守田です。(20110406 14:30)
昨日も取り上げた放射性物質による海洋汚染報道について解説します。
本日、早朝、「高濃度放射能汚染水」の海への流出が止められたそうです。
まず、何よりも、危険な作業に当たられた方々に敬意を表したいです。
記事は次のように書いています。
「流れ出ていたのは、2号機の原子炉の水を冷やすための海水の取水口
近くにある作業用の穴(ピット)付近。2日朝、ピットの周囲に亀裂が見つかり、
毎時1千ミリシーベルトを超える高濃度の汚染水が海に流れ出ていた。
破損した燃料から漏れ出た大量の放射性物質を含んだ水が、タービン建屋や
坑道を伝ってきたとみられる。」
「毎時1千ミリシーベルトを超える高濃度の汚染水」とありますが、
これが何を意味するか、残念ながら記者さんも理解できずに記事にしている
ことが読み取れます。ベクレル、シーベルト、何百万倍、何億倍と連続する
発表に記者さんたちも混乱を続けているのでしょう。気の毒な気がします。
シーベルトとは、放射線が人間が受けた時にどのような影響があるのかを
換算する値です。これがある場所で、どれぐらいの放射線を受けているのかを
測る目安にも使われています。その場所にいたら、人がどれだけのダメージを
受けるのかに相当するので、こうした使い方は正確ではないかもしれませんが、
目安としていいと思います。
ただし重要なのは、これは「ある場所で、どれぐらいの放射線を受けているのか」
を表す値であり、その放射線を出している物質が、どこにあり、どれぐらいの
放射線を出しているのかを表す値ではないということです。したがって
「毎時1千ミリシーベルトを超える高濃度の汚染水」という記述は間違いです。
正しくはどういうことでしょか。WEBマガジン「法と経済のジャーナル」の記事
http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/articles/2011040300002.html
でようやく数値を見つけたのですが、この値は、水面から1.2メートルで
測られた数値です。そこで1千ミリシーベルト=1シーベルトが観測されたと
いうのです。これは本当にすごい値です。
放射線の力は、距離の2乗に反比例して弱くなります。距離をとればとるだけ
安全であることが繰り返し報道されています。反対に言えば、近づけば近づく
だけ危険が増すのです。
問題の水の場合、1.2メートルで1シーベルトです。だから12センチになると
10×10=100倍になるわけです。100シーベルトです。
人間は1.5シーベルト浴びると急性死亡が始まります。3シーベルトで半数が
死に、6シーベルトで全員が死亡します。このためこの水は12センチに
近づくと、誰もが確実に死ぬ値です。
さらに1.2センチまで近づいてみましょう。100×100=10000倍、10000シーベルト
です。想像を絶します。そんなとんでもない放射線をこの水は
出しているわけですが、しかしシーベルトでは、危険性の目安にはなっても、
水に含まれている放射能の力を測ることができないことが分かります。
それで問題になるのがベクレルです。
これはこの記事に書かれていたことではないですが、ここで取水された水から
国の基準の750万倍の放射能が確認されたそうです。国の海洋水の汚染基準は
1リットル当たり40ベクレルなので、この濃度は750万×40=3億であることが
分かります。1リットル当たり3億ベクレルの放射能汚染水だということです。
問題はこれがどれだけ出たのかですが、東電の発表を細かく見ても、
量は分からないという回答しかされていません。量に関して、知りえたのは
昨日たまたま見たテレビのワイドショーで、1分あたり3リットルと語られていた
ことのみです。この裏を取ろうと思って、いろいろ調べましたが、数値が
確認できません。
さらにこれがいつから海に、注ぎ込まれていたのか。先にあげたWEBマガジン
では3月21日から海の「高濃度」の汚染が確認されており、そのころから
漏れが始まっていたと推測されます。
それでデータがあまりに少ないことを承知の上で、大雑把に計算してみたいと
思います。3月21日から4月6日早朝までの期間を16日とします。時間に直すと
384時間です。
1分あたり3リットルだとすると、1時間では180リットル。したがってこの16日間で、
69120リットルが流れ出たと推測されます。約7トンです。
この水が1リットル当たり3億ベクレルの放射性物質を含んでいたわけですから、
流れ込んだ放射性物質は、3億×70000=210兆ベクレルになります。
これに対して、昨日記事に書いたように、「低レベル放射能汚染水」の
