンが検出された。
ということは、核分裂反応はそれ以前から起こっていた可能性がありま
す。核分裂が起こっては止まり、また起こるという「遅発臨界」が継続
していた可能性がある。それが28日から観測しはじめて、1日になって
ようやく把握された可能性があります。
では核分裂はどのようにして起こったと考えられるのか。東大大学院の
岡本孝司教授が次のように説明しています。「原子炉内外にある放射性
物質から出る中性子が燃料のウランなどと反応して、局所的、一時的に
核分裂反応が起きる可能性は十分に考えられる。」
原子炉内外にある放射性物質とは何か。中性子を出すというのですから
自発的な核分裂を起こしている物質であり、プルトニウム240などが考え
られます。これが炉の内外にあり、中性子を放出して、ウラン235やプル
トニウム239の核分裂を引き起こしている。
岡本教授は次のようにも言っています。「原子炉の周辺の中性子を詳し
く測ることで、どこに核分裂反応が起きる原因があるかを調べ、核分裂
反応を確実に起こさせないようにする必要がある」「メルトダウンした
燃料が原子炉内外のどこに存在しているか把握したうえで、核分裂反応
が起こらない状態にもっていかなけなければならない」。
つまり「メルトダウンした燃料が原子炉内外のどこに存在しているか」
把握できてないことの指摘であり、当然にもそれはさらに核分裂反応が
進む可能性の指摘でもあります。岡本教授は「冷温停止状態とは言い難
い」とも指摘していますが、それは当然のことで、それよりも2号機が
非常に危険な状態にあることが指摘されるべきです。
さらなる破局的な事態への進行の危機は未だ去っていない。2号機、いや
福島第一原発全体へのさらなるウォッチを強化せねばなりません。
*************************
2号機で核分裂反応か 原子炉注水
NHK NWES WEB 11月2日 6時38分
東京電力福島第一原子力発電所の2号機の格納容器から、核分裂反応が
起きた時にできる放射性物質のキセノンが検出され、東京電力は核分裂
反応が起きている可能性が否定できないとして、原子炉に核分裂反応を
抑えるホウ酸水を注入しました。
福島第一原発の2号機では、先月28日から格納容器の中から気体を吸
い出し、フィルターを通して放射性物質を取り除く装置の運転を始めて
いて、この装置の出口付近で放射性物質の種類や濃度を測定して分析し
ています。その結果、1日に行った分析で、核燃料のウラン235が核
分裂してできる放射性物質のキセノン133と、キセノン135が検出
されたということです。キセノン133は放射性物質の量が半分になる
半減期が5日と短いため、東京電力は、再び核分裂反応が起きている可
能性が否定できないとして、午前3時前から1時間にわたって原子炉に
核分裂反応を抑えるホウ酸水の注入を行いました。東京電力によります
と、原子炉の温度や圧力、それに敷地周辺の放射線量を計測しているモ
ニタリングポストの値に大きな変動はないため、核分裂反応が起きてい
ても規模は小さいとしています。経済産業省の原子力安全・保安院によ
りますと、検出されたキセノンの濃度は低く、原子炉の温度などに変化
がないことから、今のところ燃料が再び溶融しているとは考えにくいと
していますが、ホウ酸水を注入したあともキセノンの検出が継続されな
いかどうか、状況を見極めるとしています。
福島第一原発2号機で、キセノンが検出されたことについて、原子力が
専門の東京大学大学院の岡本孝司教授は「現在の2号機は、核燃料が溶
け落ちて核分裂をする物質が散乱していると考えられ、核分裂反応が起
きにくい状態になっているが、原子炉内外にある放射性物質から出る中
性子が燃料のウランなどと反応して、局所的、一時的に核分裂反応が起
きる可能性は十分に考えられる。しかし、原子炉にはこれまでも大量の
ホウ酸を注入していたことなどから、核分裂反応が連続的に起きる臨界
になる可能性は考えにくい。原子炉の周辺の中性子を詳しく測ることで、
どこに核分裂反応が起きる原因があるかを調べ、核分裂反応を確実に起
こさせないようにする必要がある」と話しています。また、国や東京電
力が年内の実現を目指している、原子炉が安定的に冷却できている冷温
停止状態の判断について、岡本教授は「冷温停止は、核分裂反応が止ま
り、再び反応が起きないよう制御できている状態のことで、今回のよう
に局所的であっても核分裂反応が制御できていない状態であれば冷温停
止状態とは言い難い。メルトダウンした燃料が原子炉内外のどこに存在
しているか把握したうえで、核分裂反応が起こらない状態にもっていけ
なければならない」と指摘しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111102/t10013667531000.html
朝方から大変なニュースが飛び込んできました。福島第一原発2号機の
格納容器から、核分裂が起こった時に出て来る放射性キセノンが検出
されたというのです。東電は核分裂の可能性ありとして、中性子を吸収
するホウ酸水の緊急注入を行いました。
HNKニュースによると、2号機では10月28日から「格納容器の中から