自主的投棄で流されるのはヨウ素131だけで推定3600億ベクレルでした。
韓国などが激怒していますが、(当然ですが)それよりも、すでに推定210兆
ベクレルの放射能汚染水が止めることができずに流れ込んでしまったと
思われることの方が深刻です。
東京電力や政府は、にもかかわらず、健康に害はないと繰り返していますが、
この見解の一番の誤りは、そもそも総量でどれぐらい海に流れ込んでしまった
のか、把握できていないのに健康被害をうんぬんしていることにあります。
あまりに不誠実な態度です。
把握できないと言っても、汚染物質を出してしまった当事者として、概算ぐらい
は出すべきです。推測される最大値と最小値を出すのが、科学的に
正しい態度だと思えます。にもかかわらず、推定であっても、あまりに膨大
なので、意図的に避けているのではないでしょうか。
しかしこうした事実の報告をこそ、国際社会は求めています。おそらく海外の
研究機関が、僕が行っているよりもっと確かな情報を集めて概算を出すで
しょうから、その前に、自ら誠実に数値(推測値)を発表し、深々と頭を
下げないと日本の信頼はさらに低まってしまいます。マスコミはこうした点を
こそ追求すべきなのですが。(無理でしょうが・・・)
そもそもこれだけの海洋汚染が起こってどうなるのか。人類にとってまったく初の
体験です。チェルノブイリ事故でも未経験なことです。「健康に害はない」どころか
何がどうなるのか分からないというのが今のところの真実ではないでしょうか。
結果は今後、非常に長期にわたって出てくるのだと思います。私たちは
何十年もかけてこれと向き合わねばなりせんが、僕はもはや、やるのみ
だと思います。
ちなみに記事には続いてこう書かれています。
「福島第一原発では1、2、3号機のタービン建屋周辺に高濃度の放射能
汚染水が約6万トンたまっているとみられる。原子炉内への注水や燃料
プールへの放水作業などで増える可能性もある。」
6万トン・・・・・。
7トンで概算で210兆ベクレル。6万トンはその約8570倍です。
この水が、2号機から海に注ぎこんでいたのと同濃度だと仮定すると、
210兆×8570=1799700兆ベクレル。約1800000兆ベクレルとして180京ベクレル
の放射能汚染水があることになります。大まかな数ですが、これは
チェルノブイリ原発事故で大気中に出された放射能総量に匹敵する値に
なると思います。(正確な検算はあとでもう一度行います)
ただし実際にはこの6万トンの汚染水は、まったく管理外にあるものであり、
その中身を知ることは誰もできていないと思います。放射性物質の中身や量も
不明です。
だから放射能量はこれより多いかもしれないし、少ないかもしれない。
一つの目安として、これぐらいの推定も可能な量だということです。
みなさん。推定21兆ベクレルもの放射能汚染された物質が海に流れこみ、
さらに原発のそばに、管理下にない汚染水が6万トン、推定1800京ベクレルも
ある。直近まで近づいたら、誰もが死んでしまうような水がです。
これが私たちを取り巻いている現状です。
ゆっくりとしたチェルノブイリ・・・いや、チェルノブイリにはこんな海洋汚染は
ありませんでした。またこれほどの長期間、大量に放射能が漏れ続け、さらに
何カ月も続く・・という状況を経たわけでもありませんでした。
(チェルノブイリは10日間、火災が続いて、放射能が出続けた)
だからこれは、フクシマという人類未体験の被ばく経験です。
「フクシマ・・・人類初体験の、ゆっくり、長く、大量に続く、放射能漏れ事故」と
言った方がいいのかもしれません。
情報発信を続けます。
*****************************
高濃度放射能汚染水、海への流出止まる 福島第一2号機
東日本大震災で被災した東京電力福島第一原発2号機の取水口近くで
高濃度の放射能汚染水が流出していた問題で、東電は6日早朝、工事に
よって流出が止まったと発表した。ただ、汚染水のたまった建屋や坑道など
には地震で多くの亀裂があるとみられ、別の場所から漏れ出る恐れがある。
東電は汚染水が外洋に広がるのを抑えるため、1~4号機の取水口付近を
カーテン状の布で覆う工事を週内にも始める。
流れ出ていたのは、2号機の原子炉の水を冷やすための海水の取水口
近くにある作業用の穴(ピット)付近。2日朝、ピットの周囲に亀裂が見つかり、
毎時1千ミリシーベルトを超える高濃度の汚染水が海に流れ出ていた。
破損した燃料から漏れ出た大量の放射性物質を含んだ水が、タービン建屋や
坑道を伝ってきたとみられる。
当初は、流出ルートが特定できず、水を止める作業が難航した。5日午後
3時、地上からピットの下にある砂利の層まで穴をあけ、砂利をガラス状に
固める薬剤を注入する作業を開始。のべ52人の作業員が一晩かけて
約1万2千リットル近くを注入したところ、6日午前5時38分に海への流出が
止まったのが確認された。
福島第一原発では1、2、3号機のタービン建屋周辺に高濃度の放射能
汚染水が約6万トンたまっているとみられる。原子炉内への注水や燃料
プールへの放水作業などで増える可能性もある。原子炉を冷却するシステムの
復旧に着手する前に、まずこの汚染水を移し替える必要がある。
そのため、東京電力では敷地内のタンクや施設を利用して、水の「玉突き
移送」を計画している。
タービン建屋の汚染水は最終的には建屋内にある復水器という装置に入れる
予定だ。1~3号機合わせて7500トン。ただ、すでに水が入っているため、
別のタンクに移す必要がある。
移す先は各号機の建屋の横にある復水貯蔵タンク(容量2千~2500トン)。
すでにこのタンクにあった水を圧力抑制室用貯水タンク(容量7千トン)に移し
替える作業は終わった。現在は、復水器の水を復水貯蔵タンクに移す作業が
進められている。
敷地内には廃水を処理する集中廃棄物処理施設(容量3万トン)があり、
ここにも汚染水はためられる。放出を始めている低濃度の放射能汚染水は、
この処理施設にもともと入れてあった水だ。
このほかタンクを仮設し合計2万トン弱の容量を確保する予定で、5月までに
順次設置していく。また、静岡市から提供された大型浮体式構造物
(メガフロート)に1万トン、米軍が提供する台船(バージ船)に1隻あたり
1千~1200トンを収容可能だ。
〈放射能汚染水〉 福島第一原発では2号機のタービン建屋地下や外の坑道に
高濃度の放射能汚染水がたまっている。これを移す場所を確保するため、
もともとあった汚染度の低い水を海へ放流している。東電は「低レベル」と
呼んでいるが、あくまで相対的な汚染度の違いで、高低の基準が法で
定められているわけではない。原子炉等規制法が定める海水での濃度の
基準に比べると100倍程度の濃度で、この水1万トンに含まれる放射能の量は、
高濃度汚染水10リットル程度に含まれる量と同じ水準になる計算だ。
(2011年4月6日11時43分 朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0406/TKY201104060084.html
昨日も取り上げた放射性物質による海洋汚染報道について解説します。
本日、早朝、「高濃度放射能汚染水」の海への流出が止められたそうです。
まず、何よりも、危険な作業に当たられた方々に敬意を表したいです。
記事は次のように書いています。
「流れ出ていたのは、2号機の原子炉の水を冷やすための海水の取水口
近くにある作業用の穴(ピット)付近。2日朝、ピットの周囲に亀裂が見つかり、
毎時1千ミリシーベルトを超える高濃度の汚染水が海に流れ出ていた。
破損した燃料から漏れ出た大量の放射性物質を含んだ水が、タービン建屋や
坑道を伝ってきたとみられる。」
「毎時1千ミリシーベルトを超える高濃度の汚染水」とありますが、
これが何を意味するか、残念ながら記者さんも理解できずに記事にしている
ことが読み取れます。ベクレル、シーベルト、何百万倍、何億倍と連続する
発表に記者さんたちも混乱を続けているのでしょう。気の毒な気がします。
シーベルトとは、放射線が人間が受けた時にどのような影響があるのかを
換算する値です。これがある場所で、どれぐらいの放射線を受けているのかを
測る目安にも使われています。その場所にいたら、人がどれだけのダメージを
受けるのかに相当するので、こうした使い方は正確ではないかもしれませんが、
目安としていいと思います。
ただし重要なのは、これは「ある場所で、どれぐらいの放射線を受けているのか」
を表す値であり、その放射線を出している物質が、どこにあり、どれぐらいの
放射線を出しているのかを表す値ではないということです。したがって
「毎時1千ミリシーベルトを超える高濃度の汚染水」という記述は間違いです。
正しくはどういうことでしょか。WEBマガジン「法と経済のジャーナル」の記事
http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/articles/2011040300002.html
でようやく数値を見つけたのですが、この値は、水面から1.2メートルで
測られた数値です。そこで1千ミリシーベルト=1シーベルトが観測されたと
いうのです。これは本当にすごい値です。
放射線の力は、距離の2乗に反比例して弱くなります。距離をとればとるだけ
安全であることが繰り返し報道されています。反対に言えば、近づけば近づく