気体を吸い出し、フィルターを通して放射性物質を取り除く装置の運転
を始めていて、この装置の出口付近で放射性物質の種類や濃度を測定し
て分析して」いたそうです。それで1日の分析でキセノンが検出された。
ということは、核分裂反応はそれ以前から起こっていた可能性がありま
す。核分裂が起こっては止まり、また起こるという「遅発臨界」が継続
していた可能性がある。それが28日から観測しはじめて、1日になって
ようやく把握された可能性があります。
では核分裂はどのようにして起こったと考えられるのか。東大大学院の
岡本孝司教授が次のように説明しています。「原子炉内外にある放射性
物質から出る中性子が燃料のウランなどと反応して、局所的、一時的に
核分裂反応が起きる可能性は十分に考えられる。」
原子炉内外にある放射性物質とは何か。中性子を出すというのですから
自発的な核分裂を起こしている物質であり、プルトニウム240などが考え
られます。これが炉の内外にあり、中性子を放出して、ウラン235やプル
トニウム239の核分裂を引き起こしている。
岡本教授は次のようにも言っています。「原子炉の周辺の中性子を詳し
く測ることで、どこに核分裂反応が起きる原因があるかを調べ、核分裂
反応を確実に起こさせないようにする必要がある」「メルトダウンした
燃料が原子炉内外のどこに存在しているか把握したうえで、核分裂反応
が起こらない状態にもっていかなけなければならない」。
つまり「メルトダウンした燃料が原子炉内外のどこに存在しているか」
把握できてないことの指摘であり、当然にもそれはさらに核分裂反応が
進む可能性の指摘でもあります。岡本教授は「冷温停止状態とは言い難
い」とも指摘していますが、それは当然のことで、それよりも2号機が
非常に危険な状態にあることが指摘されるべきです。
さらなる破局的な事態への進行の危機は未だ去っていない。2号機、いや
福島第一原発全体へのさらなるウォッチを強化せねばなりません。
*************************
2号機で核分裂反応か 原子炉注水
NHK NWES WEB 11月2日 6時38分
東京電力福島第一原子力発電所の2号機の格納容器から、核分裂反応が
起きた時にできる放射性物質のキセノンが検出され、東京電力は核分裂
反応が起きている可能性が否定できないとして、原子炉に核分裂反応を
抑えるホウ酸水を注入しました。
福島第一原発の2号機では、先月28日から格納容器の中から気体を吸
い出し、フィルターを通して放射性物質を取り除く装置の運転を始めて
いて、この装置の出口付近で放射性物質の種類や濃度を測定して分析し
ています。その結果、1日に行った分析で、核燃料のウラン235が核
分裂してできる放射性物質のキセノン133と、キセノン135が検出
されたということです。キセノン133は放射性物質の量が半分になる
半減期が5日と短いため、東京電力は、再び核分裂反応が起きている可
能性が否定できないとして、午前3時前から1時間にわたって原子炉に
核分裂反応を抑えるホウ酸水の注入を行いました。東京電力によります
と、原子炉の温度や圧力、それに敷地周辺の放射線量を計測しているモ
ニタリングポストの値に大きな変動はないため、核分裂反応が起きてい
ても規模は小さいとしています。経済産業省の原子力安全・保安院によ
りますと、検出されたキセノンの濃度は低く、原子炉の温度などに変化
がないことから、今のところ燃料が再び溶融しているとは考えにくいと
していますが、ホウ酸水を注入したあともキセノンの検出が継続されな
いかどうか、状況を見極めるとしています。
福島第一原発2号機で、キセノンが検出されたことについて、原子力が
専門の東京大学大学院の岡本孝司教授は「現在の2号機は、核燃料が溶
け落ちて核分裂をする物質が散乱していると考えられ、核分裂反応が起
きにくい状態になっているが、原子炉内外にある放射性物質から出る中
性子が燃料のウランなどと反応して、局所的、一時的に核分裂反応が起
きる可能性は十分に考えられる。しかし、原子炉にはこれまでも大量の
ホウ酸を注入していたことなどから、核分裂反応が連続的に起きる臨界
になる可能性は考えにくい。原子炉の周辺の中性子を詳しく測ることで、
どこに核分裂反応が起きる原因があるかを調べ、核分裂反応を確実に起
こさせないようにする必要がある」と話しています。また、国や東京電
力が年内の実現を目指している、原子炉が安定的に冷却できている冷温
停止状態の判断について、岡本教授は「冷温停止は、核分裂反応が止ま
り、再び反応が起きないよう制御できている状態のことで、今回のよう
に局所的であっても核分裂反応が制御できていない状態であれば冷温停
止状態とは言い難い。メルトダウンした燃料が原子炉内外のどこに存在
しているか把握したうえで、核分裂反応が起こらない状態にもっていけ
なければならない」と指摘しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111102/t10013667531000.html
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