だけ危険が増すのです。
問題の水の場合、1.2メートルで1シーベルトです。だから12センチになると
10×10=100倍になるわけです。100シーベルトです。
人間は1.5シーベルト浴びると急性死亡が始まります。3シーベルトで半数が
死に、6シーベルトで全員が死亡します。このためこの水は12センチに
近づくと、誰もが確実に死ぬ値です。
さらに1.2センチまで近づいてみましょう。100×100=10000倍、10000シーベルト
です。想像を絶します。そんなとんでもない放射線をこの水は
出しているわけですが、しかしシーベルトでは、危険性の目安にはなっても、
水に含まれている放射能の力を測ることができないことが分かります。
それで問題になるのがベクレルです。
これはこの記事に書かれていたことではないですが、ここで取水された水から
国の基準の750万倍の放射能が確認されたそうです。国の海洋水の汚染基準は
1リットル当たり40ベクレルなので、この濃度は750万×40=3億であることが
分かります。1リットル当たり3億ベクレルの放射能汚染水だということです。
問題はこれがどれだけ出たのかですが、東電の発表を細かく見ても、
量は分からないという回答しかされていません。量に関して、知りえたのは
昨日たまたま見たテレビのワイドショーで、1分あたり3リットルと語られていた
ことのみです。この裏を取ろうと思って、いろいろ調べましたが、数値が
確認できません。
さらにこれがいつから海に、注ぎ込まれていたのか。先にあげたWEBマガジン
では3月21日から海の「高濃度」の汚染が確認されており、そのころから
漏れが始まっていたと推測されます。
それでデータがあまりに少ないことを承知の上で、大雑把に計算してみたいと
思います。3月21日から4月6日早朝までの期間を16日とします。時間に直すと
384時間です。
1分あたり3リットルだとすると、1時間では180リットル。したがってこの16日間で、
69120リットルが流れ出たと推測されます。約7トンです。
この水が1リットル当たり3億ベクレルの放射性物質を含んでいたわけですから、
流れ込んだ放射性物質は、3億×70000=210兆ベクレルになります。
これに対して、昨日記事に書いたように、「低レベル放射能汚染水」の
自主的投棄で流されるのはヨウ素131だけで推定3600億ベクレルでした。
韓国などが激怒していますが、(当然ですが)それよりも、すでに推定210兆
ベクレルの放射能汚染水が止めることができずに流れ込んでしまったと
思われることの方が深刻です。
東京電力や政府は、にもかかわらず、健康に害はないと繰り返していますが、
この見解の一番の誤りは、そもそも総量でどれぐらい海に流れ込んでしまった
のか、把握できていないのに健康被害をうんぬんしていることにあります。
あまりに不誠実な態度です。
把握できないと言っても、汚染物質を出してしまった当事者として、概算ぐらい
は出すべきです。推測される最大値と最小値を出すのが、科学的に
正しい態度だと思えます。にもかかわらず、推定であっても、あまりに膨大
なので、意図的に避けているのではないでしょうか。
しかしこうした事実の報告をこそ、国際社会は求めています。おそらく海外の
研究機関が、僕が行っているよりもっと確かな情報を集めて概算を出すで
しょうから、その前に、自ら誠実に数値(推測値)を発表し、深々と頭を
下げないと日本の信頼はさらに低まってしまいます。マスコミはこうした点を
こそ追求すべきなのですが。(無理でしょうが・・・)
そもそもこれだけの海洋汚染が起こってどうなるのか。人類にとってまったく初の
体験です。チェルノブイリ事故でも未経験なことです。「健康に害はない」どころか
何がどうなるのか分からないというのが今のところの真実ではないでしょうか。
結果は今後、非常に長期にわたって出てくるのだと思います。私たちは
何十年もかけてこれと向き合わねばなりせんが、僕はもはや、やるのみ
だと思います。
ちなみに記事には続いてこう書かれています。
「福島第一原発では1、2、3号機のタービン建屋周辺に高濃度の放射能
汚染水が約6万トンたまっているとみられる。原子炉内への注水や燃料
プールへの放水作業などで増える可能性もある。」
6万トン・・・・・。
7トンで概算で210兆ベクレル。6万トンはその約8570倍です。
この水が、2号機から海に注ぎこんでいたのと同濃度だと仮定すると、
210兆×8570=1799700兆ベクレル。約1800000兆ベクレルとして180京ベクレル
の放射能汚染水があることになります。大まかな数ですが、これは
チェルノブイリ原発事故で大気中に出された放射能総量に匹敵する値に
なると思います。(正確な検算はあとでもう一度行います)
ただし実際にはこの6万トンの汚染水は、まったく管理外にあるものであり、
その中身を知ることは誰もできていないと思います。放射性物質の中身や量も
不明です。
だから放射能量はこれより多いかもしれないし、少ないかもしれない。
一つの目安として、これぐらいの推定も可能な量だということです。
みなさん。推定21兆ベクレルもの放射能汚染された物質が海に流れこみ、
さらに原発のそばに、管理下にない汚染水が6万トン、推定1800京ベクレルも
ある。直近まで近づいたら、誰もが死んでしまうような水がです。
これが私たちを取り巻いている現状です。
ゆっくりとしたチェルノブイリ・・・いや、チェルノブイリにはこんな海洋汚染は
ありませんでした。またこれほどの長期間、大量に放射能が漏れ続け、さらに
何カ月も続く・・という状況を経たわけでもありませんでした。
(チェルノブイリは10日間、火災が続いて、放射能が出続けた)
だからこれは、フクシマという人類未体験の被ばく経験です。
「フクシマ・・・人類初体験の、ゆっくり、長く、大量に続く、放射能漏れ事故」と
言った方がいいのかもしれません。
情報発信を続けます。
*****************************
高濃度放射能汚染水、海への流出止まる 福島第一2号機
東日本大震災で被災した東京電力福島第一原発2号機の取水口近くで
高濃度の放射能汚染水が流出していた問題で、東電は6日早朝、工事に
よって流出が止まったと発表した。ただ、汚染水のたまった建屋や坑道など
には地震で多くの亀裂があるとみられ、別の場所から漏れ出る恐れがある。
東電は汚染水が外洋に広がるのを抑えるため、1~4号機の取水口付近を
カーテン状の布で覆う工事を週内にも始める。
流れ出ていたのは、2号機の原子炉の水を冷やすための海水の取水口
近くにある作業用の穴(ピット)付近。2日朝、ピットの周囲に亀裂が見つかり、
毎時1千ミリシーベルトを超える高濃度の汚染水が海に流れ出ていた。
破損した燃料から漏れ出た大量の放射性物質を含んだ水が、タービン建屋や
坑道を伝ってきたとみられる。
当初は、流出ルートが特定できず、水を止める作業が難航した。5日午後
3時、地上からピットの下にある砂利の層まで穴をあけ、砂利をガラス状に
固める薬剤を注入する作業を開始。のべ52人の作業員が一晩かけて
約1万2千リットル近くを注入したところ、6日午前5時38分に海への流出が
止まったのが確認された。
福島第一原発では1、2、3号機のタービン建屋周辺に高濃度の放射能
汚染水が約6万トンたまっているとみられる。原子炉内への注水や燃料
プールへの放水作業などで増える可能性もある。原子炉を冷却するシステムの
復旧に着手する前に、まずこの汚染水を移し替える必要がある。
そのため、東京電力では敷地内のタンクや施設を利用して、水の「玉突き
移送」を計画している。
タービン建屋の汚染水は最終的には建屋内にある復水器という装置に入れる
予定だ。1~3号機合わせて7500トン。ただ、すでに水が入っているため、
別のタンクに移す必要がある。
移す先は各号機の建屋の横にある復水貯蔵タンク(容量2千~2500トン)。
すでにこのタンクにあった水を圧力抑制室用貯水タンク(容量7千トン)に移し
替える作業は終わった。現在は、復水器の水を復水貯蔵タンクに移す作業が
進められている。
敷地内には廃水を処理する集中廃棄物処理施設(容量3万トン)があり、
ここにも汚染水はためられる。放出を始めている低濃度の放射能汚染水は、
この処理施設にもともと入れてあった水だ。
このほかタンクを仮設し合計2万トン弱の容量を確保する予定で、5月までに
順次設置していく。また、静岡市から提供された大型浮体式構造物
(メガフロート)に1万トン、米軍が提供する台船(バージ船)に1隻あたり
1千~1200トンを収容可能だ。
〈放射能汚染水〉 福島第一原発では2号機のタービン建屋地下や外の坑道に
高濃度の放射能汚染水がたまっている。これを移す場所を確保するため、
もともとあった汚染度の低い水を海へ放流している。東電は「低レベル」と
呼んでいるが、あくまで相対的な汚染度の違いで、高低の基準が法で
定められているわけではない。原子炉等規制法が定める海水での濃度の
基準に比べると100倍程度の濃度で、この水1万トンに含まれる放射能の量は、
高濃度汚染水10リットル程度に含まれる量と同じ水準になる計算だ。
(2011年4月6日11時43分 朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0406/TKY201104060084.html
またよろしくお願いします!